田中雅美 『クラスメイトよ、大志を抱け!』
2008年7月20日 読書新潮文庫、1990。城南大学の仏文学科に学ぶ4人組が探偵役(というか)を務めている青春ユーモア・ミステリー“クラスメイト・シリーズ”の第3作(3巻目)。シリーズぜんぶで何冊出ているのか知らないけれど、とりあえず5冊は確保してあって、いまのところ3巻目まで読了(※以下、毎度すみません、ちらちらとネタがバれていますので、読まれていない方はご注意ください。あ、3巻目だけでなく、別の巻の内容にも触れています)。なんていうか、1巻目(『〜に手を出すな!』・1988)が妹、妹なのに対して、この3巻目では母親、母親といった感じかな(意味不明か(汗))。このシリーズ、ジュニア向けの小説(?)のせいか、書かれた年代のせいなのか、個人的には読んでいてちょっと懐かしい感じがする。
やっぱり大友洋治こと、飯田くん(飯田隆、3巻目まで22歳)のキャラクターでもっているシリーズなのかな、これ。高校のときは喧嘩の達人で英語は苦手だったにもかかわらず、大学では才能を発揮し、努力の甲斐もあって「三冠王」(会話、文法、講読)と呼ばれるフランス語の秀才に…。一方では亡くなった両親にかわって、高校生の妹の面倒を見ながら浅草橋でスナック(『きびだんご』)を経営しているマスターでもある。この飯田くんの東京下町のべらんべえ口調……ではなくて、なんていうのかな、ちょっと乱暴な感じのしゃべり方も、なんとなく懐かしい感じがする。自分が中学生くらいのときって(あ、別に東京ではないけれど)そういうしゃべり方をする人が周りにけっこういたような…。記憶がおかしくなっているのかな(わからない)。
<ニセ学生からの脱却を目指し、受験勉強に励む隆。電気店でアルバイトに精をだす耕一。理香と奈美子も教授に褒められるほどフランス語が上達し、四人組にも平和な日々が訪れた……とみえたのも束の間、ひょんなことから、耕一が『きびだんご』に連れてきた男・篠田直樹は何者かに付け狙われているようだった。またまた事件に巻き込まれる凸凹四人組。知恵と勇気と友情のシリーズ第三弾。>(表紙カバーより)
メイン・キャラの4人は、飯田くんのほかには、3巻目ではアルバイト(花崎電気)を始めているけれど、当初は女子高の教師を目指して(アイドルの夢丘真樹好きの夢想家でもある)学校とアパートを往復するだけの真面目な貧乏(というより食料に飢えた)学生、島崎耕一、お嬢様で気さくな性格だけれど(大きめのパンプスが脱げたりする)、でもフランス語が苦手で試験前に飯田くんに泣き付いたりする風間理香、バイクで大学に通っている空手4段の、家の塀なんかも軽々と飛び越えられる山岡奈美子がいる。――“でこぼこ”という感じはしないかな、なんていうか、でも、とりあえず息はぴったりあっている感じ。1〜3巻を読んだ感じでは、推理小説として、この4人が“事件”を調べていく動機がちょっと弱い気も…。必然性があまり感じられないよね?(誰に訊いているのやら(汗))。4人の事件からの距離感というか、死亡事件に関して4人の誰かが死体を発見する、みたいなことはないし、そういう意味では人工的というか、ちょっとファンタジー(?)になっているかもしれない。
あ、それぞれのキャラの服装について書いていなかったよ。…別に書く必要もないか(汗)。でも、そう、まだバブル経済・バブル景気が終わる前の1990年前後、大学生の服装はじめファッションとか、憧れているブランドとかは、実際にも、この小説に描かれている感じだったのかな?(わからん)。飯田くんの時代を超越している(?)服装はともかく、理香や奈美子のそれら…? 2巻目(『〜に御用心』・1989)では消費文化の象徴であるところの(?)デパートが登場してきている。3巻目では家電販売店が。シリーズを通して出てくる食べ物や自動車なんかも、そういう目で見れば、そんなふうに見えてくる気かな…。1巻目では学食のかつカレーとかだったのに対して、3巻目ではふぐさしにふぐちりが…!(1巻目を読んでいるとき、いまが夏だからかもしれないけれど、かつカレーはけっこう食べたくなったです)。
ほかにシリーズ・キャラクターとしては、飯田くんの妹、裕美(ひろみ)のほかには、飯田くんが尊敬している(飯田くんも信頼されている)学科長の大文字先生がいるのだけれど(大学教授にふさわしいほのぼのと浮世離れした性格?)、そういえばこの人、3巻目ではぜんぜん出てこなかったような…。1巻目でも2巻目でも、事件の関係者が城南大学の学生(しかも両方の巻とも法学部の4年生がらみ。たたられている学部学年?)だったのに対して――というか、2巻目では大文字先生が死体の発見者になっているのだけれど――、3巻目では事件(というか)の関係者が会社に勤めている社会人だったりするので、大学の場面が相対的に少なくなっているから、出てこないのかもしれない。あと、2巻目から飯田くんが大学を受験する決意をして、勉強を始めてしまっているので、小説の関心が大学の授業からちょっと離れていることにも原因があるのかもしれない(というか、そんなことどうでもいいや(汗))。
そう、1巻目で飯田くんが大学の生協で校歌のレコードを購入している。生協ってそうものも商っているんだね(ちょっとびっくり)。自分が通っていた大学でも売っていたのかな、というか、自分の卒業大学の校歌があるのかないのか、それすらも知らない(汗)。いままでぜんぜん考えたことがなかったけれど、校歌を愛するのって、愛校心の現れなんだね、知らなかった(気づかなかった)です。4巻目(『シスター・パニック』・1991、まだ10ページくらいしか読んでいないけれど)の最初のへんでは、大学に合格した飯田くんが生協で購入した“城南大グッズ”をあれこれ身につけたりして登場している。ほかの受験生も見習うべき愛校心? 飯田くんの勉強方法からもちょっと何か学べるかな。勉強し出したら(集中し出したら)学生食堂でも併設の喫茶室でも、猪突猛進型というか、暴走機関車タイプというか、そんな感じの勉強姿勢……まねできないか(汗)。
あと、やっぱり1科目でも得意な科目があると、受験においては得というか、ちょっと有利な感じではあるよね。ネタバレしてしまうけれど、飯田くん、英語が不得意で「アイ・ハブ・ア・ペン」(I have a pen.)から勉強していたところ、英語の代わりに得意なフランス語で受験できることがわかって、だいぶ楽になる(もちろん、英語が苦手なのに仏語が得意、という設定に関しては、本文中でほかの登場人物からツッコミ(?)を入れられている)。でも、国語は小学校の漢字から勉強しているけれど。受験科目はあと世界史があって、合計3科目。試験問題はマーク・シート方式らしい。そう、高校をいちおう卒業できているのが意外と大きいかも。中退であると大検を受けて…みたいな位置からスタートしないといけないから。やっぱりほのぼの小説だよね(?)。
そういえば、本文中に一度でも「浪人」という言葉は出てきたっけ? 出てこなかったような…。以前にも書いたような気がするけれど、大学を受験してちゃんと(?)落ちていないと“浪人生”という感じはしないかもしれない。しかも、飯田くんの場合、すでにちゃんと働いている感じで、そういう意味では“社会人入学”とか、2度目の受験ではないけれど、“再受験”とかそんなようなイメージがあるかもしれない(そうでもないかな、わからない)。でも、いずれにしても、個人的にうらやましく思うのは、友達やその他のクラスメイトたちや、妹から、大学受験を心から応援されているところ、かな。これは当然、キャラクターのたまもの? 自分が大学受験のときのことを振り返っても、表面的な人たち(?)を除けば、応援してくれる人(味方というか)なんて、ぜんぜんいなかったもんな…(遠い目)。
ちなみに「城南大学」というのは、5巻目(『〜はフォーリン・ラブ』・1992)の「解説」(板橋雅弘)であれこれ書かれているけれど、TVドラマや小説を作るさいの有名な“フリー素材”というか、TVドラマや小説でよく見かける大学の名前。最近ではTVドラマの『相棒』を見ていたら出てきていたけれど。あのドラマでは(『アサヒ芸能』ではなくて)『キリン芸能』という雑誌も出てきていたっけな(「アサヒ」「キリン」ってビール? 『ユウヒ芸能』ではサマにならないか)。半村良の小説『下町探偵局 PART1』(過去ログ参照です)では、会話の部分でたしか、小説では大学は「城南大学」、新聞は『毎朝新聞』が定番、みたいなことが書かれていたと思う(それを小説の登場人物が口にしていることが、メタ的に面白いのかもしれないけれど)。ちなみに“クラスメイト・シリーズ”の「城南大学」は、田町にあるらしい。
やっぱり大友洋治こと、飯田くん(飯田隆、3巻目まで22歳)のキャラクターでもっているシリーズなのかな、これ。高校のときは喧嘩の達人で英語は苦手だったにもかかわらず、大学では才能を発揮し、努力の甲斐もあって「三冠王」(会話、文法、講読)と呼ばれるフランス語の秀才に…。一方では亡くなった両親にかわって、高校生の妹の面倒を見ながら浅草橋でスナック(『きびだんご』)を経営しているマスターでもある。この飯田くんの東京下町のべらんべえ口調……ではなくて、なんていうのかな、ちょっと乱暴な感じのしゃべり方も、なんとなく懐かしい感じがする。自分が中学生くらいのときって(あ、別に東京ではないけれど)そういうしゃべり方をする人が周りにけっこういたような…。記憶がおかしくなっているのかな(わからない)。
<ニセ学生からの脱却を目指し、受験勉強に励む隆。電気店でアルバイトに精をだす耕一。理香と奈美子も教授に褒められるほどフランス語が上達し、四人組にも平和な日々が訪れた……とみえたのも束の間、ひょんなことから、耕一が『きびだんご』に連れてきた男・篠田直樹は何者かに付け狙われているようだった。またまた事件に巻き込まれる凸凹四人組。知恵と勇気と友情のシリーズ第三弾。>(表紙カバーより)
メイン・キャラの4人は、飯田くんのほかには、3巻目ではアルバイト(花崎電気)を始めているけれど、当初は女子高の教師を目指して(アイドルの夢丘真樹好きの夢想家でもある)学校とアパートを往復するだけの真面目な貧乏(というより食料に飢えた)学生、島崎耕一、お嬢様で気さくな性格だけれど(大きめのパンプスが脱げたりする)、でもフランス語が苦手で試験前に飯田くんに泣き付いたりする風間理香、バイクで大学に通っている空手4段の、家の塀なんかも軽々と飛び越えられる山岡奈美子がいる。――“でこぼこ”という感じはしないかな、なんていうか、でも、とりあえず息はぴったりあっている感じ。1〜3巻を読んだ感じでは、推理小説として、この4人が“事件”を調べていく動機がちょっと弱い気も…。必然性があまり感じられないよね?(誰に訊いているのやら(汗))。4人の事件からの距離感というか、死亡事件に関して4人の誰かが死体を発見する、みたいなことはないし、そういう意味では人工的というか、ちょっとファンタジー(?)になっているかもしれない。
あ、それぞれのキャラの服装について書いていなかったよ。…別に書く必要もないか(汗)。でも、そう、まだバブル経済・バブル景気が終わる前の1990年前後、大学生の服装はじめファッションとか、憧れているブランドとかは、実際にも、この小説に描かれている感じだったのかな?(わからん)。飯田くんの時代を超越している(?)服装はともかく、理香や奈美子のそれら…? 2巻目(『〜に御用心』・1989)では消費文化の象徴であるところの(?)デパートが登場してきている。3巻目では家電販売店が。シリーズを通して出てくる食べ物や自動車なんかも、そういう目で見れば、そんなふうに見えてくる気かな…。1巻目では学食のかつカレーとかだったのに対して、3巻目ではふぐさしにふぐちりが…!(1巻目を読んでいるとき、いまが夏だからかもしれないけれど、かつカレーはけっこう食べたくなったです)。
ほかにシリーズ・キャラクターとしては、飯田くんの妹、裕美(ひろみ)のほかには、飯田くんが尊敬している(飯田くんも信頼されている)学科長の大文字先生がいるのだけれど(大学教授にふさわしいほのぼのと浮世離れした性格?)、そういえばこの人、3巻目ではぜんぜん出てこなかったような…。1巻目でも2巻目でも、事件の関係者が城南大学の学生(しかも両方の巻とも法学部の4年生がらみ。たたられている学部学年?)だったのに対して――というか、2巻目では大文字先生が死体の発見者になっているのだけれど――、3巻目では事件(というか)の関係者が会社に勤めている社会人だったりするので、大学の場面が相対的に少なくなっているから、出てこないのかもしれない。あと、2巻目から飯田くんが大学を受験する決意をして、勉強を始めてしまっているので、小説の関心が大学の授業からちょっと離れていることにも原因があるのかもしれない(というか、そんなことどうでもいいや(汗))。
そう、1巻目で飯田くんが大学の生協で校歌のレコードを購入している。生協ってそうものも商っているんだね(ちょっとびっくり)。自分が通っていた大学でも売っていたのかな、というか、自分の卒業大学の校歌があるのかないのか、それすらも知らない(汗)。いままでぜんぜん考えたことがなかったけれど、校歌を愛するのって、愛校心の現れなんだね、知らなかった(気づかなかった)です。4巻目(『シスター・パニック』・1991、まだ10ページくらいしか読んでいないけれど)の最初のへんでは、大学に合格した飯田くんが生協で購入した“城南大グッズ”をあれこれ身につけたりして登場している。ほかの受験生も見習うべき愛校心? 飯田くんの勉強方法からもちょっと何か学べるかな。勉強し出したら(集中し出したら)学生食堂でも併設の喫茶室でも、猪突猛進型というか、暴走機関車タイプというか、そんな感じの勉強姿勢……まねできないか(汗)。
あと、やっぱり1科目でも得意な科目があると、受験においては得というか、ちょっと有利な感じではあるよね。ネタバレしてしまうけれど、飯田くん、英語が不得意で「アイ・ハブ・ア・ペン」(I have a pen.)から勉強していたところ、英語の代わりに得意なフランス語で受験できることがわかって、だいぶ楽になる(もちろん、英語が苦手なのに仏語が得意、という設定に関しては、本文中でほかの登場人物からツッコミ(?)を入れられている)。でも、国語は小学校の漢字から勉強しているけれど。受験科目はあと世界史があって、合計3科目。試験問題はマーク・シート方式らしい。そう、高校をいちおう卒業できているのが意外と大きいかも。中退であると大検を受けて…みたいな位置からスタートしないといけないから。やっぱりほのぼの小説だよね(?)。
そういえば、本文中に一度でも「浪人」という言葉は出てきたっけ? 出てこなかったような…。以前にも書いたような気がするけれど、大学を受験してちゃんと(?)落ちていないと“浪人生”という感じはしないかもしれない。しかも、飯田くんの場合、すでにちゃんと働いている感じで、そういう意味では“社会人入学”とか、2度目の受験ではないけれど、“再受験”とかそんなようなイメージがあるかもしれない(そうでもないかな、わからない)。でも、いずれにしても、個人的にうらやましく思うのは、友達やその他のクラスメイトたちや、妹から、大学受験を心から応援されているところ、かな。これは当然、キャラクターのたまもの? 自分が大学受験のときのことを振り返っても、表面的な人たち(?)を除けば、応援してくれる人(味方というか)なんて、ぜんぜんいなかったもんな…(遠い目)。
ちなみに「城南大学」というのは、5巻目(『〜はフォーリン・ラブ』・1992)の「解説」(板橋雅弘)であれこれ書かれているけれど、TVドラマや小説を作るさいの有名な“フリー素材”というか、TVドラマや小説でよく見かける大学の名前。最近ではTVドラマの『相棒』を見ていたら出てきていたけれど。あのドラマでは(『アサヒ芸能』ではなくて)『キリン芸能』という雑誌も出てきていたっけな(「アサヒ」「キリン」ってビール? 『ユウヒ芸能』ではサマにならないか)。半村良の小説『下町探偵局 PART1』(過去ログ参照です)では、会話の部分でたしか、小説では大学は「城南大学」、新聞は『毎朝新聞』が定番、みたいなことが書かれていたと思う(それを小説の登場人物が口にしていることが、メタ的に面白いのかもしれないけれど)。ちなみに“クラスメイト・シリーズ”の「城南大学」は、田町にあるらしい。
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