『ころす・の・よ』(新潮文庫、1988)所収、7篇中の1篇目。※毎度すみません、以下、ネタバレ注意です。これも一応、“疑わしきは浪人生”ものの1つかな。←どういうジャンルだよ!(汗)。そういえば、叔母さんの目から見た(甥の)浪人生が描かれている小説(といっても短篇)は今回、初めて読んだかもしれない。ただ、この小説の語り手兼主人公の女性は、甥に「おばさん」ではなく「お姉さん」と呼ばせているけど。

夫の転勤で知り合いのいない田舎に越してきて、しかも交通事故にあって通院を続けている「わたし」(27歳)のもとに、突然、2人組の警察(県警の刑事)が訪ねてきて、星岡啓吾さん――大学に受かるまでの約束で同居している打ち解けない感じの浪人生の甥、おんとし19歳――は5日前の8月6日にどこにいましたか、みたいなことを尋ねられ(その日に石郷稔という人が殺されている)、「わたし」は図書館に行っていたと思う、みたいなことを答えるのだけれど、そういえばその日、啓吾さんはうんぬん――、みたいな話。

私は途中でオチがわかってしまったけれど、最後まで読むと、ちょっといい話だった、という感じになるかもしれない。表紙の文句はどうなっていたっけ?

 <(略)をはじめ、暑く重苦しい夏の殺人事件と蛍を象徴的にからませた「暗い光」、(略)>

とある。蛍だけでなく「わたし」は甥にスイカを切って出してあげたりしていて、暑くはあれ、ちょうどいま8月であるし、夏に夏の小説を読むのはなかなかよいな、と思ったです(内容とは関係がないか(汗))。あと、出版年は――20年前か、この田舎の描写とかが個人的には、なんとなく懐かしく思えたです。

啓吾くん、予備校には通っていないのかな? 現役受験失敗の理由というかは、小学校のときに両親が離婚してずっと母親と2人暮らしだったらしいけれど、今年の初めにその母親がなくなって、「わたし」の夫の両親(要するに祖父母)のもとに引き取られたけれど、その家族となじめずに(というか、こんなにずるずる書くくらいならp.10の真ん中あたりをそっくり引用したほうがよかったか、失敗です)、それが大学受験にも影響したらしい。
 

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