単行本『ZOO』(集英社、2003)、文庫は分冊になっていて『ZOO 2』(集英社文庫、2006)に収録されている1篇。手元にあるのは文庫のほう(6篇中の5篇目)。※以下、ネタバレ注意です。ほかはすべて雑誌に1度掲載されたものらしいけれど、この1篇だけは単行本書き下ろしであるらしく、それがわからないと意味がわからない(というか特に面白くもない)箇所がある。その箇所だけでなく、メタフィクションというと言い過ぎかもしれないけれど、ちょっと自己言及的な感じが数箇所ある。たぶんそういう所も面白いのだろうけれど、なんていうか(今日も歯切れが悪い…)、ここが面白いんだろうな、というのはわかるのだけれど、個人的にはどこが面白いのか(反語)、みたいなことは思ってしまう。

例えば、「ほっといてください。ほっといてください。僕のことなんか僕のことなんか」(p.168)と言うハイジャック犯の男の子に対して、客室乗務員が「ほっとけません。仕事ですから!」(同頁)と言う箇所。ふつうなら(?)ちょっとクスっとしてしまうのではないかと思うのだけれど、私にはできないというか、どうも淡々と読んでしまう(なぜ?)。だから(繰り返すけれど)、ここが面白いんだろうな、というのはだいたいわかる。でも…、という感じ。登場人物の言葉のやりとりだけでなく、行動――例えば(だいぶネタバレしてしまうか)、「私」が自分は死んで幽霊になったと思っていて、拳銃を持っている犯人に近づく場面(まぁ漫画っぽいかな)なんかも同じで、個人的にはどこが面白いのだろうか(いや、面白くない)みたいな感想です。

ところで、ノストラダムスの大予言って信じていました? あれってなんだったんだろうな…。あまり関係ないけれど、あのドラマ、日本テレビ系で放送されていた『すいか』(小林聡美とかともさかりえとかが出ていた)は好きだったけれどね。――それはそれとして。これいつくらいの話なのかな、ま、1999年よりはあとの話だろうけれど。「私」は、話し掛けてきた隣の座席のセールスマンに対して「年齢は三十歳ほどで私と同年代だろうと思った」と語っていて(p.163)、あとで、1999年のときに21歳、と言うセールスマンに対して「じゃあ私と同い年だ」(p.165)と言っているので、30歳であるとすれば2008年くらいの話か。ストーリーというか内容は、とりあえず、「私」がセールスマンから彼が持っていた安楽死の薬を買うか買わないか、みたいな話。

T大を5回受けて受からなくて、飛行機をT大に突っ込ませようとしている男の子――浪人生といえば浪人生かもしれないけれど、語り手は「無職」と言っている(認識している)。ただ、ネタバレしてしまうけれど、副業(?)で300万円も収入があるらしい。最後の場面はどうなのかな、これでいいのか? だいぶネタバレしてしまうけれど、飛行機の中でけっこうな数の乗客が拳銃で撃たれて亡くなっているのに、「私」が憎んでいた男は無傷なまま。それってどうよ? 個人的には(小説が面白く読めなかったということもあるけれど)微妙にフラストレーションが残る感じ。T大にも(恨みはないけれど)突っ込んじゃえばよかったのに……って、よくないか(あくまで小説の話だけれど)。そう、男の子の最後の言葉を聞いていて思い出したけれど、昔、夜、受験勉強をしていて、夜が明けて陽が射し始めるといつも、ああ早く寝なくちゃ、あと2時間くらいしか眠れない、みたいな焦りばかりで、私の場合、爽やかな気持ちにはまったくなれなかったです。
 

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