森詠 「ハーバー・ライト」
2007年2月17日 読書
各編それぞれバイクが出てくる短編集『サイド・バイ・サイド』(実業之日本社、1993)、改題された文庫版『七つの恋の物語』(河出文庫、2003)所収。
「シブカジ」とか「チーム」(たぶん尻上がりのイントネーション)とか、そういう言葉が使われていて、いつの時代の話なんだ? と思ったのだけれど、単行本が出ているのが1993年なので、おそらく設定年代はそれくらいではないかと思う。渋谷をぶらぶらとしていた主人公(キヨシ)たち3人は、何やら危ないところを、あるチームに属する女の子(自分のことを「ボク」と言い、のちに「ナウシカ」と名乗る)に助けられる。――1対1みたいな感じではないけれど、この手の小説も、広い意味ではボーイ・ミーツ・ガールな話かもしれない。最後のあたりは、チームと暴走族(ゾッキー)との「戦争」というか、大立ち回りな感じで終わる。
浪人生が出てくる小説を読んでいると、たいていそんなことをしてないで勉強せいや、みたいなことを思うけれど、この小説でもちょっとそんな感じである。授業中はうとうとしていたり、寝ていたりするし、土日は街をぶらぶらしていたり、バイクを乗り回していたり……。試験まで残り1ヶ月な人たちにはとても思えない。しかも、キヨシくんは早稲田大学志望なのに。大丈夫なんだろうか、いささか心配ざんす。
予備校は池袋にあるらしい。電車の音が聞こえるらしいから、駅から近めのところかもしれない(3人は川越市にある高校の同級生で、そのあたりから通っている模様)。授業の場面は少し出てくるけれど(英文解釈と日本史)どうやら退屈なものであるらしい。――不人気な教師がどうして不人気なのかがわかりそうな感じだから、ちょっと引用してみようか、
<教壇では頭の禿げた講師が面白くもない駄ジャレをとばしながら英文解釈をしていた。>(文庫、p.53)
<教室のドアが開き、いかつい顔の講師が入ってきた。(略)。件の講師は出席もとらず、ブスッとした顔でいきなり黒板にチョークで「明治維新が起った五つの理由」と書きなぐった。>(同、p.58)
どうにも変えられない容姿はしかたがないとして。まぁ、駄洒落も良かれと思って言っているのかもしれないけれど、2人とも、生徒はお客様、な予備校の講師という感じはしない。
「シブカジ」とか「チーム」(たぶん尻上がりのイントネーション)とか、そういう言葉が使われていて、いつの時代の話なんだ? と思ったのだけれど、単行本が出ているのが1993年なので、おそらく設定年代はそれくらいではないかと思う。渋谷をぶらぶらとしていた主人公(キヨシ)たち3人は、何やら危ないところを、あるチームに属する女の子(自分のことを「ボク」と言い、のちに「ナウシカ」と名乗る)に助けられる。――1対1みたいな感じではないけれど、この手の小説も、広い意味ではボーイ・ミーツ・ガールな話かもしれない。最後のあたりは、チームと暴走族(ゾッキー)との「戦争」というか、大立ち回りな感じで終わる。
浪人生が出てくる小説を読んでいると、たいていそんなことをしてないで勉強せいや、みたいなことを思うけれど、この小説でもちょっとそんな感じである。授業中はうとうとしていたり、寝ていたりするし、土日は街をぶらぶらしていたり、バイクを乗り回していたり……。試験まで残り1ヶ月な人たちにはとても思えない。しかも、キヨシくんは早稲田大学志望なのに。大丈夫なんだろうか、いささか心配ざんす。
予備校は池袋にあるらしい。電車の音が聞こえるらしいから、駅から近めのところかもしれない(3人は川越市にある高校の同級生で、そのあたりから通っている模様)。授業の場面は少し出てくるけれど(英文解釈と日本史)どうやら退屈なものであるらしい。――不人気な教師がどうして不人気なのかがわかりそうな感じだから、ちょっと引用してみようか、
<教壇では頭の禿げた講師が面白くもない駄ジャレをとばしながら英文解釈をしていた。>(文庫、p.53)
<教室のドアが開き、いかつい顔の講師が入ってきた。(略)。件の講師は出席もとらず、ブスッとした顔でいきなり黒板にチョークで「明治維新が起った五つの理由」と書きなぐった。>(同、p.58)
どうにも変えられない容姿はしかたがないとして。まぁ、駄洒落も良かれと思って言っているのかもしれないけれど、2人とも、生徒はお客様、な予備校の講師という感じはしない。
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