講談社、2006/講談社文庫、2009。以前、本屋の文庫新刊コーナーで川上弘美の掌篇小説集『ハヅキさんのこと』(講談社文庫)と一緒に置かれていて、つい手にとってみて買ってしまった本。初出が(最後の4篇を除いてすべて)『室内』という雑誌らしく、『ハヅキさん~』も、収録されている6篇がそうなので、家に帰ってからそれに気づいたのだけれど(文庫化の時期的には必然的なことかもしれないけれど)微妙な偶然だったというか、どうでもいい話ですね(汗)。

 <古本屋の小僧だった達ちゃんもついに独立。どことなく月島の雰囲気が漂う下町風の街・高円寺に古書店を構え、羽ばたきだす。本から薫る時代のにおいを伝えたくて、古書に携わってきた。夢を辿る途上に待っていた文学賞との出会い。だが、商売は畳まない。これは天職だから。自伝的長編小説、ついに完結。>(カバー背より)

小説というより、やっぱりエッセイ集(連作エッセイ)という感じなのだけれど、それはともかく。読んでいると、なんていうか、ちょっと淋しくなってくる感じ、かな(あいかわずぼんやりした感想でもうしわけない(汗))。

「同居人」とタイトルがついている箇所では、「私」が杉並区で古書店を始めたころに、予備校生(知人の弟)と同居していたときのことが書かれている。店番をしてもらう代わりに下宿(店の2階)代はとらない、みたいな。炊事など、気を使うこともあって男どうしの同居生活もたいへんだ、みたいな話かな(違うか)。もう1箇所、最近(初出時くらいかな)Kさんという方からもらった手紙が紹介の内容されている(「漢詩」、「誕生日」、「白い手」、「生卵」)。昔、月島の古書店で店番をしていた「私」から『マルクス=エンゲルス選集』8冊を買った、という……。そのKさんは当時(昭和38年=1963年)、上京していた浪人生。ちなみに作者は1944年生まれ。
 

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