津原やすみ 『素顔にKISSして――あたしのエイリアン』
2008年7月19日 読書講談社X文庫ティーンズハート、1994。シリーズものの18冊目らしい(上下巻が1作あるみたいで、17作目らしい)。順に読みたいのだけれど、どこの古本屋にも行ってもぜんぜん売っていなくて、とりあえず(あまり行かない古本屋で)やっと手に入ったのがこの1冊。※以下、いつものようにネタがばれていますので、読まれていない方はご注意ください。基本的に高校1年から主人公の学年というか年齢があがっていくタイプのシリーズらしく、この1作は浪人生編の最後にあたるようだ。――で、ぜんぜん期待せずに読んだら意外と面白かったです。けっこう“浪人生小説”にもなっている感じだし。でも、だからやっぱり、現役受験の手前くらいから読みたかったかな。ま、そのうちどこかの古本屋でふと出会うこともあるか。
<ホシオと出会って、3年の月日。/宇宙船にのって地球にやってきたホシオだけど、見た目は、ふつうの日本人。/あたしのイトコってことになってる、あたしの落ちた燈林学院大1年生。/あたし、百武千晶。19歳、予備校生。/燈林に入れなかったら、クリスマスも、ヴァレンタインも、きっとあたしの誕生日もこの地球から消滅させてやるわ……。/お願い、ホシオといつも一緒にさせて>(表紙カバーの折り返しより。最後の「させて」のあとに白抜きのハートマーク)
なんていうか、「ホシオ、ホシオ」と言っているような小説、かな。秋くらいから始まっていて、ストーリーとしては、燈林の学園祭、クリスマスにヴァレンタイン、といった感じなのだけれど(ってどんな感じだよ…)、“浪人生小説”としての読みどころは、まず、やっぱり大学生と浪人生はわかりあえない、みたいな部分かな。「あたし」のいらいら、というか。ホシオくんの名言(?)があるな、
<ホシオは笑って、/「千晶と話していると、大学生でいることが犯罪みたいな気がしてくる」>(p.111)
。「大学生は大学生で大変」とか「浪人時代もあとから振り返ればいいもの」的な発言は、大学生未満の浪人生の神経を逆なでするよね。たしかに千晶の言うとおり、そういうものはマリー・アントワネット的な発言(「パンがないならお菓子を食べればいいのに」)だよね(…でも、ちょっとずれているか)。彼女が勉強で忙しいだろうから会わないようにしたり、電話もあまりしないようにしたりする、みたいなことはどうなの? なんとなくありがちなベタなカップルという気もするけれど、あまり小説では書かれていない部分かもしれない。それにしても、ホシオくんは寛容というか、優しい感じだよね。浪人生の彼女をもつ大学生が読めば、ホシオくんの対応は多少参考になるかもしれない(って、ならないか(汗))。でも、いまさらながら受験生は大変だよね、クリスマスは模擬試験、ヴァレンタインは本命大学の入試日…。
ネタバレしてしまうけれど、世界史を捨てて英語と国語だけ勉強して、その世界史のために落ちたと思っていたら、実は(英語で高得点をとっていて?)受かっていた、みたいな(“ところがどっこい”的な?)展開は、まぁ、漫画でよくありそうな感じかな(某漫画では、落ちたと思ったら補欠で合格していた、みたいなことが)。書き忘れていたけれど、「あたし」は都立高校卒。ちなみに、「あとがき」によれば、作者の津原やすみ(津原泰水)――男性作家だよね?――も「A山学院大学」に入るのに浪人しているらしい。浪人時代のことを、<いま思うとやっぱり楽しかった>、<不安定で、自由で、不思議な時代でした>(ともにp.205)と語っている。(関係ないけれど、清水義範「国語入試問題必勝法」的なことが書かれている箇所もあったっけな。えーと、p.87か。)
<ホシオと出会って、3年の月日。/宇宙船にのって地球にやってきたホシオだけど、見た目は、ふつうの日本人。/あたしのイトコってことになってる、あたしの落ちた燈林学院大1年生。/あたし、百武千晶。19歳、予備校生。/燈林に入れなかったら、クリスマスも、ヴァレンタインも、きっとあたしの誕生日もこの地球から消滅させてやるわ……。/お願い、ホシオといつも一緒にさせて>(表紙カバーの折り返しより。最後の「させて」のあとに白抜きのハートマーク)
なんていうか、「ホシオ、ホシオ」と言っているような小説、かな。秋くらいから始まっていて、ストーリーとしては、燈林の学園祭、クリスマスにヴァレンタイン、といった感じなのだけれど(ってどんな感じだよ…)、“浪人生小説”としての読みどころは、まず、やっぱり大学生と浪人生はわかりあえない、みたいな部分かな。「あたし」のいらいら、というか。ホシオくんの名言(?)があるな、
<ホシオは笑って、/「千晶と話していると、大学生でいることが犯罪みたいな気がしてくる」>(p.111)
。「大学生は大学生で大変」とか「浪人時代もあとから振り返ればいいもの」的な発言は、大学生未満の浪人生の神経を逆なでするよね。たしかに千晶の言うとおり、そういうものはマリー・アントワネット的な発言(「パンがないならお菓子を食べればいいのに」)だよね(…でも、ちょっとずれているか)。彼女が勉強で忙しいだろうから会わないようにしたり、電話もあまりしないようにしたりする、みたいなことはどうなの? なんとなくありがちなベタなカップルという気もするけれど、あまり小説では書かれていない部分かもしれない。それにしても、ホシオくんは寛容というか、優しい感じだよね。浪人生の彼女をもつ大学生が読めば、ホシオくんの対応は多少参考になるかもしれない(って、ならないか(汗))。でも、いまさらながら受験生は大変だよね、クリスマスは模擬試験、ヴァレンタインは本命大学の入試日…。
ネタバレしてしまうけれど、世界史を捨てて英語と国語だけ勉強して、その世界史のために落ちたと思っていたら、実は(英語で高得点をとっていて?)受かっていた、みたいな(“ところがどっこい”的な?)展開は、まぁ、漫画でよくありそうな感じかな(某漫画では、落ちたと思ったら補欠で合格していた、みたいなことが)。書き忘れていたけれど、「あたし」は都立高校卒。ちなみに、「あとがき」によれば、作者の津原やすみ(津原泰水)――男性作家だよね?――も「A山学院大学」に入るのに浪人しているらしい。浪人時代のことを、<いま思うとやっぱり楽しかった>、<不安定で、自由で、不思議な時代でした>(ともにp.205)と語っている。(関係ないけれど、清水義範「国語入試問題必勝法」的なことが書かれている箇所もあったっけな。えーと、p.87か。)
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