短篇集ではないのだけれど、『日に新たなり 続・那珂川青春記』(実業之日本社、1999/集英社文庫、2002)の最初の1篇というか1話というか、全5篇(話)のうちの。“続”ではないほうが、主人公の高校生、大山茂が大学の受験に失敗したあたりで終わっているので、続篇はてっきり“浪人生編”かと思って買ってしまったら、時間が2年も飛んでしまっている(あーあ)。大学の寮の生活が描かれている連作的な小説なのだけれど、でも、この最初の1篇(1話)は、大学受験の前夜から翌日にかけてのことが書かれている。
東京大学の受験に2度失敗した茂くんは、今年は東京外語大学(イタリア科)を受ける予定。栃木県の黒磯から出てきて学生寮に泊まっているのだけれど、翌日に2次試験をひかえて、眠ろうとしても眠れないでいると、だいぶ年上の先輩(もちろん受かれば)らしい男(衛藤)がやってきて、話しかけられ、お腹すいてないか、みたいなことで、近くにラーメン屋へ連れて行かれ、あれこれと話をしたり、ラーメンを食べるだけでなくお酒も飲んだりする……。はっきり断れよ、茂! とか思うけれど、まぁ結局大学には受かるわけだから小説的には結果オーライなのかな。でも、現実問題(?)ふつう、試験前日に他人のお酒に付き合ったら駄目だよね、それで翌日起きれなくて……みたいな漫画的なことになってしまうから。浪人生は関係ないけれど、試験が終わったあと、茂は高校の同級生で同じく2浪していて同じ大学を受けた青木と映画を見たり、またお酒を飲んだりしたらしい。――小説を読んでいると、受験生が最後の試験が終わったあとに映画を見る、というのはけっこうある話かな。あと、小説だと(やっぱり小説家が書くからか)本を何冊か買って帰る、とかもときどき見かける気がする。
読んでいて、個人的にああちょっとわかるな(あくまで「ちょっと」)と思ったのは、前年、前々年の受験失敗の原因について書かれている箇所。
<大学受験に失敗した原因ははっきりしていた。自信過剰と高望みをしすぎたせいだ。自分の実力にあった大学を選べばよかったのだ。/二度の受験失敗は、茂の自己過信を完膚無きまでに叩きのめした。世間には頭のいい連中がわんさといる。そのことを嫌というほど、味わった挫折だった。浪人をして、茂はだいぶ夢と現実をわきまえるようになった。>(p.11、文庫)
不合格校が東大であると受かった人より自分は頭がよくない、みたいな挫折のしかたもあるのか。へー。でも、どこの大学であれ、努力すればどうにかなるだろう、みたいな信念も、1浪して2度目の受験に失敗したりすると、たんなる楽観だったこともわかったりするしね。夢と現実、みたいな問題は、受験にかぎらず、人生において繰り返し現れる問題…というより悩みかな。←何が言いたかったのか自分でもわからなくなってきたけれど、まぁいいか(今日もテキトーだ(汗))。
書き忘れていたけれど、年代ははっきりしている。東京オリンピックが2年後というと、1962年、か。自伝的な小説らしいから、作者もたぶん1960年、1961年には浪人していたのかもしれない。茂くんは予備校には通っていなかったのかな?(書かれていないな)。茂が東外大を選んだ理由は、受験科目がほかの国立大学よりも少ないことだけでなく、東京オリンピックがらみで<外語生は通訳や語学のアルバイトでひっぱりだこになるはずだ>(p.12)と考えてのことらしい。
東京大学の受験に2度失敗した茂くんは、今年は東京外語大学(イタリア科)を受ける予定。栃木県の黒磯から出てきて学生寮に泊まっているのだけれど、翌日に2次試験をひかえて、眠ろうとしても眠れないでいると、だいぶ年上の先輩(もちろん受かれば)らしい男(衛藤)がやってきて、話しかけられ、お腹すいてないか、みたいなことで、近くにラーメン屋へ連れて行かれ、あれこれと話をしたり、ラーメンを食べるだけでなくお酒も飲んだりする……。はっきり断れよ、茂! とか思うけれど、まぁ結局大学には受かるわけだから小説的には結果オーライなのかな。でも、現実問題(?)ふつう、試験前日に他人のお酒に付き合ったら駄目だよね、それで翌日起きれなくて……みたいな漫画的なことになってしまうから。浪人生は関係ないけれど、試験が終わったあと、茂は高校の同級生で同じく2浪していて同じ大学を受けた青木と映画を見たり、またお酒を飲んだりしたらしい。――小説を読んでいると、受験生が最後の試験が終わったあとに映画を見る、というのはけっこうある話かな。あと、小説だと(やっぱり小説家が書くからか)本を何冊か買って帰る、とかもときどき見かける気がする。
読んでいて、個人的にああちょっとわかるな(あくまで「ちょっと」)と思ったのは、前年、前々年の受験失敗の原因について書かれている箇所。
<大学受験に失敗した原因ははっきりしていた。自信過剰と高望みをしすぎたせいだ。自分の実力にあった大学を選べばよかったのだ。/二度の受験失敗は、茂の自己過信を完膚無きまでに叩きのめした。世間には頭のいい連中がわんさといる。そのことを嫌というほど、味わった挫折だった。浪人をして、茂はだいぶ夢と現実をわきまえるようになった。>(p.11、文庫)
不合格校が東大であると受かった人より自分は頭がよくない、みたいな挫折のしかたもあるのか。へー。でも、どこの大学であれ、努力すればどうにかなるだろう、みたいな信念も、1浪して2度目の受験に失敗したりすると、たんなる楽観だったこともわかったりするしね。夢と現実、みたいな問題は、受験にかぎらず、人生において繰り返し現れる問題…というより悩みかな。←何が言いたかったのか自分でもわからなくなってきたけれど、まぁいいか(今日もテキトーだ(汗))。
書き忘れていたけれど、年代ははっきりしている。東京オリンピックが2年後というと、1962年、か。自伝的な小説らしいから、作者もたぶん1960年、1961年には浪人していたのかもしれない。茂くんは予備校には通っていなかったのかな?(書かれていないな)。茂が東外大を選んだ理由は、受験科目がほかの国立大学よりも少ないことだけでなく、東京オリンピックがらみで<外語生は通訳や語学のアルバイトでひっぱりだこになるはずだ>(p.12)と考えてのことらしい。
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