中山可穂 『サグラダ・ファミリア[聖家族]』
2009年4月1日 読書
朝日新聞社、1998/新潮文庫、2001/集英社文庫、2007。手もとにあるのは新潮文庫版。なんていうか、こういう小説を好んで読むような大人の女性って、会えばたぶん、私は苦手な相手だな、と思ってしまうと思うけれど、それはそれとして。読んでいてけっこう面白かったです。話というかストーリー的にはたいしたことが起こらなかったけれど、文章がけっこう端整であるし、なんていうか、全体的に好印象というか。個人的には「ゴールド・フィンガー」(なんだよそれ)とか、ちょっといらっとさせられることもあったけれど。※以下、内容にまで踏み込んでいますので、読まれていない方はご注意を。
<孤独なピアニスト響子がかつての“恋人”透子に再会した。家族に温もりを求めてシングルマザーとなり赤ん坊の桐人を育てている透子に対して、変わらぬ情熱を抱きながらも子供の存在を受け容れられない響子。そんな三人の不安定な関係が、透子の突然の死によって崩壊した時、響子の前に謎の青年が現れた……。山本周五郎賞作家が新しい“家族”のかたちを問う、とびきり切ない愛の名品。>(カバーの後ろより。)
「謎の青年」というのは(別にそれほど謎ではなくて)、透子(成島透子)が桐人のベビーシッターを頼んでいたオカマ(というのは差別用語らしい)の美容師、照ちゃん(高橋照光)のこと。最後(だいぶはしょりすぎかな)「(レズ)ビアン」の「わたし」(石狩響子、ガリ)とオカマの照ちゃんが桐人と3人で一緒に暮らす、みたいなことで終わっている(cf.タイトルの「聖家族」)。――で、あと、もう1人青年が出てくるのだけれど、それが浪人生の弘くん(成島弘)。ほとんど出てこないかと思ったら、意外と登場回数が多かったです。いい子らしいというか、父親がいない桐人のことをよく思わず、たらい回しにする親戚たちのなかでほとんど唯一の救いというか。少し引用しても大丈夫かな(このブログ、引用多すぎ(涙))。
<わたしのマンションに透子の遺品の段ボールの山を運んでくれたのは、弘くんといういとこで、現在二浪中の青年だった。出来が悪いと大人たちが噂していたが、めったにお目にかかれない一本筋の通った男の子で、受験勉強よりもボランティア活動に熱心なあまり二浪の憂き目を見ているらしい。(略)>(p.91)
「出来が悪い」と噂されているのは、お葬式というか、火葬場。この前読んだ宮部みゆき「勝ち逃げ」(『地下街の雨』)でもそうだったけれど、どこどこの息子は大学に受からなくて困ったもんだ、的な話は、やっぱり親戚一同が集まる場での定番の話題なのか?(やれやれ)。ボランティア活動を始めたのは、もともと透子に引きずりこまれたかららしい。「浪人生」といっても、あとで「わたし」に対して、大学受験はやめて青年海外協力隊に参加するつもり、と話している。しっかりしている性格らしいから(大学受験ドロップアウトでも)この人の場合、心配はいらないか。ちなみに、家は成増(ってどこ?)にあるらしい。(「わたし」のマンションは、吉祥寺。)
<孤独なピアニスト響子がかつての“恋人”透子に再会した。家族に温もりを求めてシングルマザーとなり赤ん坊の桐人を育てている透子に対して、変わらぬ情熱を抱きながらも子供の存在を受け容れられない響子。そんな三人の不安定な関係が、透子の突然の死によって崩壊した時、響子の前に謎の青年が現れた……。山本周五郎賞作家が新しい“家族”のかたちを問う、とびきり切ない愛の名品。>(カバーの後ろより。)
「謎の青年」というのは(別にそれほど謎ではなくて)、透子(成島透子)が桐人のベビーシッターを頼んでいたオカマ(というのは差別用語らしい)の美容師、照ちゃん(高橋照光)のこと。最後(だいぶはしょりすぎかな)「(レズ)ビアン」の「わたし」(石狩響子、ガリ)とオカマの照ちゃんが桐人と3人で一緒に暮らす、みたいなことで終わっている(cf.タイトルの「聖家族」)。――で、あと、もう1人青年が出てくるのだけれど、それが浪人生の弘くん(成島弘)。ほとんど出てこないかと思ったら、意外と登場回数が多かったです。いい子らしいというか、父親がいない桐人のことをよく思わず、たらい回しにする親戚たちのなかでほとんど唯一の救いというか。少し引用しても大丈夫かな(このブログ、引用多すぎ(涙))。
<わたしのマンションに透子の遺品の段ボールの山を運んでくれたのは、弘くんといういとこで、現在二浪中の青年だった。出来が悪いと大人たちが噂していたが、めったにお目にかかれない一本筋の通った男の子で、受験勉強よりもボランティア活動に熱心なあまり二浪の憂き目を見ているらしい。(略)>(p.91)
「出来が悪い」と噂されているのは、お葬式というか、火葬場。この前読んだ宮部みゆき「勝ち逃げ」(『地下街の雨』)でもそうだったけれど、どこどこの息子は大学に受からなくて困ったもんだ、的な話は、やっぱり親戚一同が集まる場での定番の話題なのか?(やれやれ)。ボランティア活動を始めたのは、もともと透子に引きずりこまれたかららしい。「浪人生」といっても、あとで「わたし」に対して、大学受験はやめて青年海外協力隊に参加するつもり、と話している。しっかりしている性格らしいから(大学受験ドロップアウトでも)この人の場合、心配はいらないか。ちなみに、家は成増(ってどこ?)にあるらしい。(「わたし」のマンションは、吉祥寺。)
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