・大倉崇裕『オチケン！』
ミステリーYA!（理論社）、2007。もう続編が出ているけれど（2011年4月現在）、とりあえず1（というか番号なし）です。ややおとぼけキャラの越智健一。ちょっと謎めいた２人の先輩、岸＆中村がいる落語研究会に入部して（させられて）、ミステリーがからむ（？）廃部危機＆部室争奪戦というかに巻き込まれる――。もの足りない気もしたけれど、意外と面白かったです。そういえば、越智くん、ちょっと寝すぎ？（笑）。ま、春だしね（関係ないか）。出身は静岡、前年は地元の予備校に通っていた模様。気乗りはしなかったものの、予備校や親のすすめで受けたこの私立学同院しか受からなかったようだ。大学は目白通りに、アパートは５駅はなれたところとのこと。（［追記］その後、文庫化される。PHP文芸文庫、2011.11。）
・竹宮ゆゆこ『ゴールデンタイム2 答えはYES』
電撃文庫、2011。「名前がない」というのも象徴的？（個人の名前入りクラスＴシャツが自分のぶんだけ見つからない）。学校でハブられるどころか、幽霊化後は、世の中からハブられてしまっているような？（違うか）。この小説では付き合っていたわけではないけれど（俗にいう「友達以上恋人未満」？）男の子が落ちて女の子だけ東京の大学に受かる、というのはたぶん古典的なパターン。ただこの小説では、男の子が女の子っぽく描かれているというか、男の子が東京に付いていきたい発言をしている。そう、高校生ラノベと違って大学生ラノベは、おおっぴらにお酒が飲めていいよね（よくはないか）。あ、大学生といえばあとアルバイト、ヤナっさんってまだバイトはしていないんだっけ？ 人が落としたガムを拾って食べるほどうえている…。万里もバイト、すればいのにね。小説の最後のほう、意外とけっこうシリアスな展開に？（「ラブコメ小説」じゃなかったっけか）。思うに「待って！」と言われても、待てないのが「青春」なんでしょうか？ AKB48の歌もよく「走っている」もんね（歌詞の話）。関係ないか（汗）。
・藤野千夜『さやかの季節』
光文社、2007。（個人的にはだいぶ前に読んでよく覚えていないけれど）『ベジタブルハイツ物語』（光文社、2005→光文社文庫）の続編。その作品で主人公のひとりだった、山本さやかのその後が描かれている。――藤野千夜の小説って読みやすいな、やっぱり。読むのが遅い自分にとってはありがたい。ただ、主人公に対してですら、見方（？）が皮肉っぽく感じるけれど。変な人に好かれやすいらしいさやかは、でも（ネタバレしてしまうけれど）いちおう親友もできたり、彼氏もできたりしている。大学近くの喫茶店でアルバイトもしている（ウェイトレスって定番の１つかな、やっぱり）。大学は都心から電車で２時間弱のところ、“娘ラブ”なお父さんの反対を振り切ってのひとり暮らし。そう、（これもネタバレになってしまうけれど）同級生のアラやんという人が大学をやめて浪人生に。
・小室みつ子『カルチェラタンで迷子』
集英社文庫コバルトシリーズ、1984。古い小説（4半世紀以上前に出たもの）だけれど、意外と自然に読み通せたです。個人的には同じ作者の“久里子シリーズ”よりも、こちらのほうが面白かったかもしれない。男性目線で書かれているから（自分が男性だから）かな。よくわからないけれど。――表紙カバーの折り返しのところを引用しておけば（重点の置き方に違和感があるけれど、まぁしかたがない）、
＜一浪の末、あこがれの大学キャンパス［カルチェラタン］を踏んだ誠［まこと］。その入学式の日に思わぬ人と再会した。その名はアンミ。誠の小学校時代の悪ガキ仲間の女のコ［手前3字傍点］。ところがアンミとしては「初恋の人」と再会したつもりらしいから、話は少々やっかいだ。誠としては偶然知りあったバイクを駆る謎の女性が気になって…。キャンパスに花咲く恋と友情の青春グラフィティ。＞（［括弧］はルビ、または私の補足。）
という内容。大学生小説＆オートバイ小説というか。誠くん（苗字は滝沢）、ややクールめというか、ちょっと孤独を愛している感じ？（それほど感傷的な小説というわけではないけれど、1980年代、“時代”はちょっと感じてしまう）。同級生な男友だち（２人）もできている。大学は日吉にあるとのこと。浪人＝苦労人？ 前年は予備校に通っていたとのこと（よくわからないけれど、たぶん東京の）。誠くんのバイクは、予備校友達から譲ってもらったもの。思うに、この小説の誠くんみたいなほうが普通というか、それほどすぐに「予備校生」から「大学生」に意識を切り換えられないよね？（そんなこともないか、人にもよるか）。ちなみに高校というか実家があるのは、小諸（長野）らしい。
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