この本も画像が出てこないな。同名書(CBSソニー出版、1981/光文社文庫、1989)所収、7篇中の1篇目。時代小説をその当時の人が読んだらどう思うか、とか思ったことがある人は多いと思うし(そんなに多くない?)、書名は覚えていないけれど、ここが変だよ時代劇、みたいな本も何冊か出版されていたと思う(例えば、戦国時代の侍があんな西洋馬に乗っているわけがない、とか)。だから(?)この短篇もそんな感じなのかな、と思う、資料の乏しいなかで未来の人が書いた現代を舞台にした小説を、私たち現代人が読むとどれくらい不思議な読みごこちになるか、が体験できる感じ。

で、これほどカッコよく描かれている小説中浪人生は、ちょっとほかにはいないのではないかと思う。昭和56年(1981年)、浪人である秋月新之助は、彼女のみつ(OL)の父親で刑事である明智耕介から頼まれて、武道館で開かれるアメリカ大統領来日記念の御前試合に出場することになる。――面白いのでおすすめはおすすめなのだけれど、でも、この小説自体が4半世紀以上前に書かれたもので、いまの浪人生は、たぶん三船敏郎も(現役の)北の湖もロッキード事件も知らないのではないか、と思う、そのへんはちょっとどうなのかな、うーん…。

小説を読んでいて「浪人」の2つの意味がかけられているのは、わりと見かけるかな(それほどでもないか)。本がどこかに行ってしまって見つからないけれど、これも時代小説のパロディっぽい、結城恭介「美琴姫様騒動始末」(同名書所収)の冒頭ってどうなっていたっけ?(思い出せないな(涙))。あと、室井光広の小説だっけな、それにも浪人生の定番アルバイトといえば、傘張り、みたいな冗談が書かれていたような。
 

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