アンソロジー『七つの甘い吐息』(「小説新潮」編集部編、新潮文庫、2007)所収。1篇目。官○小説であるのはいいとしても、文章がなんていうか、ちょっとおっさんくさいかな。例えば、冒頭は、

 <「ただいま」/ある夕暮れ時のこと。藤本司郎は玄関の扉を開けると、左手に見えるリビングを窺いながら帰宅の挨拶を告げた。/しばし耳を傾けるも返事はない。(略)>(p.9

となっているのだけれど、語彙でいえば「夕暮れ時」とか、「しばし」とか。3人称で書かれてはいるけれど、18、19歳の男の子の視点というよりは、読者(層)に合わせた感じになっているのかもしれない。要するに浪人生が読んでも、ちょっとアレ(?)な感じかもしれない。

なんていうか、短篇であると2人くらいがふつう? 相手が1人くらいだとあれこれやっても(?)ちょっと買って損した感じがするのかな。予備校に通うために兄夫婦のもとに下宿している司郎くんが、兄嫁の麻美(のことが好きらしいのだけれど)の洗濯物を物色して、それ(=レオタード、というあたりもおっさんくさい?)をおかずに義姉の名前を叫んだりしている、ところを麻美の双子の妹である夏樹(姉ともちろん同じ歳の27歳、性格は正反対)に見られ、まずはその夏樹と。童○喪失です、はい。で、その場面を帰宅して部屋の外から見てしまった麻美は、なんていうか(顔が同じなので)自分もやりたくなって、後日、妹(夏樹)のふりをして司郎をホテルに呼び出して…、みたいな感じ。←この話に創造性があるのかないのか、よくわからん(涙)。どうでもいいけれど、この作者、登場人物の名前の付け方がちょっとでたらめ? 双子なのに「麻美」と「夏樹」だし、兄弟なのに(お兄さんは31歳でけっこう離れているのだけれど)「一樹」と「司郎」だし。そういう姉妹、兄弟がいていけないわけではないけれど。
 

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