森村誠一 『夢魔(ナイトメア)』
2010年11月15日 読書
手もとにあるのは、祥伝社文庫(2005)。後ろのほうに<(この作品(略)は、平成十五年二月、小社から新書判で刊行されたものです)>とある。内容の感想ではないけれど、読み終わった(ひと通り目を通した)ということを、今いちばん言いたい(汗)。※以下、いわゆるネタバレ注意です。
<京子、恵子、雅江の女子大生三人は、古代異族の末裔と言われる老婆を秩父に訪ね一泊した。翌朝、老婆は死んでおり、枕元に一億円余の入った鞄があった。一年後、主婦や社会人になった三人。大金をくすねる際、飼い猫に引っ掻かれた傷がいまだ癒えず、体に奇妙な変化も。さらに、彼女らの周囲に謎の男や警察の影が! 青春の罪に怯える女たちのホラー・サスペンス。>(文庫カバーより)
3人のうちの1人、雅江(姓は秋本)の就職先は、予備校。最初は事務で、でも急成長している予備校、英文科(名門の東都女子大)卒であることを買われて講師に。「受験天才」と題された章がある。倉林弘という予備校生が雅江の前に生徒として現れる。雅江は、倉林が雅江たちがりん婆さん(土門りん)の家にあった大金をネコババしたことを知っているのではないか、と疑う。
全体的に(あぁ愚痴が始まっちゃうよ)なんていうか「支離滅裂」と言えば言い過ぎかもしれないけれど、雑然としているというか、粗雑な印象を受けるというか、論理的ではない…というか、論理的かどうか以前に文章に問題があるのではないか、というか。予備校とはかくかくしかじかな所である、とか、予備校生にはこれこれこういうタイプの人がいる……みたいなことも書かれているのだけれど、このセンテンス(文)で言われていることは正しい、このセンテンスは事実的におかしい、ここはどちらとも言えない、みたいな…、なんていうか、読んでいてめんどくさいし、私はふだんならこの手の文章はそもそも読む気がしない(のでたぶん読まない)というか。――こんな説明では何が言いたいのかわからないか…(涙)、文章力については他人のことがぜんぜん言えません(すみません)。――少し証拠を見せたいのだけれど、長めに引用してしまうか。
<雅江は予備校に勤務して、受験生にいくつかのタイプがあることを知った。/一は、志望校を目指して一心不乱に勉強する生徒。/ニは、女子に多いタイプであるが、とりあえず大学へ行く以外に、ほかにすることがないので予備校に来る者。/三は、一型の亜種であるが、二次、三次志望校には合格したものの、第一志望に入れないために浪人をつづけている者。/四は、二浪、三浪のベテランで、かなりの実力は有するものの、受験技術が下手で、合格しない者。/五は、特定の志望校もなく、とりあえずどこにも行く当てがないので予備校へ来ている者。/六は、三の亜種であるが、どこを受けても合格せず、モラトリアムとして予備校を溜まり場としている者。/七は、高卒でいったん社会へ出たものの、進学したくなって予備校へ来る者。/八は、予備校を時間潰しの場所として来る者。モラトリアム型と多少複合しているが、志望校も特になく、大学と混同している者が多い。/(略)>(p.148)
個人的には「なんだこりゃ?」のひと言だけれど(汗)、えーと、まず「一」はいいか。次の「ニ」は、私には言っている意味がよくわからないな。大学に落ちてしまったけれど(落ちたのだからもちろん大学には通えないし)家にいてもしようがないので、通う必要はないけれど、予備校通い、みたいな? ――というか、1つずつ検討してもなんだか虚しい(涙)。とりあえず受験生のタイプ、といっても「なぜ予備校へ来ているのか」という理由(動機)によって予備校生が分類されている…のかな?(うーん…)。要するに(率直に言ってしまえば)そもそも分類=タイプ分けになんてなっていないんだよね、上の引用箇所。明らかな重複もあるし。…あ、あれ、「亜種」ってどういう意味だっけ? 「六」は「三」の亜種で、「三」は「一」の亜種、とのことだけれど、「一」はやる気がある系なのに対して、「六」はやる気がない系――矛盾しているけれど、いいの? あ、「八」は「六」と“複合”しているのか。というか、「八」ってけっこう「ニ」とかぶっている(涙)。よくわからないけれど、8種類が3種類くらいに減らせそうだ。――小説だから(分類の)重複・矛盾も許される、というご意見もあるかもしれないけれど、そんなことをいえば(?)小説的には、上のような随所に挟まれる解説(?)がストーリーとほとんど関係していない、ということは問題じゃないんだろうか?(汗)。3人組の1人・京子は大学卒業後、結婚相談所に勤めるのだけれど、「結婚相談所」についても、これこれあーだこーだ……みたいな“解説”があって、にもかかわらず、京子はすぐに結婚してしまい、それ以降、元の職場である相談所は、いちども登場してこない、とか。
倉林くんは、高校卒業後いったん社会に出ている。<高校在学中、暴走族に入り、鑑別所に二回送られている>(p.114)――これで高校は留年せずにストレートで卒業できたの?(まぁいいか)。埼玉県の秩父出身、いまは東京に下宿している。社会人として働いたときに貯めたお金が(まだ)あるらしい。年齢とかの数字は例によって(小説=フィクションではありがち)作中ですでに矛盾している気が、するけれど、雅江&弘はまとめると次のような感じ。
秋本雅江 / 倉林弘
(大学3年生 / 高校3年生)
大学4年生 / 社会人1年目
予備校講師1年目 / 社会人2年目
予備校講師2年目 / 予備校生1年目
そう、ネタバレしてしまうけれど、倉林が雅江に近づいてきたのは、結局、偶然ということ?(ちょっと脱力してしまう)。
<京子、恵子、雅江の女子大生三人は、古代異族の末裔と言われる老婆を秩父に訪ね一泊した。翌朝、老婆は死んでおり、枕元に一億円余の入った鞄があった。一年後、主婦や社会人になった三人。大金をくすねる際、飼い猫に引っ掻かれた傷がいまだ癒えず、体に奇妙な変化も。さらに、彼女らの周囲に謎の男や警察の影が! 青春の罪に怯える女たちのホラー・サスペンス。>(文庫カバーより)
3人のうちの1人、雅江(姓は秋本)の就職先は、予備校。最初は事務で、でも急成長している予備校、英文科(名門の東都女子大)卒であることを買われて講師に。「受験天才」と題された章がある。倉林弘という予備校生が雅江の前に生徒として現れる。雅江は、倉林が雅江たちがりん婆さん(土門りん)の家にあった大金をネコババしたことを知っているのではないか、と疑う。
全体的に(あぁ愚痴が始まっちゃうよ)なんていうか「支離滅裂」と言えば言い過ぎかもしれないけれど、雑然としているというか、粗雑な印象を受けるというか、論理的ではない…というか、論理的かどうか以前に文章に問題があるのではないか、というか。予備校とはかくかくしかじかな所である、とか、予備校生にはこれこれこういうタイプの人がいる……みたいなことも書かれているのだけれど、このセンテンス(文)で言われていることは正しい、このセンテンスは事実的におかしい、ここはどちらとも言えない、みたいな…、なんていうか、読んでいてめんどくさいし、私はふだんならこの手の文章はそもそも読む気がしない(のでたぶん読まない)というか。――こんな説明では何が言いたいのかわからないか…(涙)、文章力については他人のことがぜんぜん言えません(すみません)。――少し証拠を見せたいのだけれど、長めに引用してしまうか。
<雅江は予備校に勤務して、受験生にいくつかのタイプがあることを知った。/一は、志望校を目指して一心不乱に勉強する生徒。/ニは、女子に多いタイプであるが、とりあえず大学へ行く以外に、ほかにすることがないので予備校に来る者。/三は、一型の亜種であるが、二次、三次志望校には合格したものの、第一志望に入れないために浪人をつづけている者。/四は、二浪、三浪のベテランで、かなりの実力は有するものの、受験技術が下手で、合格しない者。/五は、特定の志望校もなく、とりあえずどこにも行く当てがないので予備校へ来ている者。/六は、三の亜種であるが、どこを受けても合格せず、モラトリアムとして予備校を溜まり場としている者。/七は、高卒でいったん社会へ出たものの、進学したくなって予備校へ来る者。/八は、予備校を時間潰しの場所として来る者。モラトリアム型と多少複合しているが、志望校も特になく、大学と混同している者が多い。/(略)>(p.148)
個人的には「なんだこりゃ?」のひと言だけれど(汗)、えーと、まず「一」はいいか。次の「ニ」は、私には言っている意味がよくわからないな。大学に落ちてしまったけれど(落ちたのだからもちろん大学には通えないし)家にいてもしようがないので、通う必要はないけれど、予備校通い、みたいな? ――というか、1つずつ検討してもなんだか虚しい(涙)。とりあえず受験生のタイプ、といっても「なぜ予備校へ来ているのか」という理由(動機)によって予備校生が分類されている…のかな?(うーん…)。要するに(率直に言ってしまえば)そもそも分類=タイプ分けになんてなっていないんだよね、上の引用箇所。明らかな重複もあるし。…あ、あれ、「亜種」ってどういう意味だっけ? 「六」は「三」の亜種で、「三」は「一」の亜種、とのことだけれど、「一」はやる気がある系なのに対して、「六」はやる気がない系――矛盾しているけれど、いいの? あ、「八」は「六」と“複合”しているのか。というか、「八」ってけっこう「ニ」とかぶっている(涙)。よくわからないけれど、8種類が3種類くらいに減らせそうだ。――小説だから(分類の)重複・矛盾も許される、というご意見もあるかもしれないけれど、そんなことをいえば(?)小説的には、上のような随所に挟まれる解説(?)がストーリーとほとんど関係していない、ということは問題じゃないんだろうか?(汗)。3人組の1人・京子は大学卒業後、結婚相談所に勤めるのだけれど、「結婚相談所」についても、これこれあーだこーだ……みたいな“解説”があって、にもかかわらず、京子はすぐに結婚してしまい、それ以降、元の職場である相談所は、いちども登場してこない、とか。
倉林くんは、高校卒業後いったん社会に出ている。<高校在学中、暴走族に入り、鑑別所に二回送られている>(p.114)――これで高校は留年せずにストレートで卒業できたの?(まぁいいか)。埼玉県の秩父出身、いまは東京に下宿している。社会人として働いたときに貯めたお金が(まだ)あるらしい。年齢とかの数字は例によって(小説=フィクションではありがち)作中ですでに矛盾している気が、するけれど、雅江&弘はまとめると次のような感じ。
秋本雅江 / 倉林弘
(大学3年生 / 高校3年生)
大学4年生 / 社会人1年目
予備校講師1年目 / 社会人2年目
予備校講師2年目 / 予備校生1年目
そう、ネタバレしてしまうけれど、倉林が雅江に近づいてきたのは、結局、偶然ということ?(ちょっと脱力してしまう)。
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