講談社X文庫ホワイトハート、1998-。何冊出ているのか知らないけれど、3冊目までで個人的には用が足りるので、とりあえず3冊買ってあって――というか、ライトノベルなBL系、私のようなおっさんが買うような本じゃないよね、古本屋でレジの店員さんが若めの女性でした(あー)――、今のところ、最初の1冊『まるでプラトニック・ラブ』(1998)は読了。読みやすくていいのだけれど、基本的に他人事というか(別に他人事だからじゃないか)終始、気乗りがしない感じでした。※以下、ネタバレ注意です。

IZAMと吉川ひなのが結婚したのって、どれくらい前のことだっけ? あいかわらず時代感覚が頭の中でごっちゃごちゃ。往時のIZAM(♪めるてぃーらぶ、くらいかな)をもっと細身に、ずっと可愛らしい感じにしたらしい桜庭環は、女装した格好で山手線をぐるぐるしていたところを、予備校の数学教師でプレイボーイの久住陽介に「拾われる」というか、そんな感じ。高校を半年で中退して家出中らしい環(たまき)は、いとこで大好きな、体の関係もある俊也のもとに押しかけて、一緒に暮らしているのだけれど、いまは一時的に追い出されているというか、そんな状態にある。――こんなことを言い出したらきりがないだろうけれど、まず環のようなほとんど女の子に見える男の子はめったにいないだろうし、久住(くずみ)のような、相当な数の女子生徒や受付のお姉さんに手を出している講師もいないだろうし。だいたい俊也が3つ年下の環に最初に手を出したのが、環が12歳のときって…(逮捕だな、こりゃ)。

俊也が通っていて久住が教えている予備校は、代々木にある「Y学院」。池袋や仙台に支店…じゃなくて分校というのかな、があるし、やっぱりなんとなくYゼミがモデルっぽいかも(東京の予備校というと、やっぱり昔は神田のへん、今は代々木のへんというイメージ?)。「医学部志望特別クラス」に所属する、もちろん医学部志望でもある俊也は、「群馬県にある大病院の跡取り息子」(p.51)だそうである(これもよくあるパターン“医者縛り”)。関係ないけれど、環も同じ家で暮らしていたというか、いわゆる出戻りの叔母さんが俊也の家に連れて帰ってきた子どもで、出身は同じであるし、上京してまだ1年も経っていないし、「東京BOYS」というより「群馬BOYS」な感じ? 奥付の上のところを読むと、作者は福島県出身で前橋市在住らしい(そういえば、福島県出身の野村美月のデビュー作が『赤城山卓球場に歌声は響く』。意外と相性がいいのかな、福島と群馬。…たまたまか)。俊也がいま住んでいるのは、小説浪人生の定番、格安おんぼろアパートではなく、下北沢のマンションらしい。親に歯向かわないかぎり、お金の心配はないのかもしれない。あと、現役のときに落ちた理由って、なんだっけ? ――書かれていないのか。成績は悪くないらしい。描かれているのは11月くらいから。合否などは3冊目を読むとわかる。3冊目の「あとがき」をカンニングすると、その巻は「俊也の自立がテーマ」とのことで、俊也について考えるのであれば、そこまでは読んだほうがいいのかも。

ほかにちょっと気になるのは、浪人生ではないから無視してしまってもいいのだけれど、久住の講師としての仕事。意外にちゃんと書かれている気はするけれど、例えば、授業中に「豆テスト」(ちょっと懐かしい言葉だな)をしたり、模擬テストの試験監督をしたり――そういうことは、人気のある先生はあまりしないんじゃないかな。あ、でも、学校にもよるのか。とりあえず、スーツのポケットに花を差しておいて素晴らしい解答をした生徒に渡す、みたいなパフォーマンスをしている講師はいないんじゃないかな。うーん…、でも、これも、日本中を探してみればいるのかも。

環については、男を追いかけての高校を中退が気が引けたのか、久住の部屋にいる間、洋裁というか服飾に目覚めて(やっぱり女性作家が書く小説って似てるよね、料理か裁縫か、ってなもんです?)、そのためには、久住の奨めのようなこともあって、大検を目指したほうがいい、目指す、みたいなことを考える。関係ないけれど、大検予備校、あるいは予備校の大検コースに通う人は、年齢的には同じくらいな場合でも、浪人生というよりも、高校生に近いのかな。すでに社会人の人もいるだろうし、そういう場合はむしろ社会人に近い、というか、実際に社会人であるのか。1人も知り合いがいないので、よくわからんです。

(そう、どうでもいいけれど、最後のへん、高速道路を運転中にごそごそするのは単純に危ないよね。この前、読んでいた小説では、空き缶を平気で投げ捨てていたし、学校の先生みたいなことは言いたくないけど、ちょっとめんどくせえね、小説って。)
 

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