小川勝己 「老人と膿」
2007年9月18日 読書
<ハヤカワ・ミステリワールド>の1冊、『狗』(早川書房、2004)に収録されているいちばん短い1篇(2/5)。内容は……ページ数が少ないから読んでもらったほうが早いと思うけれど、年老いた漁師が針にかかった巨大なマグロを数日間の格闘のすえに釣りあげる、みたいなパード・ボイルドな話ではなく、(昔のことを回想する形で語られているのだけれど、)上京して予備校に通っている「わたし」が、コンビニや図書館へ行く道でしばしば出会う、近所に住んでいてどうやら認知症をわずらい、家族から虐待されているらしき老人を、ある作戦によってその家族(息子夫婦と孫息子)から救い出す、みたいな悪を懲らしめるような話。――と書くと高齢者に親切で介護的な“きれい”な話っぽいけれど、そうではなく。とりあえず「膿」は出てこないけれど、あまり“きれい”な話ではないです。
浪人生小説としては、読んでもほとんど得るところなし、かな。ただ、浪人生と言ってもついこの間までは、天下の(?)高校生で――この小説では女子高生で――あったわけで、人間ってそれほどすぐに変わるものではないから、なんていうか、ある意味で、浪人生というのは“高校生’(ダッシュ)”みたいな存在なのかもしれない。浪人生ではなく大学生でも同じかもしれないけれど。そう、この小説、1人称は「わたし」ではなく、「あたし」でもよかったのではないか。関係ないけれど、そういえば、男性作者による女子浪人生を主人公にした小説(かなり短いけれど)は、なんだか、久しぶりに読んだ気がする。というか、そもそも数が少ないのかな。橋本治『その後の仁義なき桃尻娘』の表題作以外に何かあったっけ? ――思い浮かばないな。
浪人生小説としては、読んでもほとんど得るところなし、かな。ただ、浪人生と言ってもついこの間までは、天下の(?)高校生で――この小説では女子高生で――あったわけで、人間ってそれほどすぐに変わるものではないから、なんていうか、ある意味で、浪人生というのは“高校生’(ダッシュ)”みたいな存在なのかもしれない。浪人生ではなく大学生でも同じかもしれないけれど。そう、この小説、1人称は「わたし」ではなく、「あたし」でもよかったのではないか。関係ないけれど、そういえば、男性作者による女子浪人生を主人公にした小説(かなり短いけれど)は、なんだか、久しぶりに読んだ気がする。というか、そもそも数が少ないのかな。橋本治『その後の仁義なき桃尻娘』の表題作以外に何かあったっけ? ――思い浮かばないな。
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