実業之日本社、2006/ジョイ・ノベルス、2008/講談社文庫、2012.1。手もとにあるのは文庫版。というか、文庫化されるのを待っていて(出たので)今回読んだ。ふつうに面白かったけれど、この小説もけっこう長かったかな(うーん…。文字は大きめだけれど、手もとの文庫本では約470ページ)。あ、※以下いちおうネタバレ注意です。敵と味方がころころと入れ替わっているというか、いちどコンビやチームを組んでも、メンバーそれぞれが思惑を持っていて、お互いに出し抜こうとしたり…。そのせいもあってか、予定(計画)が結局、うまくいかないことも多い。うーん…、こういう小説(青春アクション小説みたいなもの?)は、個人的には趣味ではないけれど、でも、読んでみて面白かったことは面白かったです。そう、関係ないけれど、この作者の小説本(まだあまり読んだことがないけれど)のタイトルには、よく「考」とか「孝」とか、あと「狂」とか「凶」が入っている? 「ラプソディー」は「狂想曲」だし。

 <一九八五年、十七歳。オレ達若かった! 『親不孝通りディテクティブ』の名(迷)コンビの高校時代、キュータとテッキは恐れ知らずに博多の街を駆け回る。羽目を外したキュータは美人局に嵌められる。金に窮したキュータは信金の裏金をまんまと奪うが、結果は収束どころか、闇社会が絡み危機てんこ盛りの事態に!>(表紙カバーより)

だいぶ前に読んでよく覚えていないけれど、短篇連作・大人編だった『~ディテクティブ』に対して、こちらは長篇小説・高校生編。いちおう“1人称小説”というか、根岸球太(キュータ)=「オレ」が語り手になっている“ねぎ”パートと鴨志田鉄樹(テッキ)=「俺」が語り手になっている“かも”パートが交互に現われてくる感じ(特に最初のほうは、章ごとに視点が交替している)。暴●団だけでなく(組じたいにも内部に対立があったり)、警察も絡んできたり(元警察官も出てくる)、あとテッキが同棲を始めるエンジェルとその背後の“組織”なんかも絡んできて――複雑といえば複雑かもしれないけれど、でも、どんどん進んでいくので、決して読みにくいわけではない(と思う)。主人公の2人(と狂犬のキョウジやボクサーのガンチ)はいちおう高校生なわけだけれど、たんに警察や●力団から追われているだけでなく、やむにやまれずであれ、こちら側から罠(?)をしかけたり…と、ある意味、積極的に立ち向かってもいる。

ご当地小説&ご当時小説としてはどうなのかな? 私には博多(福岡)のことがぜんぜんわからないし(九州にすらいちども行ったことがないし)、1985年当時の(社会的な出来事などの)記憶も、いまもうほとんどないです(1990年代ならまだ少し覚えているけれど)。この小説には出てこないけれど、『スーパーマリオ』(家庭用TVゲーム機・ファミコンのソフト)はいつごろ流行ったんだっけ? そう、読んでいてちょっと面白かったのは、高校生のうちから“組”に出入りしている狂犬のキョウジ(鈴木恭二)が赤川次郎が好きらしい、ということ。1980年代前半くらい(後半もかな)は、赤川次郎の小説はやっぱり中高生にすごく人気があったのかな?(あ、いまでも人気があるのかな)。そう、思うにテッキ&キュータが高校でふつうに授業を受けている場面が1箇所くらいあれば、ちょっとシュール(?)でよかったのにな(若者っぽさはあるけれど、高校生っぽさが足りないというか。担任の先生・華岡妙子=「オフクロ」は出てくるけれど)。あ、ちなみに(?)タイトルにも入っている「親不孝通り」は、キュータの単独行動パートで1度だけ出てくる。
 

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索