20歳前後(20代前半が多いか)の女の子を語り手にした“アパート小説”集、『恋するマドリ もうひとつの物語たち』(リンダブックス、2007)に収録されている1篇(7篇中の6篇目)。“浪人生”はあまり関係がないけれど、ああこういうケースもあるのか、とちょっと思って。――受けた大学に1つも合格せず、予備校に通い始めていたのに、大学(受けたところの1つ)に採点ミスがあって、(本来の合格者の)希望者には5月からの入学を許可する、みたいなことを言われ、もちろん「私」(玲子)は、そこに<(略)入学しないわけがなく。>(p.167)。で、時期はずれで見つけたアパートはハズレだった…というか、窓からも見える大きな謎の木があって…、みたいな話。というか、内容については、短いものなので私が説明するより読んでもらったほうが早いかと思う。

経済的にはどうなのかな、このケース? 払ってしまった予備校代は戻ってこないだろうし、大学も入学金とかを免除してくれなそうだしね…。もちろん1年間浪人するよりは、入学してしまったほうが、お金的にはだいぶ助かるかもしれない(たいてい本人よりも親御さんが)。そうしたお金の話を別にすれば(例えばお金に困っていない人とかは)、どう? 連絡してきた大学が滑り止めの滑り止めみたいなところだったら、何をいまさら、お前のところなんて! みたいな逆ギレ(二度ギレ?)もあるか(汗)。採点ミスうんぬんとかの前に、そもそも本命(第一志望)に落ちて滑り止めに受かった場合、そこに行くか、本命を目指してやっぱり浪人するか、みたいな選択を迫られてしまうかもしれない。悩みどころ? (たしか奥田英朗『東京物語』の1篇「春本番」では、主人公が受かった滑り止め1校を蹴っていたと思う。←本がゆくえ知れずで、記憶。)

あと、それほど深読みではないと思うけれど、この「私」はちゃんと、2月だか3月だかに掲示板(合格受験番号一覧)なり合格通知なりを見て、「ああ大学に受かった!」みたいなことがなかったわけで、そういう意味では、大きな謎の木の謎が謎ではなくなったときが、なんていうかその時であるのかもしれない(意味不明やな(汗))。
 

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