いま手もとにあるのは、『極楽|大祭|皇帝 笙野頼子初期作品集』(講談社文芸文庫、2001)。これは、『極楽 笙野頼子初期作品集〔Ⅰ〕』(河出書房新社、1994)が文庫化されたものらしい。文庫後ろの年譜(「作成・山﨑眞紀子」とある)によれば、この1篇(「皇帝」)の初出は、『群像』1984年4月号であるらしい。――読み始めたものの、2ページ目くらいでもう読む気がせず(涙)、あとは無理やり拾い読み、といった感じの読書に(無意味な行為)。

26歳の青年である「彼」は、かつて、高校卒業後1年の宅浪を経て、寮に入って予備校に通っていたことがある。小説の前半くらいで、その予備校生活、寮(個室)生活について語られている。笙野頼子なので(?)“妄想”が入っているけれど。えーと、キーワードは“自由”? 

 <生まれ故郷から離れた密室――彼が最初それを手に入れたのは、社会的に黙認されたモラトリアムのための集団、この予備校に通うようになってからであった。それは外界と調和しながら閉ざされるという、彼にとっては最も幸福な時期だったかもしれなかった。>(pp.168-9)

この小説とは違う意味でだと思うけれど、個人的に予備校生時代、浪人生時代が自由だった、という意見には賛成できる。

後ろの年譜を(再び)見てみると、作者自身も高校卒業後の2年間(1974年~)「名古屋の予備校」の寮に入っていたことがあるらしい。たしかに読んでいると、ここの部分は実際に予備校に通っていないと書けないだろうな、と思える箇所が多々ある(学生番号についてとか、p.174の教室内の様子とか)。――想像するに予備校の寮に入っても、友達ができなかったり、友達を作らなかったりする人もいるわけで、この小説(の一部)は、そういう方にお薦めできる小説……とは言えないか、やっぱり(汗)。浪人中に読むと、変な(?)影響を受けそうな小説、のようにも思える。
 

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