コバルト文庫、1998。「獅子座」は「レオ」と読ませている。この巻しか読んでいないのでよくわからないけれど、<星座>シリーズの、<冒険少女編>三部作の最後のものであるらしい。で、読んでいて、いらいらのしっぱなしだったのだけれど、それはいいとして(よくないか)、例によって初めて読んだ作家なのだけれど、なんていうか、赤川次郎をアク抜きして、何か別のアクを足したような感じ、かな(説明が足りないか…、うまく言えないです(汗))。あと、具体的なことでは、本が出版されたのは1990年代後半なのに、出てくる固有名詞が新旧ごっちゃな感じで(そうでもない?)いつの時代の話なのか、頭の中に違和感が降り積もっていく感じ(涙)。――それはそれとして(今回も投げやりぎみ)。

 <ノリミと朱子は、K予備校で知り合った獅子座生まれの浪人生三人組に、<東京オカルト・ツアー>に誘われた。その企画に共感した朱子は、ツアーの第一弾であるZ寺へ、深夜、八百屋お七の幽霊を探しに出かけていった。担任で恋人の麦倉先生に止められたノリミだが、幽霊が本当に出たと聞き、調査に乗り出すことに。実は、奈良出身のお嬢様・朱子と麦倉先生の関係が少し気になるのだが…!?>(カバーの折り返しより。)

朱子は「あかね」と読む。Kに「ケイ」ではなくて「ケー」とルビがふってあるのが微妙にうざい。原宿駅の近くにあるらしい「K予備学校」では、「夏期講習」の前に「夏休み直前特別強化ゼミ」というものがあるらしく(夏休みの直前に何を強化するの?)、そこでノリミ(大野ノリミ)たちは、浪人生の3人組――天海基(てんかい・もとい)、鬼島孝雄(きじま・たかお)、明神桜(みょうじん・さくら)――と知り合う。どうでもいいけれど、男2人で女1人みたいなグループからして、90年代後半という感じがしない、80年代とかせいぜい90年代前半?(あとで取りあげると思うけれど、浪人生小説では、小室みつ子『彼女によろしく』、落合恵子『結婚以上』所収の「地球を蹴って遊ぶ」などがそう)。自分たちは高校3年で、知り合った相手は浪人生たちなわけだけれど、比較してどうのこうの、みたいな話は出てこない。夏期講習とかで現役生と浪人生が一緒になると、お互いに相手をうっとうしく思う、みたいなことはないのかな。現役受験生にとっては、浪人生は目を背けたくなる否定的な姿、失敗した場合の明日の我が身でしょう? というか、私服であれば見た感じでは現役か浪人かわからないか(制服を着ていても勉蔵さんみたいな浪人生も――いないよな、たぶん(汗))。

最初のあたりの、予備校に関する箇所はちょっと具体的かな。ノリミは授業というか講師の話を録音するために「小型のカセット・デッキ」を持参している。予備校によっては禁止していたり、禁止していても黙認していたりするらしいけれど、そういえば、自分も予備校生のときに録音していた授業があったっけな。ウォークマンのだいぶバッタモンみたいな安いのを買って。あと、授業が始まる前には、「受講生チェッカーズ」というアルバイト学生が「ニセ受講生」(モグリの人)がいないかをチェックして回るらしい。これも実際には、予備校によるのかな、指定席の予備校もあるし、その場合はあまりチェックがいらないかもしれない。あとは、例によって(?)予備校=涼しい、みたいな話も出てくる。引用してみれば、

 <……予備校のいいところは、なんといっても冷暖房が完備している点である。/夏は涼しく、冬は暖かく――まるで<ビーバーエアコン>のCMのように、快適に過ごすことができる。>(p.23)

。こういうちょっとしたところでも、読んでいていらっとする(しないですか。私だけか)。「夏は涼しく、冬は暖かく」――そんなCMがあったっけ? という感じ。

いちおう推理小説であるし、あまり書くとネタバレしすぎてしまうけれど、なんていうか、19歳が特権化されるみたいなことは、確かにあるよね。10代、ティーンエイジ最後の年、という意味で。言われてみれば、特別な年齢なのか。
 

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