『荒海』(福武書店、1982)所収、6篇中の5篇目。読んでいると、ちょっとさびしくなってくるかな。舞台はたぶん札幌、外は雪が降っている大晦日、「ぼく」は小さな居酒屋でママの志穂さんと2人きり。「ぼく」(予備校生)は付き合っていた彼女にふられたばかりだし、しかも、実家(貧農)は家出どうぜんで出てきているし、アパートに帰っても一人だし…、一方の志穂さんも、恋人=妻子ある医者がいるのだけれど、さすがに大晦日には来てくれないし、ほかの客が来るような気配もないし…、みたいな小説(?)。思うに、2人が肉体的に交わっていなければ、高校の教科書とかに載っていても変ではない小説かもしれないな。

ちなみに、作者(1937年生まれ)自身は工業高校卒業後、新聞社に就職して活字拾いの文選工をしながら、大学を諦めきれずに夜、予備校(「円山予備校」)に通ったりしていたようだ。←参考文献:エッセイ「学歴劣等感」(『夢の通い路』北海道新聞社、1999)。
 

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