正本ノン 「感傷的なゴリラ」
2011年7月25日 読書
連作短篇集『恋するペリカン・ナイト』(集英社文庫コバルト・シリーズ、1986、「・」ではなくてハートマーク)の最初の1篇(全6篇)。「あとがき」によれば、作者はこの1篇(初出は『COBALT』1984年1月冬号)を書いたときには、シリーズ(連作)化するつもりは全然なかった、とのこと(p.239)。で、感想はといえば、あまり期待していなかったせいか、意外と面白かったです。ひと言でいえば、やっぱり“恋愛小説”かな(ざっくり言いすぎか…)、とりあえずこの第1話は“クリスマス・ストーリー”になっている。語り手の語り口としては、『ライ麦』&『赤頭巾』(ホールデン&薫くん)系列で、のちの『千葉千波~』(ぴいくん)にもつながるような? 小さな子や絵本が出てきたり、内容的にも『赤頭巾ちゃん気をつけて』を思い出す、かな。
浪人生で童貞(下半身がけっこう元気?)の「オレ」=省三(しょーぞー、姓は本田)には、高校生のときに同じムービークラブ(映画愛好会)に入っていて、いまもプラトニックな関係が続いている元同級生で、現在大学生の彼女=惺子(せいこ、姓は夕笛)がいる。全篇(全話)通じて、第3者がからんできたりしてこの省三くんと惺子さんがくっついたり離れたりする、ような展開になっているのだけれど、この1話目は、高校のクラス会兼忘年会(惺子は不参加、場所は同級生・花杜の家のスナック)に参加したことがきっかけで、「オレ」は、花杜の妹・沙笑の純粋でけなげな(?)愛というか憧れというかをぶつけられることになる、みたいな話(ちょっと違うか)。「オレ」は現役受験生の沙笑といっしょに都立中央図書館で勉強したりしている(「有栖川ロマンチック」という小見出しが付いている箇所。東京ネイティブな受験生カップルの、青春の憧れ定番行動?)。
浪人生の描かれ方としては、とりあえず“明るい浪人生”という感じ。
<オレ、はっきり言って、惺子の描く浪人像って、あまりに古典だと思うわけ。>(p.7)
「オレ」というか省三くんは、意外なことに(?)代々木のYゼミ生ではなくて、御茶ノ水のS台生。予備校に合格したときには、親戚のおばさんが合格祝いにメガネ(当時としてはかっこいい?)を買ってくれたそうだ。
<そりゃ、駿台って一部じゃ東大より難しいとか噂されてるけど、でもやっぱSunday is not Today=駿台は東大ではない、だもんな。思えばホント過保護な環境の中にいるぜ、オレって。>(p.10)
「日曜日は今日ではない」?(意味がいまいちわからん(涙))。「過保護な(家庭)環境」といっても、もちろん(?)お母さんからは2浪はダメ、みたいなことは言われている。そう、全体的に“下ネタ”が多い小説なのだけれど(そういうのが当時の若者に受けたのかな? わからないけれど)、最初のへんのおしぼり云々の話は、某喫茶店(というか『ルノアール』)に対する営業妨害になってしまわないか?(汗)。惺子さんが通っているのは、四谷の大学(2篇以降、どこだったか「上智」と書かれている箇所があったと思う)。2篇目以降だけれど、省三くんが合格してしまうのは(東大ではなくて)御茶ノ水の大学。というか、明治大学?(あいかわらず東京の地理がよくわからんです)。とりあえず、予備校生時代と通学場所がほとんど変わらなくていいやね(電車の定期券が残っていればそのまま使えたり、とか)。あ、家はどこにあるんだっけ?(読み直さないとわからないや(涙))。どうでもいいけれど、付き合っている彼女が上智大生、という設定の小説ってやけに多くない? それが定番の1つ?(ま、この小説では作者じしんが上智卒みたいだけれど。そう、出版社=集英社のある場所が御茶ノ水の駅から……ま、細かいことはいいや)。
作中年がわからないけれど、初出時=1984年くらい? えーと、時代的に御茶ノ水といえば、スキー用品を売っている店?(惺子さんが大学2年になってシネ・サーからスキークラブに)。関係ないけれど、思い出した。以前、地理を覚えようかと思って、逢坂剛“御茶ノ水署シリーズ”(集英社文庫)の最初の2冊くらいを買ってあって、いまだにまったく読んでいない。というか、小説本ではなくてちゃんとした地図を買えよ、自分(汗)。そう、あと、紫門ふみの小説短篇集『恋愛物語(ラブピーシイズ)』(角川書店、1997→角川文庫)に「お茶の水ラブストーリー」という作品が収録されているけれど、これは(意外と面白く読めたけれど)“お茶の水小説”というより“地下鉄丸ノ内線小説”という感じ。その意味では(?)『恋するペリカン・ナイト』のほうが、場所的によほど“御茶ノ水ラブストーリー”になっているかもしれない。御茶ノ水の浪人生&ジュニア小説(ライトノベル)つながりでは、昨年(2010年)菊池秀行『牙一族の狩人 魔界都市<新宿>』(朝日ノベルズ、シリーズ第四話)という小説も出ている。まだほとんど読んでいないけれど、冒頭の予備校の授業風景が、あまり予備校の授業っぽくないと思う。
そう、あと浪人生がらみでは、省三くんの大学の同級生で、「歩く『モアリポート』」こと大和田という友達が出てくる。よくわからないけれど、1浪しているようだ(京都出身、アパート1人暮らし)。
浪人生で童貞(下半身がけっこう元気?)の「オレ」=省三(しょーぞー、姓は本田)には、高校生のときに同じムービークラブ(映画愛好会)に入っていて、いまもプラトニックな関係が続いている元同級生で、現在大学生の彼女=惺子(せいこ、姓は夕笛)がいる。全篇(全話)通じて、第3者がからんできたりしてこの省三くんと惺子さんがくっついたり離れたりする、ような展開になっているのだけれど、この1話目は、高校のクラス会兼忘年会(惺子は不参加、場所は同級生・花杜の家のスナック)に参加したことがきっかけで、「オレ」は、花杜の妹・沙笑の純粋でけなげな(?)愛というか憧れというかをぶつけられることになる、みたいな話(ちょっと違うか)。「オレ」は現役受験生の沙笑といっしょに都立中央図書館で勉強したりしている(「有栖川ロマンチック」という小見出しが付いている箇所。東京ネイティブな受験生カップルの、青春の憧れ定番行動?)。
浪人生の描かれ方としては、とりあえず“明るい浪人生”という感じ。
<オレ、はっきり言って、惺子の描く浪人像って、あまりに古典だと思うわけ。>(p.7)
「オレ」というか省三くんは、意外なことに(?)代々木のYゼミ生ではなくて、御茶ノ水のS台生。予備校に合格したときには、親戚のおばさんが合格祝いにメガネ(当時としてはかっこいい?)を買ってくれたそうだ。
<そりゃ、駿台って一部じゃ東大より難しいとか噂されてるけど、でもやっぱSunday is not Today=駿台は東大ではない、だもんな。思えばホント過保護な環境の中にいるぜ、オレって。>(p.10)
「日曜日は今日ではない」?(意味がいまいちわからん(涙))。「過保護な(家庭)環境」といっても、もちろん(?)お母さんからは2浪はダメ、みたいなことは言われている。そう、全体的に“下ネタ”が多い小説なのだけれど(そういうのが当時の若者に受けたのかな? わからないけれど)、最初のへんのおしぼり云々の話は、某喫茶店(というか『ルノアール』)に対する営業妨害になってしまわないか?(汗)。惺子さんが通っているのは、四谷の大学(2篇以降、どこだったか「上智」と書かれている箇所があったと思う)。2篇目以降だけれど、省三くんが合格してしまうのは(東大ではなくて)御茶ノ水の大学。というか、明治大学?(あいかわらず東京の地理がよくわからんです)。とりあえず、予備校生時代と通学場所がほとんど変わらなくていいやね(電車の定期券が残っていればそのまま使えたり、とか)。あ、家はどこにあるんだっけ?(読み直さないとわからないや(涙))。どうでもいいけれど、付き合っている彼女が上智大生、という設定の小説ってやけに多くない? それが定番の1つ?(ま、この小説では作者じしんが上智卒みたいだけれど。そう、出版社=集英社のある場所が御茶ノ水の駅から……ま、細かいことはいいや)。
作中年がわからないけれど、初出時=1984年くらい? えーと、時代的に御茶ノ水といえば、スキー用品を売っている店?(惺子さんが大学2年になってシネ・サーからスキークラブに)。関係ないけれど、思い出した。以前、地理を覚えようかと思って、逢坂剛“御茶ノ水署シリーズ”(集英社文庫)の最初の2冊くらいを買ってあって、いまだにまったく読んでいない。というか、小説本ではなくてちゃんとした地図を買えよ、自分(汗)。そう、あと、紫門ふみの小説短篇集『恋愛物語(ラブピーシイズ)』(角川書店、1997→角川文庫)に「お茶の水ラブストーリー」という作品が収録されているけれど、これは(意外と面白く読めたけれど)“お茶の水小説”というより“地下鉄丸ノ内線小説”という感じ。その意味では(?)『恋するペリカン・ナイト』のほうが、場所的によほど“御茶ノ水ラブストーリー”になっているかもしれない。御茶ノ水の浪人生&ジュニア小説(ライトノベル)つながりでは、昨年(2010年)菊池秀行『牙一族の狩人 魔界都市<新宿>』(朝日ノベルズ、シリーズ第四話)という小説も出ている。まだほとんど読んでいないけれど、冒頭の予備校の授業風景が、あまり予備校の授業っぽくないと思う。
そう、あと浪人生がらみでは、省三くんの大学の同級生で、「歩く『モアリポート』」こと大和田という友達が出てくる。よくわからないけれど、1浪しているようだ(京都出身、アパート1人暮らし)。
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