大谷羊太郎 『殺意の演奏』
2011年10月11日 読書
講談社、1970/講談社文庫、1975。今年は2011年なので約40年前の江戸川乱歩賞受賞作(画像は講談社文庫の全集版)。あ、小峰元『アルキメデスは手を汚さない』(1973)より古いのか。※以下ネタバレ注意です、毎度すみません。
<芸能ショーの若手司会者、細井道夫が死体となって発見された。部屋は内鍵が下ろされた密室で死因はガス中毒。机上に遺書とみられる暗号日記が残されており暗号を解読した捜査当局は、自殺と断定し、捜査を打ちきった。が、解読されたはずの暗号が二重構成と判明するや、事件は、がぜん複雑な相を帯びてきた。>(文庫表紙カバー背より)
2度目のJ大(私立の名門)受験に失敗したあと、あてもなく大阪の街をさまよい歩き(エリート意識やプライドが高いとそのぶん不合格のショックも大きいらしい)、いざなわれるように入った音楽喫茶で司会者という天職(?)を見つけて(もともとの夢はJ大を出てテレビ局のアナウンサー)、プロの司会者として舞台に立っていた細井道夫(本名・杉山重一、21歳)が、大阪市内の自宅というか下宿(離れ)で死体となって発見される。発見したのは、東京から帰郷してきた、高校のときの同級生で友人の村田久光、L大(現役合格、J大より格下)の2年生。――2年生ではなくて3年生でないと計算が合わないような?(まぁいいか)。部屋はいわゆる密室状態で、周りにはトランプがばらまかれていたり、暗号で書かれた日記が残されていたり…。でも、結局、この事件(?)は自殺ということになって、それから約10年後。あ、細井が亡くなったのが昭和3*年11月の末だから、約10年後は昭和4*年くらい? どこかの大学を卒業してラジオ局に勤めている細井の弟・杉山真二が登場。偶然、ある作家が書いた推理小説を読んで、そこに兄の“遺書日記”と符合する部分があることに気づき、その作者=浅野正夫(付属高校からJ大、中退)を疑い出す。推理小説好きの恋人・高岡妙子、さらに兄の友人で第1発見者の村田も加えて、調査を始めてみると――。
この作者、ミステリ系の人にしては、風景描写や心理描写(特に「演奏」される「殺意」?)がけっこう丁寧であるような? 全体的にけっこう面白かったけれど(でもちょっと長かったかな)、はたしてミステリ部分が面白かったのかどうか、自分でもよくわからない。そう、戦後2, 30年ぶんくらいの日本の軽音楽史が勉強できたりもする。…それはともかく、えーと、なんだっけ? あ、大事なのは、禍福はあざなえる縄の如し(ことわざ)か。縄(なわ)が端っこで繋がっていれば、2本ではなくて1本の可能性もあるのか(へぇ~、そういう風に考えたことがなかった)。小説の構成というか構造というかは、ちょっと数学的というか幾何学的な感じかもしれない。(関係ないけれど、哲学者・入不二基義の『相対主義の極北』(ちくま学芸文庫)や『時間は実在するか』(講談社現代新書)を読み直したくなったりした。あと、何かまた西澤保彦の小説も読んでみたいな。いまそんな暇はないけれど(涙)。とにかく積ん読本を減らさないと。)
「劣等感」という言葉は、この小説のキーワードの1つかもしれないけれど、それはまぁいいか(よくはないか(汗))。そう、小説を読んでいてまた出てきた、ロバート・ブラウニングのでんでん虫の詩が好きな人ってけっこう多い?(学校で習うのかな?)。「第八章」のタイトルは、「神、そらに知ろしめす」――というか「神のみぞ知る」とか言っていないで、現場ひゃっぺん、もう1度あれこれ証拠探し、目撃者探しから始めればいいのに!(そういう小説ではないのか…)。どうでもいいけれど、最後のへん、探偵役カップル(真二&妙子)の今後の仲(関係)がちょっと心配。ちなみに作者(この小説における神様)は慶応大学中退らしい。J大でもL大でもなくて(JとLの間の)K大だね。
<芸能ショーの若手司会者、細井道夫が死体となって発見された。部屋は内鍵が下ろされた密室で死因はガス中毒。机上に遺書とみられる暗号日記が残されており暗号を解読した捜査当局は、自殺と断定し、捜査を打ちきった。が、解読されたはずの暗号が二重構成と判明するや、事件は、がぜん複雑な相を帯びてきた。>(文庫表紙カバー背より)
2度目のJ大(私立の名門)受験に失敗したあと、あてもなく大阪の街をさまよい歩き(エリート意識やプライドが高いとそのぶん不合格のショックも大きいらしい)、いざなわれるように入った音楽喫茶で司会者という天職(?)を見つけて(もともとの夢はJ大を出てテレビ局のアナウンサー)、プロの司会者として舞台に立っていた細井道夫(本名・杉山重一、21歳)が、大阪市内の自宅というか下宿(離れ)で死体となって発見される。発見したのは、東京から帰郷してきた、高校のときの同級生で友人の村田久光、L大(現役合格、J大より格下)の2年生。――2年生ではなくて3年生でないと計算が合わないような?(まぁいいか)。部屋はいわゆる密室状態で、周りにはトランプがばらまかれていたり、暗号で書かれた日記が残されていたり…。でも、結局、この事件(?)は自殺ということになって、それから約10年後。あ、細井が亡くなったのが昭和3*年11月の末だから、約10年後は昭和4*年くらい? どこかの大学を卒業してラジオ局に勤めている細井の弟・杉山真二が登場。偶然、ある作家が書いた推理小説を読んで、そこに兄の“遺書日記”と符合する部分があることに気づき、その作者=浅野正夫(付属高校からJ大、中退)を疑い出す。推理小説好きの恋人・高岡妙子、さらに兄の友人で第1発見者の村田も加えて、調査を始めてみると――。
この作者、ミステリ系の人にしては、風景描写や心理描写(特に「演奏」される「殺意」?)がけっこう丁寧であるような? 全体的にけっこう面白かったけれど(でもちょっと長かったかな)、はたしてミステリ部分が面白かったのかどうか、自分でもよくわからない。そう、戦後2, 30年ぶんくらいの日本の軽音楽史が勉強できたりもする。…それはともかく、えーと、なんだっけ? あ、大事なのは、禍福はあざなえる縄の如し(ことわざ)か。縄(なわ)が端っこで繋がっていれば、2本ではなくて1本の可能性もあるのか(へぇ~、そういう風に考えたことがなかった)。小説の構成というか構造というかは、ちょっと数学的というか幾何学的な感じかもしれない。(関係ないけれど、哲学者・入不二基義の『相対主義の極北』(ちくま学芸文庫)や『時間は実在するか』(講談社現代新書)を読み直したくなったりした。あと、何かまた西澤保彦の小説も読んでみたいな。いまそんな暇はないけれど(涙)。とにかく積ん読本を減らさないと。)
「劣等感」という言葉は、この小説のキーワードの1つかもしれないけれど、それはまぁいいか(よくはないか(汗))。そう、小説を読んでいてまた出てきた、ロバート・ブラウニングのでんでん虫の詩が好きな人ってけっこう多い?(学校で習うのかな?)。「第八章」のタイトルは、「神、そらに知ろしめす」――というか「神のみぞ知る」とか言っていないで、現場ひゃっぺん、もう1度あれこれ証拠探し、目撃者探しから始めればいいのに!(そういう小説ではないのか…)。どうでもいいけれど、最後のへん、探偵役カップル(真二&妙子)の今後の仲(関係)がちょっと心配。ちなみに作者(この小説における神様)は慶応大学中退らしい。J大でもL大でもなくて(JとLの間の)K大だね。
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