連作短篇集(全7篇)。集英社、2001。最初の1篇「ホーム、スイートホーム」は、予備校生の「僕」(和哉)が母親を殺して、ビルの空室に持ち込んで冷蔵庫の中に詰めておく、みたいな話。もうこの時点で何か現実に起こった悲惨な事件とかも想起してしまって、なんていうか、首を傾げざるを得ないけれど、小説としては(特にミステリーなどでは)ありがちなことかもしれない。でも、出会った少女(香月)とともに、ときどきその蓋を開けて、なかを見て勇気(?)を得たり、母親の腐敗ぐあいを観察して記録したり……というのは、どうなんでしょうね? グロテスクで倒錯的な感じかもしれない。それと、内容もさることながら文章のリズムがどうも自分には合っていない気がする。読んでいると気持ちが悪くなってきて、悪い酔い方をしそうな感じ。というわけで、もう、早々に放棄です、最後まで読んでいません。(関係がないけれど、そういえば、昔、柳美里の『ゴールド・ラッシュ』という小説を薦める人がいたので、読んでみたけれど、後にも先にもそのときだけは、薦めた人のセンスをかなり疑った覚えがある。)ちなみに、季節は夏(8月)、親を殺しても夏期講習には通っている。医学部志望らしい。現役のときに落ちた理由は、書いてあったっけな、……読み直さないとわからない。落ちたときは、父親は「許さない」と、母親は慰めながらも「ため息」を。癖のようになっているそのため息が嫌で、殺したらしい(同情の余地なし?)。

あと、5篇目の「アイル・リメンバー・ユー」も語り手(「僕」、クラハシ)が予備校生。語られている予備校の雰囲気がいまいち、自分がイメージするそれとは違っている気がする。予備校といってもいろいろあるだろうから、知らないけれど。
 

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