トクマベルズ、1984/徳間文庫、1987。まだ読みかけです(いま120ページのところ、全体の3分の1弱くらい)。タイトルに「殺人」と入っているけれど、ふつうの犯人さがし推理小説ではない感じ。とりあえず「一章」を読み終わった段階では、殺そうとして人を殺したわけではないけれど、よくある“完全犯罪もの”みたいな展開になっている。ぜんぜん関係ないけれど、この作者は「女性」のことがわかっている(つもりな)のかな? なんていうか、女性視点が微妙な感じ。でも、20年以上前の小説だからその手のこと(女性観とか)にツッコミを入れてもしかたがないか。(人のことは言えないしな、たぶん。)

妊娠中の滝川由香(28歳)は、祇園祭りの日の夜、同じマンション(「南禅寺ハイツ」)の同じ階(2階)に両親と暮らしている浪人生に、路上で襲われる。必死で抵抗して突き飛ばしたところ、その浪人生(戸川澄夫)は疏水に落ちて、あとで死体となって発見される。こちらが被害者であるはずなのに(浪人生の親からは責められるようなことを言われ)、警察では話しても信じてもらえず、逆に殺人や過剰防衛を疑われてしまう。そして、似たような状況で今度は、浮気していることを開き直っている冷たい夫・稔(「大東建設の京都支社」の係長)を死なせてしまう。酔って帰ってきて入浴中だった由香に性的な強要をし、突き飛ばされて湯舟に頭をぶつけてしまう。で、前回のことがあるから警察に行くわけにはいかないし、…みたいな話。

本題というか。この浪人生はどうなのかな? ちゃんと殺された(?)のであれば、探偵役の人たちが人間関係とか周辺を調べてくれたりするのだけれど、こういうケースだと小説的には犬死にというか。でも、ま、近所の人妻に対してストーカーみたいなこともしていて、強姦未遂も犯しているわけだから、自業自得といえば自業自得か。両親(富造・菊江、特に母親のほう)も悪く描かれていて、この親にしてこの息子、みたいなことも言えるのかもしれない。由香によれば(というか由香目線の箇所だけれど)、澄夫は、

 <二年前に高校を出て、それ以来浪人暮らし。(略)。/浪人といっても予備校にも行かず、ほとんど家に閉じこもっている得体のしれない若者だ。>(p.10)

とのこと。2浪? あ、いま7月だから丸2年であれば(算数的には)3浪か。
 

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