『船上にて』(立風書房、1997/講談社文庫、2001/光文社文庫、2007)所収。手元にあるのは講談社文庫のもの。2/8。短篇だけれど、“ストーカー小説”みたいな感じかな。この作者の小説も今回、初めて読んだけれど、なんていうか、ちょっと微妙…。見かけはちゃんとしている感じなのだけれど、意外とゆるい、ような気が。設定とか。少なくともこの1篇に関しては、どこが面白いのか、よくわからなかったです。※ミステリであるし、以下、ネタバレをしているのでご注意ください。そういえば、少年法っていつ改正されたんだっけ? いま19歳で人を殺すと、どれくらいの罪が課せられるの? もちろんケースによって違うだろうけれど。

予備校には通っていないのかな、浪人生の橋川雪彦(家は病院で、やっぱり医学部志望らしい)は、高校の同級生、林田みどりの姉、ゆかりにひと目惚れして以来、手紙をたくさん出したりと、つきまとうようになっている。で、エスカレートしていって、ついに林田家に入り込んでゆかりを襲う――のだけれど、ゆかりにバットで反撃されてしまう。家に入れた理由は書かれていたけれど、でも、どうして部屋にバットが置いてあるの?(どこかに書かれていたっけ?)。あと(話がとっちらかってしまうけれど)妹のみどりの話し方が、性格が男っぽいのはいいけれど、…ちょっとどうなのかな、これ。例えば、お姉さんが吸っているメンソールの煙草をもらって<「姉さん、よくこんな鼠のすかしっ屁みたいなもの吸ってられるね」>(p.40)とか。いらっとするというか、雪彦くんとは違う(?)理由で嫌いになりそうだ、この女の子。そう、正反対の性格なお姉さんも、いざとなったら意外とバイオレンスな感じで、それも、個人的にはクエスチョン・マーク。

雪彦くん、「努力には慣れている」(p.37)そうで、夏休みの宿題は最後の日に残したりはしない性格らしいけれど、それなら、大学受験はどうして失敗したのかな? 合格しにくい医学部、しかも一流どころを受けたから、なのか。話が戻ってしまうけれど、ストーカー化した理由というか経緯というかもいまいち説得力に欠けているような。林田みどりが言うように「思いつめるタチ」で、受験に失敗して「ちょいとネジが狂った」のだろうか。うーん…。だいぶネタバレしてしまうけれど、1974年4月20日生まれで、今度の4月20日に20歳になるというのなら(作中の月は3月、4月くらいだから)2度目すなわち1浪時の大学受験の結果はどうなったの? という疑問もある。浪人生であるという設定だから、受かっていないわけか。というか、そのせいもあって婚約者がいて自分のものにならない人を襲った?(うーん…)。とりあえず、4月20日ではなくて別の月日にしたほうがよかったのではないかと思う。

家(&病院)はどこだっけ? やっぱり東京か。本籍は「東京都新宿区」とのこと。
 

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