『ブルーハーツ』(ピュアフル文庫、2009)の最後に収録されている「特別編」(文庫オリジナルらしい)。入院した伯母に代わって本屋の「店主兼店員」をしている予備校生の「わたし」は、いつも立ち読みをして帰っていく高校生くらいの男の子のことが気になっている。――この小説も、主人公兼語り手が浪人生であることが、小説上、ほとんど無意味かもしれない(汗)。小説として読み終わってみて、それほどつまらなかったというわけではないけれど。

こんなところは“浪人生小説”として面白いかな。

 <もうすぐバレンタインデーなのに、浮かれ気分になれない十九歳。/十九歳は文学的な年齢だ。/けど、地図を描ける時代じゃないんだよなあ。/別に爆弾抱えてるわけじゃないんだけどさ、中上健次とかの時代みたいに、いっそ鬱々とした青春だったらよかったのに、なんて思っちゃうんだよね。>(p.214)

19歳って「文学的な年齢」だったんだ、知らなかった(汗)。これは、歌手のYUIが<窓ガラス割るような気持ちとはちょっと違ってたんだ はじめから自由よ>(「My Generation」)とか歌っているのと同じようなもの?(cf.尾崎豊「卒業」)。それはともかく、もう2月? ぜんぜん勉強していないっぽいけれど、勉強しようよ…(というか、ほんと小説中浪人生に「勉強しろ」と言うことほど虚しいことはないな(涙))。あとで(ネタバレしてしまうけど)ガルシア・マルケスの『百年の孤独』が出てくるので、中上健次(といっても、↑は「十九歳の地図」だろうけど)は、その伏線のようになっているのかもしれない(考えすぎか)。

あと、最初のへんにちらっと、石川達三『私ひとりの私』が出てきているけれど(書名だけだけれど)、それは(高校受験ではなくて)中学校受験については少し書かれている。「私」は東京府立一中(のちの都立日比谷高校)を受けて落ちている。
 

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