雨宮処凛 『ともだち刑』
2009年4月1日 読書
講談社、2005/講談社文庫、2008。読み始めてすぐ、粗雑な文章だな、と思ったけれど、でも(そのうちになれたし、厚い本でもないし)最後まで読めたです。内容は、ひと言でいえば“いじめ小説”かな(ちょっとノワール?)。主人公が暴力を振るわれているわけではないけれど――というか、そんなことは問題ではないか。読んでいて、自分の小学校から大学までのこと(特に中学校のときのこと)などいろいろと思い出したり、あれこれ考えさせられてしまって…。
<中学のバレー部に、顧問教師の勧誘で入部してきた「あなた」に私は憧れ、一緒に帰宅できるともだちになれたことが嬉しかった。が、注目を浴びるほどにミスばかりを繰り返す私は、「笑ってんじゃねえよ!」というあなたの言葉に凍りつく。痛みという実体を伴った怒りの向かう先を凝視する、渾身の長篇小説。>(表紙カバーより。)
学校のクラスなら年度が変われば、組がえがあったりもするけれど、部活では無いからね。その部を辞めてしまうという手もあるかもしれないけれど。現在と過去が行き来している感じの小説で、↑は過去の話。「私」(浜田葉子)は現在、浪人2年目、東京の美大予備校に通っている(というか、通わなくなっている)。今日は大晦日で、雪が降り積もっている北海道の実家に帰省中。今井さんのことを「あなた」と呼びかけている意味(というか)は、最後でちょっとわかる感じ。
どうでもいいことだけれど、個人的にはこの小説を読んで初めて、美大予備校でどんなことをしているのか、ちょっとわかった。美大の入試の実技試験に出るような問題(課題?)とかについても。あと、美大(美術)予備校というのは、個性的な人が多いというイメージだったけれど、個性的であろうとすること自体が無個性的であったり、大学に受かるためには無個性的なほうがよかったり、するんだね。――予備校といえば、「私」は同じ予備校に昨年も通っていたらしいのだけれど、そのとき、友達だったという木原さん(途中から学校に来なくなってしまう)が、なんていうか、いまどうしているのかがちょっと心配。「私」より1つ歳上で、もともと医学部を目指していて(去年は医大予備校に通っていて)、医者である父親からよく殴られているという木原さん…。高校のときの話もけっこう悲惨というかなんというか。
そう、中学生のときの「私」といまの(予備校生の)「私」は繋がっている感じがするけれど、高校生のときの「私」といまの「私」があまり繋がっているように思えない。高校のときは、中学校のときの二の舞にならないように(?)友達を作ってふつうに学校生活を送っていたようだけれど、それがどうして予備校生活2年目にして、いまさら(?)中学校時代の話まで遡るのだろう? 浪人1年目で大学に合格していたら、人生は違う方向に向かっていたとか? あと、作中の時代はいつだろう? 全体的に、時代も時系列もあちこちでおかしな感じがする小説なのだけれど、まぁいつでもいいや。
ちなみに、東京での住まいは2階建てのアパートの1階で、ロフトがあってそこでは上の階の物音がよく聞こえるらしい。アパートの場所も予備校の場所も、東京に詳しければある程度、わかりそうな感じかな。
<中学のバレー部に、顧問教師の勧誘で入部してきた「あなた」に私は憧れ、一緒に帰宅できるともだちになれたことが嬉しかった。が、注目を浴びるほどにミスばかりを繰り返す私は、「笑ってんじゃねえよ!」というあなたの言葉に凍りつく。痛みという実体を伴った怒りの向かう先を凝視する、渾身の長篇小説。>(表紙カバーより。)
学校のクラスなら年度が変われば、組がえがあったりもするけれど、部活では無いからね。その部を辞めてしまうという手もあるかもしれないけれど。現在と過去が行き来している感じの小説で、↑は過去の話。「私」(浜田葉子)は現在、浪人2年目、東京の美大予備校に通っている(というか、通わなくなっている)。今日は大晦日で、雪が降り積もっている北海道の実家に帰省中。今井さんのことを「あなた」と呼びかけている意味(というか)は、最後でちょっとわかる感じ。
どうでもいいことだけれど、個人的にはこの小説を読んで初めて、美大予備校でどんなことをしているのか、ちょっとわかった。美大の入試の実技試験に出るような問題(課題?)とかについても。あと、美大(美術)予備校というのは、個性的な人が多いというイメージだったけれど、個性的であろうとすること自体が無個性的であったり、大学に受かるためには無個性的なほうがよかったり、するんだね。――予備校といえば、「私」は同じ予備校に昨年も通っていたらしいのだけれど、そのとき、友達だったという木原さん(途中から学校に来なくなってしまう)が、なんていうか、いまどうしているのかがちょっと心配。「私」より1つ歳上で、もともと医学部を目指していて(去年は医大予備校に通っていて)、医者である父親からよく殴られているという木原さん…。高校のときの話もけっこう悲惨というかなんというか。
そう、中学生のときの「私」といまの(予備校生の)「私」は繋がっている感じがするけれど、高校生のときの「私」といまの「私」があまり繋がっているように思えない。高校のときは、中学校のときの二の舞にならないように(?)友達を作ってふつうに学校生活を送っていたようだけれど、それがどうして予備校生活2年目にして、いまさら(?)中学校時代の話まで遡るのだろう? 浪人1年目で大学に合格していたら、人生は違う方向に向かっていたとか? あと、作中の時代はいつだろう? 全体的に、時代も時系列もあちこちでおかしな感じがする小説なのだけれど、まぁいつでもいいや。
ちなみに、東京での住まいは2階建てのアパートの1階で、ロフトがあってそこでは上の階の物音がよく聞こえるらしい。アパートの場所も予備校の場所も、東京に詳しければある程度、わかりそうな感じかな。
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