角川書店、1991/角川ホラー文庫、1993。♪くるー、きっとくるー、みたいな歌じゃなかったっけ? ……何かと間違っているかな。ずいぶんと話題になった同名の映画の原作。いまさらな感じではあるけれど、読んでみたらとても面白かったです。けっこう引き込まれました。※以下、ネタバレにはご注意ください。

 <同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。/――そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。静かにビデオが始まった……。恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。>(文庫カバー)

「四人の少年少女」のうちわけは、少年2人と少女2人なのだけれど、少年2人が浪人生(1浪+2浪)で、少女2人が高校生(ともに3年生)というのは、例によってジェンダー的にどうなのか? という気がしないでもない(パターンその…いくつだっけ? 男女ペアの場合、浪人生役は男のほうに振り分けられる)。少年の1人(1浪)はバイクに乗って信号待ちをしているときに亡くなるのだけれど(傾向その…いくつだっけ? 浪人生の交通手段はバイクである?)、初めて読んだのは――別にたいしたことではないけれど、もう1人の少年(2浪)は少女1人と一緒にレンタカーのなかで亡くなっているところを発見される。レンタカーを利用するくらいだから、自分の自動車はたぶん持っていないとは思うけれど、車の免許を持っているあたり、小説では珍しいかもしれない。

原付を除くバイクにしても、自動車にしても、高校を卒業して予備校が始まるまでの間に免許をとるくらいなら許せるけれど、そうでなければ、教習を受ける時間がもったいない、受験勉強に当てようよ? みたいなことを思うのは、外野としては当然……ですよね? だいたい亡くなり方が、9月5日は平日らしい、場所はどっかの山麓、ジーンズとブ○ーフを膝まで下げたまま、その隣にはパ○ティを同じく膝まで下げたままの人が、というのはどうなのか?(というか、誰に対していらいらしているのかと言えば、とうぜん作者に対して)。週刊誌記者(新聞社勤め)である主人公が調べるから素性ははっきりとしていて――名前は別にいいか、予備校はともに「英進予備校」、バイク少年のほうが1971年生まれ、住所は品川区、もう1人のほうが1970年生まれ、渋谷区。……電車を利用すればいいような場所だよね、都内であるし。

物語は、上で「とても面白かった」と書いたけれど、浅川がビデオの謎の映像を見たあたりからどんどん面白くなるかな。それまでは意外と退屈な感じだったかもしれない(いま思い出すと)。狂気をもった感じの、高校の同級生の竜司が出てきて、相対的に浅川がまともなんだな、と思えてきて、それでだいぶ楽に読めるようになった気がする。だいたい高校生の姪――妻の姉の娘が亡くなったわりにちょっと冷たいよね、冷静さが必要とされる記者であるにしても。書かれていないけれど、自分にもいちおう小さな娘がいるわけだし、事件というか問題が解決した暁には、記事とかにする前に、姪が亡くなった事情を義姉夫婦にちゃんと話してあげてほしい。竜司に言われるまでもなく想像力がちょっと足りない感じはする、浅川くん。そう、あまり関係ないけれど、その姪に関して、乱暴な言葉遣いやコップに注いだコーラの一気飲みはいいけれど、両親がナイトゲームを観戦に行ったからといって「プロ野球ニュース」を見ようとするかな(おっさんくさい)。

だいぶネタバレしてしまうかもしれないけれど、読んでいてちょっと混乱したのは(これもたいしたことではないけれど)、山村貞子が劇団に入ってやめたのが25年前で、療養所にお見舞いに行っていたのが30年近く前、と書かれていたから、頭の中で時間が逆になってしまって…。具体的に年(年代)も書かれているから、間違わない人は間違わないのだろうけれど、劇団→療養所の順なんだよね。というか、それが当り前か、亡くなってから劇団に入れないし。人によって性格を演じ分けていたという竜司についても、辻褄があっているのか、と疑問が残っていて…、めんどくさいけど、軽くあちこち読み直したほうがいいのかも、個人的には。よく知らないけれど、続編があって3部作になっていたり、以前の話があったりするらしいけれど、どうしよう、気にはなるけれど、とりあえずそれらはパスです。
 

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