朝日新聞出版、2008。ひと言でいって、微妙、かな…。予備校の1つの女子寮を舞台としたテンション低めの青春小説。主にそこに入居している4人の女の子の1年が描かれている。――なんていうか、4人とも“ダメ女子浪人生”? いや、ダメなのはかまわないけれど、個人的には、もっとテンションが高い小説なら、もう少し面白く読めたかもしれない(うーん…)。寮があるのは東京の郊外で、最寄の駅は京王線のS駅らしい。寮生(ぜんぶで22名らしい)はそこから電車に乗って予備校(大手らしい)に通っている模様。そういえば、予備校講師は出てくるけれど(1人の女の子が付き合っている相手……やれやれ?)、予備校自体がぜんぜん出てこないな、この小説。全体の構成というかは、連作短篇集みたいな感じで、「エピローグ」を除いて章ごとに視点人物が替わって――目次を見てもらったほうが早いかも。
永原あおい 春
吉川咲 夏
貴島礼奈 秋
松元多英 冬
エピローグ
といった感じ。寮生でほかに固有名詞が与えられているのは、吉川咲と同郷の山田由美子。あと寮の関係では、管理人さんにも名前があって、柳田夫妻(柳田夫人と柳田氏)。4人の浪人生(あるいは由美子を入れて5人)のキャラクター設定は、出身地、志望大学・学部、性格など、ばらけ方がちょっと不自然な感じもしなくない。あおいは北海道のさいはての町出身で、礼奈は奄美大島出身とか、咲は美大志望で、礼奈(奨学生)は東大の理Ⅲ志望とか。あおい・咲・礼奈は1浪なのだけれど、ちょっと謎めいている多英は……ネタバレしてしまうからそれは読んでもらうとして。書き分けるためにしかたがないのかもしれないけれど、それほど人物相互の距離をとる必要性、必然性が感じられない。性格だけある程度違っていればいいような。
タイトル的には“花束”=百合の花束、花物語というか、(BLならぬ)GL的なものを期待して読む人もいるかもしれないね。でも、そういう人は、期待はずれだったり、美少年どうし漫画を描いて手売りしている人(多英)が出てきたりして、がっくり? それより自分の場合には、同じく予備校の寮(寮生たちや寮生活)が描かれた竹内真の『風に桜の舞う道で』の“女の子版”かと思って期待して読んでしまって…。ぜんぜん違うし面白くないしで、残念無念です(涙)。竹内真はエンターテインメント系の作家だけれど、この小説の作者はあとから調べたら純文学系なんだね(文學界新人賞受賞でデビュー)、知らなかった。そういうことは先に言って欲しい(汗)、読み方が変わることはないけれど、場合によってはそれで早めに諦めがつくので。
作家といえば、女性作家だからしかたがないのかもしれないけれど、この小説も、衣食住の「衣」と「食」が詳しめに描写されている。そういうのって必要なの?(斎藤美奈子『文学的商品学』でも読み直してみようかな)。個人的には食べ物描写は、おいしそうに描かれているかどうかで、良し悪しを判断しています(そういう問題ではないけどね(汗))。あと、これも自分が男性だからか、“生理”について書かれると一瞬、引いてしまうんだよね。そう、話がちょっと逸れるけれど、あからさまに血の滴るようなそれを描くと、文学度(?)が増すみたいな、ちょっと勘違いをしている純文学系の女性作家って多くない?(であればどうにかして欲しいのだけれど)。逆に男性作家はもっと描いたほうがいいというか、書かなくてもいいからもっと気を使ったほうがいいかもしれない。そういえば、生理を描ける男性作家って、村上春樹くらいしかいないような。
あまり文句ばっかり言っていても怒られそうだから、えーと…。最後の、寮生たちがばらばらになってく感じはよかったかな。大学の学生寮とはたぶん違って、受験生であると受験大学とか入試の日程とか、合否とかのせいで足並みがそろわないから、ばらばらになっちゃうよね。その点がうまくフォローされているというか。あと、自分の場合も浪人の最初の年は上京して、予備校生ばかりがいる賄い付きのところで生活していたので、読んでいて感覚的にわからないこともないというか、部分的に萌えることはできたりもするけれどね。例えば箸と湯飲み茶碗を持って食堂に降りていく、ところとか。……けっこうあったと思うけれど、ほかに具体的な箇所が思い出せないな(涙)。そういえば、この小説、セッ○スは出てくるけれど、受験生の定番アイテムの1つ(?)煙草を吸っている人がいないというか、少なくとも寮内で誰かが煙草を吸っている場面が1度も出てこなかった気が。
そう、寮生がけっこうお互いの部屋を行き来している、のだけれど、予備校の寮ってたいてい相手の勉強の邪魔にならないように、出入りが禁止されているのでは? ほかの寮と較べて(?)ゆるいところらしいけれどね。あと、書き忘れていたけれど、作中の時代は……いつ? 携帯電話どころかポケットベルも出てこない時代。作者が1976年生まれらしいので1995年くらいの話かもしれない(その年くらいにはもうポケベルは普及していたはずだけれど)。関係ないけれど、1976年生まれって、三浦しをんとか鹿島田真希とか、BL系の豊作どし? ほかに同年生まれ、には誰がいるんだろう? えーと、朝比奈あすか(『憂鬱なハスビーン』)、川上未映子(『乳と卵』ほか)、万城目学(『鴨川ホルモー』ほか)……読んだことがない作家ばかりだけれど、むしろ逆にぜんぜん共通点がないような…。当たり前か。←参考文献:「特集 作家ファイル1998~2008」(『文藝』2008年夏号、河出書房新社)。
話が戻ってしまうけれど、竹内真の『風に桜の舞う道で』(中央公論新社、2001/新潮文庫、2007)の“女子版”みたいなものが読みたいんだけど、個人的には。誰か書いてくれないかな。別に予備校の寮が舞台になっていなくてもいいから、豊島ミホ(『青空チェリー』ほか)に女の子予備校生4,5人(あるいはそれ以上)が出てくる恋愛小説、みたいなものを書いて欲しいな。だいたい大学に入るのに浪人している女性作家が少な過ぎるよね。小池真理子、山田詠美……あと誰がいるの? エッセイで書いていた気がするけれど、たしか山崎ナオコーラは1浪しているんだよね。高樹のぶ子とか笙野頼子とかも浪人しているんだっけ。でも、やっぱり、複数の女子浪人生を描けそうなのが、豊島ミホしかいないような…。
あと、個人的に“ダメ女子小説”というと、藤田香織(書評家)とか角田光代とかが、書評を担当するイメージがあるのだけれど、この小説(『花束』)がもし文庫化されて解説が付くようなら、藤野千夜(『ベジタブルハイツ物語』など)を強く希望です。←そういうのは誰に訴えればいいの? 出版社=朝日新聞社?(うちは朝日新聞を購読していますよ? …関係ないか(汗))。というか、今回もぜんぜん小説の感想を書いていないよな(涙)。
永原あおい 春
吉川咲 夏
貴島礼奈 秋
松元多英 冬
エピローグ
といった感じ。寮生でほかに固有名詞が与えられているのは、吉川咲と同郷の山田由美子。あと寮の関係では、管理人さんにも名前があって、柳田夫妻(柳田夫人と柳田氏)。4人の浪人生(あるいは由美子を入れて5人)のキャラクター設定は、出身地、志望大学・学部、性格など、ばらけ方がちょっと不自然な感じもしなくない。あおいは北海道のさいはての町出身で、礼奈は奄美大島出身とか、咲は美大志望で、礼奈(奨学生)は東大の理Ⅲ志望とか。あおい・咲・礼奈は1浪なのだけれど、ちょっと謎めいている多英は……ネタバレしてしまうからそれは読んでもらうとして。書き分けるためにしかたがないのかもしれないけれど、それほど人物相互の距離をとる必要性、必然性が感じられない。性格だけある程度違っていればいいような。
タイトル的には“花束”=百合の花束、花物語というか、(BLならぬ)GL的なものを期待して読む人もいるかもしれないね。でも、そういう人は、期待はずれだったり、美少年どうし漫画を描いて手売りしている人(多英)が出てきたりして、がっくり? それより自分の場合には、同じく予備校の寮(寮生たちや寮生活)が描かれた竹内真の『風に桜の舞う道で』の“女の子版”かと思って期待して読んでしまって…。ぜんぜん違うし面白くないしで、残念無念です(涙)。竹内真はエンターテインメント系の作家だけれど、この小説の作者はあとから調べたら純文学系なんだね(文學界新人賞受賞でデビュー)、知らなかった。そういうことは先に言って欲しい(汗)、読み方が変わることはないけれど、場合によってはそれで早めに諦めがつくので。
作家といえば、女性作家だからしかたがないのかもしれないけれど、この小説も、衣食住の「衣」と「食」が詳しめに描写されている。そういうのって必要なの?(斎藤美奈子『文学的商品学』でも読み直してみようかな)。個人的には食べ物描写は、おいしそうに描かれているかどうかで、良し悪しを判断しています(そういう問題ではないけどね(汗))。あと、これも自分が男性だからか、“生理”について書かれると一瞬、引いてしまうんだよね。そう、話がちょっと逸れるけれど、あからさまに血の滴るようなそれを描くと、文学度(?)が増すみたいな、ちょっと勘違いをしている純文学系の女性作家って多くない?(であればどうにかして欲しいのだけれど)。逆に男性作家はもっと描いたほうがいいというか、書かなくてもいいからもっと気を使ったほうがいいかもしれない。そういえば、生理を描ける男性作家って、村上春樹くらいしかいないような。
あまり文句ばっかり言っていても怒られそうだから、えーと…。最後の、寮生たちがばらばらになってく感じはよかったかな。大学の学生寮とはたぶん違って、受験生であると受験大学とか入試の日程とか、合否とかのせいで足並みがそろわないから、ばらばらになっちゃうよね。その点がうまくフォローされているというか。あと、自分の場合も浪人の最初の年は上京して、予備校生ばかりがいる賄い付きのところで生活していたので、読んでいて感覚的にわからないこともないというか、部分的に萌えることはできたりもするけれどね。例えば箸と湯飲み茶碗を持って食堂に降りていく、ところとか。……けっこうあったと思うけれど、ほかに具体的な箇所が思い出せないな(涙)。そういえば、この小説、セッ○スは出てくるけれど、受験生の定番アイテムの1つ(?)煙草を吸っている人がいないというか、少なくとも寮内で誰かが煙草を吸っている場面が1度も出てこなかった気が。
そう、寮生がけっこうお互いの部屋を行き来している、のだけれど、予備校の寮ってたいてい相手の勉強の邪魔にならないように、出入りが禁止されているのでは? ほかの寮と較べて(?)ゆるいところらしいけれどね。あと、書き忘れていたけれど、作中の時代は……いつ? 携帯電話どころかポケットベルも出てこない時代。作者が1976年生まれらしいので1995年くらいの話かもしれない(その年くらいにはもうポケベルは普及していたはずだけれど)。関係ないけれど、1976年生まれって、三浦しをんとか鹿島田真希とか、BL系の豊作どし? ほかに同年生まれ、には誰がいるんだろう? えーと、朝比奈あすか(『憂鬱なハスビーン』)、川上未映子(『乳と卵』ほか)、万城目学(『鴨川ホルモー』ほか)……読んだことがない作家ばかりだけれど、むしろ逆にぜんぜん共通点がないような…。当たり前か。←参考文献:「特集 作家ファイル1998~2008」(『文藝』2008年夏号、河出書房新社)。
話が戻ってしまうけれど、竹内真の『風に桜の舞う道で』(中央公論新社、2001/新潮文庫、2007)の“女子版”みたいなものが読みたいんだけど、個人的には。誰か書いてくれないかな。別に予備校の寮が舞台になっていなくてもいいから、豊島ミホ(『青空チェリー』ほか)に女の子予備校生4,5人(あるいはそれ以上)が出てくる恋愛小説、みたいなものを書いて欲しいな。だいたい大学に入るのに浪人している女性作家が少な過ぎるよね。小池真理子、山田詠美……あと誰がいるの? エッセイで書いていた気がするけれど、たしか山崎ナオコーラは1浪しているんだよね。高樹のぶ子とか笙野頼子とかも浪人しているんだっけ。でも、やっぱり、複数の女子浪人生を描けそうなのが、豊島ミホしかいないような…。
あと、個人的に“ダメ女子小説”というと、藤田香織(書評家)とか角田光代とかが、書評を担当するイメージがあるのだけれど、この小説(『花束』)がもし文庫化されて解説が付くようなら、藤野千夜(『ベジタブルハイツ物語』など)を強く希望です。←そういうのは誰に訴えればいいの? 出版社=朝日新聞社?(うちは朝日新聞を購読していますよ? …関係ないか(汗))。というか、今回もぜんぜん小説の感想を書いていないよな(涙)。
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