『二十歳の火影』(講談社、1980/講談社文庫、1983)というエッセイ集に収録されている1篇。エッセイといってもけっこう小説っぽくて、小説としても扱われているらしい。手もとにあるのは文庫本で、たったの3ページ。内容はタイトルそのままというか、友達と2人で(大阪から)東京に私立大学を受験に行く列車のなかで、京都から乗ってきた受験帰りの美人の女の子(高校生)に、あれこれ悩んだりした末に声をかけて、話も盛りあがって。その子は三島で降りてしまうのだけれど、「私」と友達も受験に行くのがなんだかばからしくなり、熱海で降りて(受験費用を使って!)温泉など、伊豆の旅に……。女の子との後日談みたいなものもあるのだけれど、何が驚きかといえば、この“受験敵前逃亡エッセイ”(?)の初出が、受験雑誌の『螢雪時代』(1978年7月)である、ということ。受験生の人はまねしたらあかんよね? 佐藤春夫なんかも、雷が鳴っているからとか言い訳して一高(いまでいえば東大)の受験に行かなかったらしいけどね。

ちなみに、同書に収録されている「青春の始まりの日」というエッセイには、浪人生(3浪かな、苦学生)が出てきている。浪人生は関係ないけれど、同書では「土曜日の迷路」という、『螢雪時代』の姉妹誌『高一時代』(1980年3月)に掲載されたエッセイも読める。
 
 
[追記(2016.06.22)]このページがときどき検索(訪問)されているんだけど(汗)、感想を書くときには「受験」だけでなくて「嘘」とか「死」などもキーワードとしたほうがいいかもしれません。電話の件は大事だよね(?)。タイトルの「途中下車」も文字通りの意味だけでいいのか、とか一応、検討したほうがいいかも。(私にはよくわからないですが。)
 

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