収録本がわからず、図書館に行って雑誌『海燕』(1994年5月号)からコピーをとってくる(借りられないので)。タイトルにある「死躰たち」という言葉には、本文中では「ゾンビ」とルビが振られている。「ゾンビ」とルビが振られているのは、その言葉だけではないけれど。

内容というかは、ひと言でいえば“団地小説”です。東京の外れにある、住人の間にゾンビの噂が広がっていて、なぜか外部の人による自殺の名所となっている団地。実際に小説の途中からは――ネタバレしてしまうけれど(※以下、ネタバレ注意です、すみません)、団地の人たちがどんどんとゾンビ化していって、中学2年生の明夫(視点人物の1人)やその同級生で同じ団地外の塾に通う陽子、浪人生の広司(視点人物の1人)の身にも危険がせまってくる。――で、感想はといえば、最後まで読んでも、B級ホラー映画以下のどこが面白いのやらな、微妙な純文学系小説というかなんというか。別に“団地”がどういう場所なのかとか、そこにどういう恐怖(?)が潜んでいるのかとか、そういうことが知りたいわけでもないし。うーん…。ゾンビ化する前に、お父さん(明夫の)はすでにある意味ゾンビ、みたいな話とかも、個人的にはいらないな。

文章・文体的には、意図があってそう書かれているのだろうけれど(どんな意図か知りたくはないけれど)「頭痛が痛い」みたいな表現がけっこう多い、のがちょっと気になるかな。ごらんの通り、文章についてはまったく人のことは言えたものではないけれど(汗)。でもちょっとね…。そう、↓ここの箇所など個人的にはふつうにむかつく、のだけれど、どうですか?

 <コーヒーの自動販売機の、湯気が上がっているカップの中のコーヒーの写真のパネルの中の蛍光灯が切れかかっているらしく、ちかちかとまばたきを繰り返していた。>(p.103、下段)

数えてみると8つ? 「の」の8連発だよ(涙)。

中学生の明夫から望遠鏡で生活をのぞかれてしまっている、浪人生の広司(苗字は宮本)は今年の春から、団地のなか(ではなくて、近所だけかな)で唯一の3浪生とのこと。ご近所からの浪人生への視線というのは、棟が並んでいるような団地と一戸建て住宅が並んでいるようなところとでは、やっぱり違うのかな? あまり変わらないような気もするけどね。ま、20歳を過ぎているのだから、いやなら出て行けばいいだけ……というか、そんなことを言ったら元も子もないか(汗)。よくわからないけれど、昼間からレンタル・ビデオ屋(団地のなかにはショッピング・アーケードもある)に行くような生活をしているのに、予備校には通っているっぽい。そう、乗り物は高校時代かららしい、原付バイク(エンジンがかかりにくい)に乗っている。
 

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