『地下街の雨』(集英社、1994/集英社文庫、1998)所収、7篇中の5篇目。※いつものように今回も、以下、ネタバレにはご注意ください。感想はというか、率直に言ってつまらなかったです。そもそも宮部みゆきがあまり好きではなくて、マイナス・イメージがあるせいかもしれないけれど。そう、最初ミステリーかと思って読んでいて、でも、あまりそうではなくて…。全体的に無駄が多く感じるし、タイトルも中途半端な感じだし、あと、なんていうか、ちょっと女性向けの小説であったような…。内容は、ひと言でいえば“お葬式小説”? 親戚が一同に会したり、死者の生前の意外な面があらわになったり。

主人公というか唯一の視点人物は、佐山浩美。「会社」とあるのでたぶん会社勤め、いま9月初旬で、昨年成人式を迎えているらしいので21歳か22歳。母の伊佐子(45歳)のいちばん上の姉・勝子(54歳)が癌で亡くなって、小説の冒頭は喪服を買いに行く場面。そして勝子のきょうだい(勲伯父、奈津子伯母、伊佐子、真喜子叔母)などが集まるお通夜に告別式に。そんな場で浩美は真喜子叔母の2番目の夫・多田順次にしつこく言い寄られたりしている。で、話の変わり目(というか)になるのは、浩美が勝子のマンションの郵便受けで勝子宛ての古い手紙を見つけたこと。それが誰からのものか、誰がそれを入れたのかが“謎”になっている。

本題というか、浪人生について書いておかないと。2浪中の弟・一樹は、ありがちなことだけれど、口も性格も悪い(?)真喜子叔母から、

 <「そんなことより、あんた、勉強しないと、また大学に落ちるわよ。今度落ちたら笑い事じゃないでしょう。今だって笑い事じゃないだろうけどさ」>(p.143、文庫)

と言われている。浪人生にとって要らない親戚だよね(そんなことを言ったら駄目か(汗))。お姉ちゃんとかに軽口をたたいていたりするので、けっこう明るい性格? どこの大学を受けたのか、受けるのかなど細かいことは不明(意外と登場回数は多いけれど、脇役だから)。勝子伯母さんのマンションは埼玉県川越市だけれど(亡くなったときは市立中学の教頭とのこと)、一樹含め佐山一家は東京に暮らしている模様。作中年は(昭和37年+29年で)1991年でいいのかな。(そう、主人公というか浩美は、年齢的にいって4年制の大学は出ていないようだ。高卒で働いているのかな? それとも短大とか2年の専門学校とか――ま、可能性はいろいろとあるか。)

話が戻ってしまうけれど(戻らないか)、喪服といえば、入院中の伯母が亡くなるまで購入を控えていた姉に対して、一樹くんは<「どうせ要るもんなんだから、早めに買いに行っときゃよかったのに」>(p.137)と言ったらしいけれど、弟くんはすでに購入してあったのかな? 清水義範の小説『学問ノススメ』では、1浪中の主人公(男の子)が友達のお父さんが亡くなって、高校のときの制服を着てお葬式に行く場面があったと思うけれど、高校を卒業している浪人生としては、それにはちょっと抵抗があるかもしれないね。高校のときの制服とか、誰かから借りてきたものとかではなく、どうせ遅かれ早かれいつか必要になるものだから(特に男子浪人生は?)思い切って買って、それを着て行ったほうがいいかもね。(あ、制服のない高校に通っている人は、高校のときに困ったりもするのか。中学校のときの制服を着ていく…わけにはいかないか、やっぱり。)
 

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