連作短篇集というか短篇シリーズで2巻出ているうちの1巻目『天使はデリケート 地上界天使スナッピィ・バニー』(角川文庫、1988)の、全4話中の「第四話」。3年前“愛”すなわち“天使”にとりつかれて“地上界天使”となったイラストレーターの綾乃さやかは、この現実の裏側にある異次元(亜空間)にはまりこんだ人たちを“愛のオルゴン・エナジー”によって救い出している。1話目を読み始めてすぐにへんな小説というか、かなり微妙な小説であることがわかって(涙)、どうにか第一話だけは読んだけれど、そのあと長いこと放置していた本。結局、真ん中の2話は飛ばしてしまって読んでいないけれど、なんだろう…、この小説は? 作者を思わせる語り手がちらついていたり、笑いどころ(ユーモア)とかがあったりと、マンガっぽいといえばマンガっぽいかもしれない。エッチな感じと下品な感じ(排泄系なそれ)とが滑らかにまじりあっている、というか。巻頭にカラー・イラストがついているのだけれど、ライトノベルの出版社(レーベル)から、現在こんなような小説って出ているのかな?(出ていないだろうな、たぶん)。この作者がほかにどういう小説を書いているのか知らないけれど、個人的には要するにひと言で言えば、キワモノです。

「第四話 予備校生は悪夢を這う」は、眠ると“腸の迷宮”(“腸迷宮”)に入り込んでしまう予備校生の入間元彦(いるまもとひこ、18歳)を、お約束どおりにさやかが助ける、みたいな話。この小説も受験がどうの、とかほとんど関係がない話で、浪人生小説として読んでも得るところはあまりないかと思う。そう、元彦は金沢から上京してきて、姉の胸子(きょうこ、24歳のOL)が友人から借りているマンションで一緒に暮らしているのだけれど、お姉さんと2人暮らしをしている男子浪人生が出てくる小説は、個人的にはたぶん初めて読んのではないかと思う(ほかに何かあったっけ? ――まぁいいか)。現役のときには「すべり止めを含めて六つ受験したすべての大学をつるんつるんすべった」とのこと。例によってというか、小説ではパターンだけれど、元彦くんもそれほど勉強はせず、予備校もしょっちゅうさぼっているらしい。作中の季節がよくわからないのだけれど、悪夢にうなされるようになったのは1ヶ月ほど前からとのこと。眠ると変なこと(?)になってしまうなら、眠らずにその時間を受験勉強に当てればいいのにね。って、迷路を抜け出すのに体力を使ったり、“出口”が現実のどこになるかわからないから戻るのも大変だったりで、受験勉強なんてし始めたらすぐ眠くなっちゃうか。ラストの場面では、まだしらばく受験勉強ができそうにない感じだけれど、大丈夫なのか、来年の大学入試は?(そんなことはどうでもいい小説か)。
 

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