理論社、2006。ときどき行く本屋にずっと置かれていて、買っておかないとなくなりそうだったので購入。でも、大島真寿美だからそのうち角川文庫かピュアフル文庫で文庫化されるかもしれない(涙)。感想というかは、つまらなくはなかったけれど、ちょっともの足りなかったかな。ひと言でいえば、少人数家族で育った子どもが多人数家族にごやっかいになる、みたいな、児童向け小説にはよくありそうな話?(毎度「ひと言」になっていない(汗))。自然が豊かな田舎にある大家族というわけではないし、子どもが精神的に傷ついているというわけでもないあたりは、今風なのかもしれないけれど。うまく言えないけれど、癒しとか成長とかではなくて、自分の家族をほかの家族と比べて(一緒に住まないとできにくいこと?)相対化して見つめ直す、みたいな?(なんかぜんぜん違うような気も)。

具体的な内容は――両親は以前、家庭内別居をしていて、でも、家族3人、それぞれの軌道をもつ彗星のように(?)うまくいっていたのだけれど、父親は昨年、福岡に栄転、今度は母親が4ヶ月の予定で上海に出張することに。で、どうすればいいのか迷った「私」(柳瀬依子、高校2年生)は、結局、高校のクラスメイトで友達の梢(北村梢)による、うちにおいでよ、という提案に乗ることに。元警察官で夜警をしているお父さん、剣道の素振りをしたり立って新聞を読んだりする背筋が伸びているジイジ、頭がちょっとぼけているらしく不思議な話を聞かせてくるバアバ、犬のさぶちゃんと会話ができるらしい中学生の妹、多美ちゃん(もちろんさぶちゃんも家族)、あと表・裏のない明るい性格の梢に、子どもたちをしかることができるお母さん、そして、勉強をしていなそうな、部屋でビデオを見たりしている浪人生のお兄ちゃん、拓巳くん。――このブログ、毎回話をむりやり“浪人生”に持っていっているのだけど、いいのかな?(汗)。ま、文章が下手だからしようがない。あと、もう1人「私」にとって大事な人物としては、(登場してはこないけれど)家庭の事情で台湾に行ってしまったクラスメイトの男の子、沖田くん(オッキー)がいる。「私」はその沖田くんに手紙を書いたりする。

で、そんな(?)いつも誰かがいるような、賑やかで(それほどでもないかな)平和な家なのだけれど、年末のある日、家族全員をぽかんとさせるような“爆弾発言”を拓巳くんがしてしまう。ネタバレしてしまうけれど、大学へ行くのをやめてお笑い芸人になるという。――こういうあたりも今風な小説という気がする。でも、拓巳くんのめざすお笑いは、あまり今ははやらなそうなもの…。時間が前後してしまうけれど、昨年度は、妹たちによれば――引用したほうが早いか、

 <「拓巳くん、中学から男子校でさ、まずまず上位の成績だったのに、同系列の大学へ行くのをやめて、外部受験に挑んで失敗しちゃったんだよね」>(p.66)

とのこと。中高大エスカレーター式の学校?(私立?)。ちなみに、描かれているのは11月から1月くらいまで。あと、大学受験がらみでは、書き忘れていたけれど、もう1人、受験生が出てくる(少しだけれど)。梢の好きな相手、隣の家の厚志くん(高校3年生)。

[追記]文庫本は、小学館文庫から(2011.12)。
 

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