太田出版、2009。ご存じ、人気脚本家クドカンによる自伝的な青春小説。なんていうか、ふつうに面白かったです。読んだことがないけれど、大槻ケンジとか、みうらじゅんとか、そんな感じの路線?(時代も高校も違うけれど、井上ひさし『青葉繁れる』にも通じるかな)。舞台となっているのは宮城県栗原市、描かれているのは主に高校1,2年のときのこと。主人公の「僕」(=宮藤シュンイチロウ)は1986年、男子校・月伊達(つきだて)高校に入学する。

読んでいてけっこう自分の高校――伝統はあっても全国的には無名の、地方の中途半端な進学男子校――のときのことを思い出してしまって。下駄とか手ぬぐいとかはもうなかったけれど(生徒手帳の校則に「下駄禁止」という謎の?記載はあったけれど)、雰囲気にはけっこう似たところがあったかもしれない。入学した最初の週だったか、数日連続で放課後、体育館に集められて校歌と応援歌(?)を、竹刀をもった応援団の人たちに“練習”されたこととか……ほんと長いあいだ忘れていたことを思い出しちゃったよ(涙)。なんていうか、高校時代にこの「僕」のように何か派手な思い出があればいいけれど、私には何もないからね(涙)。友達もいなくて暗かった記憶しかない。大学にも落ちているし。それはともかく。

「高三英作文」という授業をなぜ浪人生が受けているのやら、ネタバレしてしまうけれど、「僕」が童貞を捨てた(あるいは捨て損なった)相手として浪人生(早瀬ミカ)が出てくる。東京へ出るための正攻法、すなわち大学進学を思いついた高校2年の「僕」は、仙台で下宿して予備校の夏期講習に通うことに。下宿(72歳の未亡人が経営)はふすまを隔てて2人1部屋で、「僕」と同じ部屋には秋田出身、高校3年のアンラッキー(荒木)がいる。そう、仙台といえば“ハレとケ”のハレ、やっぱり七夕(祭り)なのだろうか。その前に仙台=都会じたいがハレの場かもしれない。――なんていうか、ちょっとびっくりな(?)新種の官能表現がある(pp.192-4)。

 「**」
 「・*」
 「*・」
 「・・」
 「**」
 「・*」

あ、縦書きじゃないと駄目だな。“顔”文字ならぬ……(以下自主規制)。ちなみに、「僕」は浪人はしていない。現役でいわゆる日芸(日本大学芸術学部)に。

[追記]その後、文庫化。文春文庫、2013.10。
 

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