双葉社、1993。図書館で借りてきた本。意外と読みやすくて面白かったです(※今回も以下、ネタバレ注意です、すみません)。この作者の小説は、短篇2篇以外は、その昔『神狩り』を読んだきりなのだけれど、“青春小説”が得意なのかな? この小説も、来月47歳になるお父さんが主人公なのに、青春小説っぽい。季節は夏だし(季節は関係ないか)、なんていうか、“青くさい”と思う。タイトルがらみのことでは、自分も男性なので、すべての男は獣、とか、どんな男性の中にも(女性にとって危険で、男性にも圧しきれない)“獣”がいる、などと言われると、瞬間的にちょっと抵抗を感じるけれど、でも、少し考えさせられる小説だったというか。大まかなストーリーは、裁判で無罪判決が出た息子が、本当に殺人事件の犯人ではなかったかを、お父さんが調べるような話。その前に息子が行方不明になり、同時に以前と類似の事件も起こって、息子の行方を探す、というような話、か。でも、“父-息子小説”というよりは、推理小説な感じかな(わからないけれど)。名前も書いておけば、お父さんは「工藤」(下の名前は…ちゃんと読み直さないと見つからないな)、息子は「芳雄」(苗字はもちろん工藤)。あと家族にはお母さんの「明子」がいる。

この小説も、年齢とか年(月)がヘンなところがある。裁判で重要な証言をしてくれた、高校で同じ部活(陸上部)だったという吉村徹は、芳雄の元同級生(同学年)だよね、2人の年齢というか学年というかが1年ずれている気がする。芳雄は事件当時、受験に2度失敗した(2浪の)予備校生(20歳)なのに、徹くんは大学3年生となっている(ずれていないように解釈もできるのかな? 私にはよくわからない)。そもそも、この小説も(過去の話であれ)大学受験生を登場させるのに3月(事件時点)とか4月(逮捕時点)とか、微妙な月が設定されていて、なんていうか、もう少しずらせばいいのにね。ほかにも、芳雄が逮捕された事件というは(爪が剥されて家に郵送されるという共通点のある)2件の婦女暴行殺害事件なのだけれど、その1人目の被害者は、当時16歳の女子高校生・牧村綾子。2人の誕生日が何月かわからないけれど、その綾子が16歳のときに芳雄くんが18歳のわけがないよね(cf.p.224)。綾子は殺害されたとき(3月の時点で)高校2年生ではなくて1年生だっけ?(これもちゃんと読み直さないと見つからないな(汗))。であれば、2歳違いというのは、なおさらおかしい。あと、どこかに息子が逮捕されてから2年近く(経っている)、と書かれていたと思うけれど(これもちゃんと読み直さないとどこだかわからないけれど)4月に逮捕されていて、いま季節が夏なのだから、2年“近く”というのはヘン。2年以上経っているはず。――疑い出すときりがないのだけれど、まぁ小説(フィクション)だから大目に見るしかないのかもしれない。

そんなことより、いつものように元浪人生のプロフィール的なことを書いておかないと。ただ、この人も、浪人2年目は、もう大学受験を諦めていたらしい。というか、3月中旬の時点でこの年は結局、どこの大学も受けなかったのかな? 友達には就職しようか迷っている、みたいなことも話していたらしい。そう、芳雄くんは大学受験だけでなく、高校受験にも失敗しているそうだ(浪人はしていないみたいだけれど、志望する高校に入れなかったらしい)。高校受験に失敗している人は、大学受験には慎重になるようなイメージがあるけれど、そんなこともないのかな? 受験に失敗した理由は、ありがちな感じだけれど、お父さんによれば、模試では合格ラインに達していたのに、気が小さくて本番に弱い、みたいなことらしい。父親がほったらかしで、母親が干渉的だった……というのもベタ(な設定)かな。ちなみに、家があるのは世田谷区。事件の1人目の被害者が見つかるのは、横浜…だっけ?

最後のほうに1箇所、引用したいところがあるけれど、ネタバレしすぎてしまって駄目か(涙)。そういえば、ある店の名前に使われている「アルカトラズ」ってどういう意味だっけ?(以前読んだ藤井青銅『アロワナ・ガール』という小説にも出てきていたと思うけれど、どこかに行ってしまって本が見つからないや(涙))。あ、なんとなく思い出した、地名だっけ。日本でいえば「網走」、『ハリー・ポッター』でいえば「アズカバン」、みたいな?
 

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