幻冬舎、2006/幻冬舎文庫、2008。ここ最近読んだ小説の中ではいちばん面白かったです。ひと言で言えば、異性ではなくて同性だけれど、相手に迷惑をかけないタイプの妄想ストーカー小説、みたいな感じ?(ひと言になっていないな(汗))。なんていうか、スーパーナチュラルではないけれど、けっこう呪術的というか。例えば(※すみません、以下ネタバレ注意です)「わたし」(本城えり)は、お風呂に入って利き手ではないほうの左手で、体の垢すりをしてから、毎夜、自転車に乗って恋い焦れる(?)「あのひと」=「天鵞絨(びろうど)」(賀集玲子)の家の近くの児童公園まで行く、とか。内容的なことだけでなくて、文章自体もそうなっているのかもね。比喩表現、多しです。(私が最近読んだ小説の中では、絲山秋子「袋小路の男」とちょっと似ているかな。あくまでちょっと。どうでもいいけれど、頭の左上のタマイって、「わたし」が少し真賀田四季みたいなことになっている(笑)。)

舞台は北海道は札幌市、最後のほうに隣の石狩市も。高校1年生の「わたし」は、浪人生を経て最後は大学生になっている。この小説も“浪人生小説”(そんなジャンルはない)としての読みどころはほとんどないかな。自業自得的に入院して、受験勉強どころではなくなっているし。予備校には入学手続きをしただけで1度も通わなかったのかな、この人。

 <受験勉強を始めたのは、秋になってからだった。(略)わたしは、みかんを食べながら、受験勉強する。(略)酔って帰ってきた兄が、部屋をのぞきにくることがあった。/「受験は気合いだ。いいか、わかるか。気合いだぞ、気合い」/兄は、わたしを励ましているらしい。>(文庫、p.93)

秋からの勉強でよく受かったな。お兄さん(がいたのか)は、マッチョではないアニマル浜口……というか、いずれにせよ、ビタミンCが十分そうな妹は、聞く耳をもっていない感じだけれど(笑)。そういえば、受験は気合いだ、というタイトルの本って、たしかあったよね?(誰に訊いているのやら(汗))。最近はTVでもおなじみ、精神科医の和田秀樹は『受験は要領』だから違うし。あとで検索しておけばいいか。
 

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