角田光代 「エンジェル」
2009年7月20日 読書
女性作家8名による、それぞれJ-POPの1曲がお題となっている短篇集(というか、要するにアンソロジー)『Love Songs』(幻冬舎、1998/幻冬舎文庫、1999)に収録されている一篇(8編中の3篇目)。この1篇は、RCサクセション「エンジェル」(作詞・作曲は忌野清志郎)で書かれている(各篇の最初には歌詞が掲載されている)。けっこう考えさせられる小説だったかな(うーん)。うまく言えないけれど、「私」の自分を変えられない感じについて、とか。
季節は夏の終わりか、夏が終わって残暑くらい? 同時に付き合っていた3人の彼氏に振られた「私」は、温泉旅行にしぶしぶ弟と一緒に行くことに。その弟=ヒロユキは、道中、「私」を苛々させ続けているというか、まず、電車のなかでは缶ビールを飲み散らかし、旅館に着いてからも飲み続けていたりする。あ、「私」も飲んでいるけれど。その旅行の間、「私」(弟は「りっちゃん」と呼んでいる)は、付き合っていた彼氏たちとのことや、弟との昔のことなどを(頭の中で?)語っている。…という感じの小説。(毎度、うまく説明できていないけれど(汗)。)
「私」は彼氏たちのことを便宜的にそれぞれ「松、竹、梅」と呼んでいるけれど、3人の間に上下(優劣)はないらしい。この小説では「私」の話の中に出てくるだけで、直接(元)彼氏たちの誰かが出てくるわけではないけれど、角田光代の小説は、なんていうか人物配置が平面的(フラット)だよね。私が過去に読んだ小説でいえば(以前にも書いたような気がするけれど)、「東京」(『だれかのことを強く思ってみたかった』)では「私」を含めて同日に生まれた3人が描かれていたし(「同日生まれ」「幼なじみ」という平面上の3人)、『夜をゆく飛行機』では「私」を含めた4人姉妹が描かれていたし(「姉妹」「家族」という平面上の4人)。『ぼくとネモ号と彼女たち』は「ぼく」が3人の女性を1人ずつ車に乗せていく、みたいな話だったし(「車の助手席」という平面上の3人)。だからどうした? と言われても困るけれど(汗)。
そう、“姉弟もの”ということでは、「まどろむ夜のUFO」(同名書所収)――記憶で書けば、高校3年の弟が予備校の夏期講習を口実に東京にいる大学生の姉のアパートに転がり込む話――と比べてもいいかもしれない。
そんなことより、元カレ3名と対置させられている、浪人生(一応)のヒロユキについて書いておかないと。――これは引用したほうが早いかな。「私」は弟のことを「だめ男」だと思っている。
<目を覆いたくなるような成績で高校をでて部屋を借りたのが二年前、どうしても大学にいきたいと言いだして予備校に通いはじめ、今年の春の入試もすべて落ちた。まだ予備校に通っている。名前だけ在籍していれば数年後自動的に大学生になれると信じているかのように、勉強もしていないし、予備校にだってろくにいっていない。(略)>(p.75、文庫)
高校3年のとき(現役のとき)には受験はしているのかな、この人? この書き方だとよくわからないな。2年前に卒業しているということは、とりあえず高校卒業後、今年で3浪目という感じか。志望大学・学部などは不明。彼女というか、<常時恋人はいるらしい>(同頁)とのこと。
そういえば、最後まで読んでも、最後に出てくる「月」以外に、曲とどうリンクしているのか、さっぱりわからない小説だったな。(私の読み方が悪いのかな?)
季節は夏の終わりか、夏が終わって残暑くらい? 同時に付き合っていた3人の彼氏に振られた「私」は、温泉旅行にしぶしぶ弟と一緒に行くことに。その弟=ヒロユキは、道中、「私」を苛々させ続けているというか、まず、電車のなかでは缶ビールを飲み散らかし、旅館に着いてからも飲み続けていたりする。あ、「私」も飲んでいるけれど。その旅行の間、「私」(弟は「りっちゃん」と呼んでいる)は、付き合っていた彼氏たちとのことや、弟との昔のことなどを(頭の中で?)語っている。…という感じの小説。(毎度、うまく説明できていないけれど(汗)。)
「私」は彼氏たちのことを便宜的にそれぞれ「松、竹、梅」と呼んでいるけれど、3人の間に上下(優劣)はないらしい。この小説では「私」の話の中に出てくるだけで、直接(元)彼氏たちの誰かが出てくるわけではないけれど、角田光代の小説は、なんていうか人物配置が平面的(フラット)だよね。私が過去に読んだ小説でいえば(以前にも書いたような気がするけれど)、「東京」(『だれかのことを強く思ってみたかった』)では「私」を含めて同日に生まれた3人が描かれていたし(「同日生まれ」「幼なじみ」という平面上の3人)、『夜をゆく飛行機』では「私」を含めた4人姉妹が描かれていたし(「姉妹」「家族」という平面上の4人)。『ぼくとネモ号と彼女たち』は「ぼく」が3人の女性を1人ずつ車に乗せていく、みたいな話だったし(「車の助手席」という平面上の3人)。だからどうした? と言われても困るけれど(汗)。
そう、“姉弟もの”ということでは、「まどろむ夜のUFO」(同名書所収)――記憶で書けば、高校3年の弟が予備校の夏期講習を口実に東京にいる大学生の姉のアパートに転がり込む話――と比べてもいいかもしれない。
そんなことより、元カレ3名と対置させられている、浪人生(一応)のヒロユキについて書いておかないと。――これは引用したほうが早いかな。「私」は弟のことを「だめ男」だと思っている。
<目を覆いたくなるような成績で高校をでて部屋を借りたのが二年前、どうしても大学にいきたいと言いだして予備校に通いはじめ、今年の春の入試もすべて落ちた。まだ予備校に通っている。名前だけ在籍していれば数年後自動的に大学生になれると信じているかのように、勉強もしていないし、予備校にだってろくにいっていない。(略)>(p.75、文庫)
高校3年のとき(現役のとき)には受験はしているのかな、この人? この書き方だとよくわからないな。2年前に卒業しているということは、とりあえず高校卒業後、今年で3浪目という感じか。志望大学・学部などは不明。彼女というか、<常時恋人はいるらしい>(同頁)とのこと。
そういえば、最後まで読んでも、最後に出てくる「月」以外に、曲とどうリンクしているのか、さっぱりわからない小説だったな。(私の読み方が悪いのかな?)
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