石井竜生・井原まなみ 「しんだんじん」
2010年4月6日 読書
鎌倉を舞台とした推理小説のアンソロジー『ミステリーガイド鎌倉』(角川書店編、カドカワノベルズ、1993)所収、9篇中の3篇目。本の後ろのほうによれば、この1篇の初出は『かっぱマガジン』昭和51年(1976年)11月号・12月号であるらしい。
タイトルは、そう呼ばれている泳ぎ方。いわゆる倒叙もので、浪人生(=長野光伸、東京で予備校に通う医学部浪人・2浪、のちに3浪)が自分のことを使用人のように扱う、養父的な存在である伯父さん(成金で貸しビル業、鎌倉に別荘があって週末ごとに釣り)に殺意を覚えて、殺そうとする話。
まだ2浪目のときに会話部分、伯父さんが主人公=光伸くんのことを21(歳)と言っている(p.103・上段)。伯父さんが間違えたのではなくて、作者(たち)が間違えているっぽい? あと、3浪目が始まったあたり、<六年間を過ごした世田谷の貸しビルの(略)>とあるけれど(p.113・下段)、6年というのはおかしい。高校のときに母親を亡くして(父親は幼い頃に亡くなっていて)身寄りがなくなって、疎遠だった伯父さんが現れて……みたいな話になっているから。仮に高校1年の最初の頃に母親が亡くなって伯父さんから資金援助を受け始めたにしても(伯父さんと同居し始めたにしても)、高校3年+丸2浪では、計5年にしかならない。――そういう細かいことだけでなくて、伯父さんが入院して契約がうんぬんのあたりも、時系列がおかしいと思う。本筋には関係がないことかもしれないけれど、論理が重視されるミステリなんだからさぁ…(涙)。
“浪人生小説”としては、<二期会>(予備校での2浪生グループ)という言葉がちょっと面白いと思ったけれど、それくらいかな。そう、別荘の近くに暮らす元漁師さんの言葉遣いに関して、鎌倉(神奈川県)の人ってこんなに訛っているのかな、とはちょっと思ったです(約35年前に書かれた小説だから?)。
タイトルは、そう呼ばれている泳ぎ方。いわゆる倒叙もので、浪人生(=長野光伸、東京で予備校に通う医学部浪人・2浪、のちに3浪)が自分のことを使用人のように扱う、養父的な存在である伯父さん(成金で貸しビル業、鎌倉に別荘があって週末ごとに釣り)に殺意を覚えて、殺そうとする話。
まだ2浪目のときに会話部分、伯父さんが主人公=光伸くんのことを21(歳)と言っている(p.103・上段)。伯父さんが間違えたのではなくて、作者(たち)が間違えているっぽい? あと、3浪目が始まったあたり、<六年間を過ごした世田谷の貸しビルの(略)>とあるけれど(p.113・下段)、6年というのはおかしい。高校のときに母親を亡くして(父親は幼い頃に亡くなっていて)身寄りがなくなって、疎遠だった伯父さんが現れて……みたいな話になっているから。仮に高校1年の最初の頃に母親が亡くなって伯父さんから資金援助を受け始めたにしても(伯父さんと同居し始めたにしても)、高校3年+丸2浪では、計5年にしかならない。――そういう細かいことだけでなくて、伯父さんが入院して契約がうんぬんのあたりも、時系列がおかしいと思う。本筋には関係がないことかもしれないけれど、論理が重視されるミステリなんだからさぁ…(涙)。
“浪人生小説”としては、<二期会>(予備校での2浪生グループ)という言葉がちょっと面白いと思ったけれど、それくらいかな。そう、別荘の近くに暮らす元漁師さんの言葉遣いに関して、鎌倉(神奈川県)の人ってこんなに訛っているのかな、とはちょっと思ったです(約35年前に書かれた小説だから?)。
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