石黒謙吾 「裏口にいた犬」
2009年1月30日 読書
『犬がいたから』(集英社、2007)の第1話(全7話)。小説としてはちょっとどうかと思うけれど、それには目をつぶるとして。※以下、ネタバレ注意です。
30年前の話。上京して仕送りなしの一人暮らし、予備校に通い始めた芸大浪人の「僕」は、当時ほとんど下火になっていた名曲喫茶の1軒でアルバイトを始めることに。そこの裏口にはジローと呼ばれている犬がいて。「僕」はくすねてきたサンドウィッチをあげたり、話を聞いてもらったり。――芸大受験の予備校は厳しいな、描いた絵(デッサンと油絵)をクラスで、うまい人順に張り出すらしい。
<僕の絵はいつも一番下の段の左端だった。他人とのレベル差は自分ではっきりわかっていたし、その敗北感から登校拒否状態。>(pp.15-6)
さぼって何をしていたかといえば、家で安酒、パチンコ、競馬とのこと。この人の場合、話を聞いてくれる“犬がいたから”よかったけれど(はぁ?)、そうではない人はこのまま“人生の浪人生”とかになってしまうよね…、どうすればいいのやら? そういうことはお金をとっている予備校がフォローするべきだと個人的には思うけれどね。合格を諦めてしまうというのは美大受験生にかぎらない話だろうし。
大学の合否などよくわからないけれど、「僕」は30年後にはCDのジャケット絵を描いたことがあるような人になっている。
([追記]美術(美大)予備校に通っていたことがあるらしい漫画家の西原理恵子は、『この世でいちばん大事な「カネ」の話』という本(理論社、2008)のなかで、「寝たきり浪人」という言葉を使っている。言葉は何でもいいけれど、そうなっている人、なりかかっている人で、犬などの相談相手のいない浪人生の人は、その本(『この世で~』)を読んでみると、ちょっとくらいはやる気、元気が出るかもしれない。)
30年前の話。上京して仕送りなしの一人暮らし、予備校に通い始めた芸大浪人の「僕」は、当時ほとんど下火になっていた名曲喫茶の1軒でアルバイトを始めることに。そこの裏口にはジローと呼ばれている犬がいて。「僕」はくすねてきたサンドウィッチをあげたり、話を聞いてもらったり。――芸大受験の予備校は厳しいな、描いた絵(デッサンと油絵)をクラスで、うまい人順に張り出すらしい。
<僕の絵はいつも一番下の段の左端だった。他人とのレベル差は自分ではっきりわかっていたし、その敗北感から登校拒否状態。>(pp.15-6)
さぼって何をしていたかといえば、家で安酒、パチンコ、競馬とのこと。この人の場合、話を聞いてくれる“犬がいたから”よかったけれど(はぁ?)、そうではない人はこのまま“人生の浪人生”とかになってしまうよね…、どうすればいいのやら? そういうことはお金をとっている予備校がフォローするべきだと個人的には思うけれどね。合格を諦めてしまうというのは美大受験生にかぎらない話だろうし。
大学の合否などよくわからないけれど、「僕」は30年後にはCDのジャケット絵を描いたことがあるような人になっている。
([追記]美術(美大)予備校に通っていたことがあるらしい漫画家の西原理恵子は、『この世でいちばん大事な「カネ」の話』という本(理論社、2008)のなかで、「寝たきり浪人」という言葉を使っている。言葉は何でもいいけれど、そうなっている人、なりかかっている人で、犬などの相談相手のいない浪人生の人は、その本(『この世で~』)を読んでみると、ちょっとくらいはやる気、元気が出るかもしれない。)
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