いま手もとにあるのは、中野翠編『尾崎翠集成(上)』(ちくま文庫、2002)。書名のほうの下の名前の上「羽」の漢字がちょっと違う……けれど、まぁどうでもいいか。読み始めて、でも、いまいちピンとこなくて30ページくらいで挫折(涙)。「私」(小野町子)は上京して「変な家族」――兄の小野一助と二助、従兄の佐田三五郎――と一緒に暮らし始める。――語り手の「私」も変わっている感じなので、ツッコミ担当がいないんだよね、この小説。読者が自分でツッコミを入れる必要がある、たぶん。なんていうか、ふつうの小説をたくさん読んで、読み疲れたころにもう1度読んでみたら、けっこう面白く読めるかも。

最後まで読んでいないけれど、いつも書いているようなことも書いておかないと。従兄の三五郎が音楽学校を目指している浪人生で、音楽予備校(「分教場」)に通っている。三五郎による意外な名言があるな、例えば、

 <「受験生とは淋しいものだ。一度受験して二度目にも受験しなければならぬ受験生はより淋しいものだ。(略)」>(p.16)
 <「(略)/あのピアノは、きっと音楽学校に幾度も幾度もはいれなかった受験生が、僕に捨てておいたピアノだよ。その受験生は国で百姓をしているにちがいない。(略)」>(p.34)

など。別に「名言」とは言わないか(汗)。ちなみに、この小説の初出は(本の後ろのほうを見ると)1931年らしい。

(あまり関係ないし、たまにちらっと見かけただけだからよく知らないけれど、いわゆる朝ドラ、NHKの連続テレビ小説『純情きらり』で、宮崎あおい演じる桜子も、確か音楽学校に入るのに浪人していたと思う。上京して変わった住人ばかり(?)がいる下宿に住み始める。あれは、時間的にはもっとあと、かな、そのあとに戦争が始まる(と思う)から。)
 

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