連作短篇集『アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記』(ハヤカワSFシリーズ Jコレクション[早川書房]、2003)に収録されている1篇(全8篇中の5篇目)。ひと言でいえばユーモアSF小説(ちょっとブラック?)。文章も読みやすかったし、けっこう面白かったです。最後のへん、話が1つにまとまって(ネタバレしてしまうかな)大根おろしが降ってくる場面は、ちょっと壮大でよかった(個人的には、川上弘美『いとしい』の鳥が舞う場面を思い出したりした)。

主人公の家の近くでも最近、目撃情報があったりする、未確認飛行物体の通称「飛び小母さん」。なんと、オノ・ヨーコ似!(笑)。主人公の茂は、例によって小説にありがちな、ぜんぜん勉強していない浪人生。中学生のときに酒の味を覚え、親からもらった予備校代はお酒に消え、いまは家のお金をくすねては、近くの『寿司ゼリー』(ご主人は流暢な江戸弁をあやつるユダヤ系外国人)でビールを飲んだり…。あと、一方では、義姉(兄嫁)と仲良くなっていたりもする。要するに(私がたんにSF小説を読みなれていないせいかもしれないけれど)全体的に“設定”が面白いんだよね、この小説。

関係ないけれど(どうでもいいことだけれど)、誤植というかなんというか、「じじい」の名前「靫負(ゆきえ)」が、本の最初のへんの登場人物たちイラストでは「靱負」となっている。
 

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