鷹見一幸 『小さな国の救世主5 オツカレ賢者の巻』
2008年4月3日 読書
電撃文庫、2007。シリーズものの最終巻(第5巻)。外国人の目を通しての日本(再)発見みたいな感じ、日本人の読者としては? 意外と中学校の図書館とかに置いておくといいような小説かも。文章はけっこう説明的。地の文だけでなく会話部分もけっこう長いところがある。ただ、説明的なのは親切なことでもあるので、何らかの予備知識がなくても読めていいかもしれない。例えば主人公たちは広島や秋葉原にも行くのだけれど、そうした場所を1度も訪れたことがない人が読んでも、理解できる感じ。ちょっと気になったのは、「……」と「!」の2つの記号ばかり使われていること。いいか悪いかは別として、文体がけっこう安定している? 内容というかは――、小国セリカスタンでは「英雄」、日本では「ただの浪人生」である天山龍也(あまやま・たつや)が、日本にやってきたおなじみの(?)“セリカスタン3人娘”――リューカ姫、サラサ、シーデ――を案内してまわる、というか。それと平行して、北の某国から生物テロを企ているテロリストが日本に侵入してくる、みたいな話。日本人の祖父に教わったというサラサさんの広島弁がちょっとすごいな。でも、あれか、そのサラサがいわゆる“戦闘美少女”担当な感じ?(リューカ姫たちは血はつながっていないけれど、藤島康介の漫画『ああっ女神さまっ』でいえば、主人公のことが好きでおとなしい感じのリューカがベルダンディーで、ちょっと粗暴でグラマラスな感じのサラサがウルドで、無邪気で子どもっぽいシーデがスクルド、みたいな感じでしょ? よくある性格配分パターン?)。あと、そう、この小説でも、テロリストの情報をつかんでそれを食いとめようとする、肯定的に描かれた警察官僚(大泉参事官)が出てくる。あ、「も」というのは、最近読んだ今野敏『隠蔽捜査』が頭にあります(すみません)。で、浪人生小説としての読みどころは、うーん…、ゼロかな(涙)。リューカ姫たちの話を聞いてお父さんが「ただの浪人生」である息子を見直す場面は、ちょっとよいかも。ちなみに、描かれているのは、序章を除いて5月の17日から23日まで。家は、三鷹らしい。兄弟はいないのかな? 予備校はどこあたりに通っているのだろう?(わからん)。そう、何巻目から浪人しているのかな、この主人公? やっぱりシリーズものは1巻目から読まないとあかんな(汗)。
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