赤川次郎 『三毛猫ホームズの傾向と対策』
2007年4月29日 読書
カッパ・ノベルス、1992/光文社文庫、1995/角川文庫、1999。手元にあるのは、光文社文庫。
大学受験の代名詞的な言葉の1つというか、「大学受験」と聞いて思い浮かべる言葉の1つが「傾向と対策」? 若い人はあまり使わない(使わなかった)セット・フレーズである気もするけれど。――それはそれとして。だいぶ前のことだけれど、赤川次郎に一時的に嵌ったことがあって、そんなときに誰かと話をして、嵌っている、と言ったら、アレは小学生が読む本だよ、みたいな牽制をされたことがあるのだけれど、今回、久方ぶりに読んでみて、あらびっくり(というほどでもないか)、文章というか文体はともかく、内容的にはとてもおっさん向けな感じである。※以下、ネタバレをしているのでご注意ください。
おなじみの片山家(片山兄妹と三毛猫のホームズ)に1月、予備校通いをするために田舎から出てきてやっかいになっている高校3年生の温水さゆりは、食いしん坊オチ担当(?)でおなじみの石津刑事に父親的なものを見出して、懐いていくというか、石津の腕に取りすがったりする。石津のほうは悪い気はしていない感じ。さゆりと同じような目的で、結婚してまだそれほどの年月が経っていない阿部夫婦のもとにやってきた“水田智子”は、阿部聡士(会社員)を誘惑、阿部はあっけないほど簡単にやられてしまう。本が妻・恋人であった初老の大学教授、大崎哲哉は、記憶喪失になっていた少女を拾って(またこの子の言うことが、やんなっちゃうんだけれどね…)彼女に恋をしてしまう。というか、捜索願いが出ているかもしれないのだから、とっとと警察に連絡しろよ…。おなじみ、女性恐怖症である片山刑事(義太郎)も、夫を若い女の子に取られた阿部の妻、初枝から、私って魅力がないですか、みたいなことを訊かれているし、大学の若い女性事務員、井口良子から(逆に)デートに誘われているような感じであるし。もてないおっさん(といっても30前後の人を含む)を慰めるための小説なのか、これは? とりあえず、小学生に読ませたらあかん小説なのではないか?
関谷久高という浪人生(現役生ではない予備校生)が出てくるけれど、もうどうでもいいか。浪人生=暗くてあやしい、みたいなイメージ? ちなみに、現役受験生、温水さゆりについては、父親が5歳のときに亡くなっていて、母親は「小さな店」を開いているらしい(cf. 村山由佳『天使の卵』)。田舎の高校では秀才である、とのこと。志望大学(事件が絡んだりもするの)はK大。書いてあったかなかったか忘れてしまったけれど、私立っぽいかな。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
あまり関係ないけれど、1月に上京している小説としては、私の知るかぎり、姫野カオルコ『ひと呼んでミツコ』がある。この小説は、高校のときに受験ずれしてしまった大学生小説として読むと、けっこう面白いかもしれない。文脈がないとわからないかもしれないけれど、こんな箇所も面白いかな。
<「おまえなんか、英単語は“intellect【(略・発音記号)】”どまりなんだろ。idolとidleの違いの項で桜田淳子がたとえに引用されているところまで読んじゃいないんだな。桜田淳子は二代目で初代は吉永小百合なのを教えてやるよ、このブランド狂いの馬鹿女!」>(講談社文庫、p.38)
『でる単』のトリビアだな、せっかく教えてもらっても役立ちそうもない(涙)。intellectは、『豆単』ならabandonみたいなもの? 何語目?(1語目?)。
大学受験の代名詞的な言葉の1つというか、「大学受験」と聞いて思い浮かべる言葉の1つが「傾向と対策」? 若い人はあまり使わない(使わなかった)セット・フレーズである気もするけれど。――それはそれとして。だいぶ前のことだけれど、赤川次郎に一時的に嵌ったことがあって、そんなときに誰かと話をして、嵌っている、と言ったら、アレは小学生が読む本だよ、みたいな牽制をされたことがあるのだけれど、今回、久方ぶりに読んでみて、あらびっくり(というほどでもないか)、文章というか文体はともかく、内容的にはとてもおっさん向けな感じである。※以下、ネタバレをしているのでご注意ください。
おなじみの片山家(片山兄妹と三毛猫のホームズ)に1月、予備校通いをするために田舎から出てきてやっかいになっている高校3年生の温水さゆりは、食いしん坊オチ担当(?)でおなじみの石津刑事に父親的なものを見出して、懐いていくというか、石津の腕に取りすがったりする。石津のほうは悪い気はしていない感じ。さゆりと同じような目的で、結婚してまだそれほどの年月が経っていない阿部夫婦のもとにやってきた“水田智子”は、阿部聡士(会社員)を誘惑、阿部はあっけないほど簡単にやられてしまう。本が妻・恋人であった初老の大学教授、大崎哲哉は、記憶喪失になっていた少女を拾って(またこの子の言うことが、やんなっちゃうんだけれどね…)彼女に恋をしてしまう。というか、捜索願いが出ているかもしれないのだから、とっとと警察に連絡しろよ…。おなじみ、女性恐怖症である片山刑事(義太郎)も、夫を若い女の子に取られた阿部の妻、初枝から、私って魅力がないですか、みたいなことを訊かれているし、大学の若い女性事務員、井口良子から(逆に)デートに誘われているような感じであるし。もてないおっさん(といっても30前後の人を含む)を慰めるための小説なのか、これは? とりあえず、小学生に読ませたらあかん小説なのではないか?
関谷久高という浪人生(現役生ではない予備校生)が出てくるけれど、もうどうでもいいか。浪人生=暗くてあやしい、みたいなイメージ? ちなみに、現役受験生、温水さゆりについては、父親が5歳のときに亡くなっていて、母親は「小さな店」を開いているらしい(cf. 村山由佳『天使の卵』)。田舎の高校では秀才である、とのこと。志望大学(事件が絡んだりもするの)はK大。書いてあったかなかったか忘れてしまったけれど、私立っぽいかな。
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あまり関係ないけれど、1月に上京している小説としては、私の知るかぎり、姫野カオルコ『ひと呼んでミツコ』がある。この小説は、高校のときに受験ずれしてしまった大学生小説として読むと、けっこう面白いかもしれない。文脈がないとわからないかもしれないけれど、こんな箇所も面白いかな。
<「おまえなんか、英単語は“intellect【(略・発音記号)】”どまりなんだろ。idolとidleの違いの項で桜田淳子がたとえに引用されているところまで読んじゃいないんだな。桜田淳子は二代目で初代は吉永小百合なのを教えてやるよ、このブランド狂いの馬鹿女!」>(講談社文庫、p.38)
『でる単』のトリビアだな、せっかく教えてもらっても役立ちそうもない(涙)。intellectは、『豆単』ならabandonみたいなもの? 何語目?(1語目?)。
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