いま手もとにあるのは、講談社文芸文庫から出ている同名の本(1989年)。講談社文庫(1977年)を底本としているらしい。講談社から出ている同名の単行本(1971年)とは収録作が異なっているようだ。何か文学全集のたぐいでも読めるかもしれない。――それはそれとして。

 <グリム童話が不思議に交叉する丘の上の家。/“姉がひとり、弟が二人とその両親”――/嫁ぐ日間近な長女を囲み、毎夜、絵合せに興じる五人――/日常の一齣一齣を、限りなく深い愛しみの心でつづる、/野間文芸賞受賞の名作「絵合せ」/「丘の明かり」「尺取虫」「小えびの群れ」など全十篇収録。>(表紙カバーの後ろより)

表題作はいちばん最後に収録されている。ちょっと不思議だけれど、読んでいるだけで面白いです。やっぱり文体の力? すごくシンプルな文章だけれど。内容は、父親(「彼」)の視点で、家族に関係する日常のエピソードともいえないエピソード(現在のことだけでなく過去のことも)が連ねられているだけ、というか。淡々としているといえば淡々としている小説かもしれない。そう、お父さん目線小説で、娘が嫁に行くとなれば、ふつう“お涙ちょうだい小説”みたいになるよね?(って、ならないかふつう(汗))。

絵合せ(カードゲームといえばカードゲーム?)をするとき、中心となっているというか音頭をとっているのが長男の明夫(苗字は井村、元サッカー部)。受けた大学のどこにも受からず、予備校に通っているらしい。読んでいると近くに予備校はなさそうな感じがするけれど、けっこう遠くまで通っている? 受験勉強は一応、ちゃんとしているような印象…は受けるけれど、よくわからないな。作中年はたぶん(犬年であるようだし)1970年でいいと思う。

1つ前に収録されている「カーソルと獅子座の流星群」は、お姉さん(和子)が家を出て行ったあとの話。もう冬になっている。そう、お兄ちゃん、意外と弟(=良二、中学3年・陸上部)をいじめている? たわいのない感じだけれど。あ、夜の2時くらいまでは勉強しているのか。
 

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