津田耀子 「微笑みは五月の海」
2010年10月12日 読書
『少年の休日』(集英社文庫コバルトシリーズ、1978)所収、6篇中の3篇目。ひと昔前の小説、やっぱり時代を感じてしまう。口数の少ない静かなコミュニケーションというか。仁保明は予備校が終わると、いつも(?)海の近くの松林にある図書館へ。そこにはちょっとすれた感じ(?)の司書・沖津礼子がいたり、明のことが好きな少女・小森妙子がいたり。図書館の入り口には妙子が飼っている犬(「ノヴェンバア」)がいたり。――私は最近、小説に犬が出てくると死んでしまうのではないか、と疑うくせがあるのだけれど、この小説は犬ではなくて……、ハッピー・エンディングが好きなのに!(涙)。ほかに登場人物としては、予備校友達・山本三郎がいる(2回だけちらっと出てくる)。そう、ちょっと気になったのは、5月に今年(前年度)の入試の問題集って、もう出版されているのかな? 少し早い気がする(そうでもないか)。あ、作中月の5月と犬の名前の「11月」とは、きれいに半年(6ヶ月)ずれている(なぜ?)。奥付の上のところによれば、作者は昭和20年(1945年)生まれ。コバルト文庫つながりでは、落合恵子と同じ年生まれか(落合恵子のほうは早生まれ)。ちなみに2篇あと(5篇目)の「別れても哀しみはなく」の主人公も、大学に落ちている(翌年合格)。
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