祥伝社、2003/祥伝社文庫、2007。連作形式で書かれていて、1篇読み終わるともう1篇、みたいな感じで結局、最後まで読んでしまった感じ。意識としてはそれほど面白かった気はしないのだけれど。なんていうか、倫理観というか道徳観というかが、微妙といえば微妙な小説かも。横山秀夫(の小説)も今回、初めて読んだのだけれど、自分がいままでに読んだもののなかでは、えーと、連作だったせいか、北森鴻にちょっと似ている気がする(もっと似ている作風の人がいるかもしれないけれど、読書量が少ないのでよくわからんです)。

 <深夜の稲村家。女は夫に火を放とうとしている。忍び込みのプロ・真壁修一は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた――。直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。だが、夫婦は離婚、事件は何にも起っていなかった。思い過ごしだったのか? 母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に迫った……。(「消息」より)>(文庫カバーより)

「消息」というのは最初の1篇。<焼き殺された>というのは、将来を悲観した母親が弟と無理心中を図って…、という感じ。その弟=啓二(双子の弟)はいま、修一の“脳内弟”になっている。啓二が亡くなったのは、浪人中というかフリーター中というか、空き巣を重ねていた時というか。兄の修一が大学1年で、本人は浪人のときに、3人で付き合っていた安西久子(現在は保育士)が兄のほうを選んで、その後、家に寄り付かなくなって…みたいなことが転落(?)の発端。そう、小説(フィクション)ではありがちだけれど、啓二が高校卒業してから亡くなるまでの(いくつかの)出来事が、ちゃんと時系列に沿った形で並べられない(少なくとも私の頭の中では)。あと、そもそも双子(一卵性双生児)なのに、弟が兄のことを<修兄ィ>というふうに「兄」を付けて呼ぶかな? TVを見ていても、出てくる双子はみんなお互いを名前で呼び捨てにしているような。あ、亡くなってから歳がだんだん離れていってしまうので、生前とは呼び方を変えたとか?(そんなことはないか)。弟は“永遠の浪人生”…とは言えないか、とりあえず“永遠の19歳”。ちなみに2人の誕生日は昭和42年(1967年)の1月18日(p.123)。主人公=修一は何歳だっけ? えーと…、小説の最初では、34歳?(その2年前、32歳のときに逮捕されている)。
 

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索