いま手もとにあるのは図書館本、『きょうも夢みる者たちは……』(新潮社、1988)所収、2篇中の1篇目。初出は『新潮』1987年1月号らしい。夜の東京都心、皇居まわりランニング。今日は5人の男女が走ることに。もちろん(?)お互いに顔は知っていても素性は知らないもの同士。そのうち3人の、走っている最中の、頭の中実況中継みたいな小説(?)。1人目はいちばん後ろを走っている「男」(49歳、大手商社の幹部社員)、2人目はいちばん前を走っている(頭のなかでの自称)「ポール」(大学受験生=たぶん浪人中の予備校生)、3人目は紅一点、だんだん遅れて「男」に追い抜かれたりする「わたし」(高校卒業後、田舎から上京していまは社会人?)。――最初は(「男」目線の最初のほうは)静かでひんやりしていて、無機質な感じがいいな、とちょっと思ったけれど、そこはやっぱり純文学系の小説(?)、想像に幻想(イメージに妄想というか妄念に)……詩的な文体だったりして、読んでいてぜんぜん頭に入ってこない(涙)。皇居の森にお濠の水(の捉え方)、鎌にカマイタチに、自称宇宙人に想像妊娠……もうめんどくさいから「電波」のひと言で済ませてしまうか(汗)。結論としては――こういう小説を読むよりも(できるだけ無心で)家の近所でも走って汗を流して(シャワーを浴びて)すっきり、みたいなほうが健康にはいいかもしれない。

ポールくんは、教師をしている母親と(ローンが残っている)マンションで2人暮らしらしい。テレビゲームの比喩(?)が出てくるけれど、1980年代後半な若者の雰囲気は出ている? 大学受験に対しては消極的というか、<おふくろがうるさいから一応大学の試験は受けるけど、通る可能性もないし、通る気もない>(p.50)と考えている。
 

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