サンプラザ中野 「青春ピコピコポコポコ」
2008年4月4日 読書同名書の表題作(頭痛が痛いみたいな日本語だな…)。手元にあるのは文庫(ソニー・マガジンズ文庫、1993)なのだけれど、奥付の手前のページには、<本書は一九九二年十二月(「終わる恋じゃねぇだろ」は一九八七年)小社より刊行されました。>と書かれているので、文庫化のさいにエッセイ集(『終わる〜』)を合わせて合本にしたのかもしれない。タイトルはあれだよね、芦原すなお『青春デンデケデケデケ』のもじりというか。読んだことがないのでわからないけれど、内容的には無関係じゃないかと思う。「ピコピコ〜」は電子音らしい。で、読んだ感想は、といえば、けっこう面白かったです。文章的にはちょっと…だけれど、ユーモアがあってちょくちょく笑える感じ。作者自身が「あとがきにかえて」で<青春時代。それはタクロウと彼女とロックを抜きには語れない。>(p.330)と書いているけれど、そのままというか、この表題作で描かれているのは、浪人のときのこと(1979年)、大学入学後、参加したロックバンド(「パンクフロイド」)でコンテストに出場したり、あと、時間的に平行して1人の彼女のこと。1〜5の番号が振られて小分けされているのだけれど、その最初の1が浪人生。んで、“浪人生小説”としてはどうかな…、模擬テストで合格判定がAだったり、参考書や問題集の間違いを探して出版社に知らせるのが趣味だったり、「ぼく」(仲野。下の名前は…裕志か)がW大に合格できるのは、当然といった感じ? 気が変になるくらい勉強したらしいけれど、それほど勉強ができるというのも才能というか、性格というか。勉強の動機が、大学に合格することで心が離れてしまった彼女(国立大学に合格して通っている)とよりを戻したいから、みたいなことはどう? 似た話がいままでに読んだ小説の中にあったっけな、思い出せない。ありそうでなかったかもしれない。なんていうか、自伝的な小説(であるらしい)はある程度、具体的でいいよね、ノンフィクション(不)合格体験記みたいなものになってしまうと、具体的すぎるけれど。ほかに浪人がらみのことでは…、そう、「ぼく」はいわゆる宅浪なのだけれど、高校のときの友達でのちにバンド仲間になる川井は、いちおう代々木の「Yゼミナール」に通っているらしい。
コメント