五十嵐雄策『小春原日和の育成日記③』
電撃文庫、2011。シリーズ第3巻。社交ダンス・コンテストの次は百人一首対決。なんと貧乏アパートで合宿! ダメ住人の3人も、ぴよの団・学校組が持ち寄った高級食材投入お鍋のご相伴にあずかっている(ラッキーやな)。なんだろう、日和さん、今後しばらくこんな感じで、中ボス程度のお嬢様を倒していって、経験値(というかオーラというか)を増やしていって、最後にラスボスである鷹匠光琉(たかじょう・ひかる)と学園内お嬢様ナンバー・ワン決定戦、みたいな? 今巻で高1の夏休み前までが終了。先はかなり長そうな?(涙)。はたしてその間に(来年あたり)ダメ住人・音色さんは、音大に合格できるんだろうか。はたして日和の両親は、1度くらいエジプトから帰ってくることがあるんだろうか?
笹生陽子「ぼくのパーマネントイエロー」
連作短篇集『空色バトン』(文藝春秋、2011.6)所収、6篇中の4篇目。元1浪の大学1年生もの。地元で浪人→東京の大学(<二流私大の商学部>とのこと)。ひと言でいえば“再会譚”というか。初参加した合コンで再会。…それはともかく、個人的には2011年上半期ワースト・ワンかな、この短篇集。何よりも文体が気に入らないのと、あと帯に<連作短篇集>とあるけれど、いまいち短篇作品として読み切れないような…。まだ読まれていない方は最初から読んだほうがいいかもしれない。ま、連作ならふつうそうするか。(私がいけなかったのかもしれない。まず4篇目を読んだあと、しかたがない1篇目を読み、現在2篇目の途中で「もう(読みやめても)いいやろ」みたいな心境です。)[追記]その後、読了。お母さん、自分の息子がおバカであることをちゃんとわかっている。ちょっと西原里恵子のエッセイ漫画っぽい? [追記]文庫は文春文庫、2013.12。
原宏一『大仏男』
実業之日本社、2010。これはふつうに面白かったです。内容は――帯から引用させてもらうと(手抜きですみません)、
<お笑い芸人予備軍コンビ・カナ&タクロウの霊視相談がインターネット掲示板で話題騒然に!! タクロウ扮する霊能者“大仏卓郎”はあれよあれよと政財界をも巻き込む大プロジェクトへと化していった。タクロウは混迷する現代日本と人の心を救うのか……?>
ま、こんな感じ。カナ(=佳奈江、人生がけっぷちの23歳)目線の小説。読んでいるとき「教育」とか「エリート」とかについて、あれこれと考えさせられたりした(何を考えていたのか、もう覚えていないけれど(汗))。そう、ただ、気になったのは(人のことはぜんぜん言えないけれど)頭の中だけで相手を批判していても、意味がないよね。特に高校のときの恋人(現在文部科学省キャリアの門脇信也)に対してとか。激しく反論されようが、いちど自分の考えを相手にぶつけてみないと。ま、実際には(現実的には)難しいか…。あと、<代々木の素浪人>の正体には、個人的にはがっかり(浪人生じゃないのかよ!)。ほかには“大仏卓郎”をプロデュースしたいとカナに近づいて来て、実際にそうし始めるシナガワマモルは、以前、<受験勉強にうんざりして>(p.94)代々木の予備校に通うのをやめたそうだ(ネタバレしてしまうけれど、実はお父さんは元役人)。[追記]文庫は、実業之日本社文庫、2013.4。
柏原兵三「幼年時代」/「毛布譚」
いま手もとにあるのは“筑摩現代文学大系”の第94巻(1977)。この人の小説、なんていうか、安定感があって面白いな。悲惨さもあるけれど、わりと好きかもしれない。初出は…よくわからないな、それぞれ本文の最後に(昭和四十三年三月)、(昭和四十五年二月)とある。前者は作者を思わせる子ども(「私」=潔)が視点、後者では作者のお母さんを思わせる女性(雅子)が視点を担っている。作者から見て叔父さん(父の末弟)に当たる人が――引用させてもらえば、
<ところが耕平は、四年で落ち、五年で落ち、特に長兄に頼んでもう一年の猶予をもらって受験勉強したにも拘らずまた落ちてしまい、更に一年の猶予をもらって二年目の浪人をしたにも拘らず、とうとう四度目も落ちてしまったので、長兄との約束に従い、上級学校進学を諦め、長兄の口利きで満鉄の傍系会社に入社にしたのであった。>(p.113、「毛布譚」)
とのこと。この叔父さんは戦争中、満州で亡くなってしまう。でも、↑安岡章太郎&遠藤周作なみの落ち具合だよね(って知らないか)。
電撃文庫、2011。シリーズ第3巻。社交ダンス・コンテストの次は百人一首対決。なんと貧乏アパートで合宿! ダメ住人の3人も、ぴよの団・学校組が持ち寄った高級食材投入お鍋のご相伴にあずかっている(ラッキーやな)。なんだろう、日和さん、今後しばらくこんな感じで、中ボス程度のお嬢様を倒していって、経験値(というかオーラというか)を増やしていって、最後にラスボスである鷹匠光琉(たかじょう・ひかる)と学園内お嬢様ナンバー・ワン決定戦、みたいな? 今巻で高1の夏休み前までが終了。先はかなり長そうな?(涙)。はたしてその間に(来年あたり)ダメ住人・音色さんは、音大に合格できるんだろうか。はたして日和の両親は、1度くらいエジプトから帰ってくることがあるんだろうか?
笹生陽子「ぼくのパーマネントイエロー」
連作短篇集『空色バトン』(文藝春秋、2011.6)所収、6篇中の4篇目。元1浪の大学1年生もの。地元で浪人→東京の大学(<二流私大の商学部>とのこと)。ひと言でいえば“再会譚”というか。初参加した合コンで再会。…それはともかく、個人的には2011年上半期ワースト・ワンかな、この短篇集。何よりも文体が気に入らないのと、あと帯に<連作短篇集>とあるけれど、いまいち短篇作品として読み切れないような…。まだ読まれていない方は最初から読んだほうがいいかもしれない。ま、連作ならふつうそうするか。(私がいけなかったのかもしれない。まず4篇目を読んだあと、しかたがない1篇目を読み、現在2篇目の途中で「もう(読みやめても)いいやろ」みたいな心境です。)[追記]その後、読了。お母さん、自分の息子がおバカであることをちゃんとわかっている。ちょっと西原里恵子のエッセイ漫画っぽい? [追記]文庫は文春文庫、2013.12。
原宏一『大仏男』
実業之日本社、2010。これはふつうに面白かったです。内容は――帯から引用させてもらうと(手抜きですみません)、
<お笑い芸人予備軍コンビ・カナ&タクロウの霊視相談がインターネット掲示板で話題騒然に!! タクロウ扮する霊能者“大仏卓郎”はあれよあれよと政財界をも巻き込む大プロジェクトへと化していった。タクロウは混迷する現代日本と人の心を救うのか……?>
ま、こんな感じ。カナ(=佳奈江、人生がけっぷちの23歳)目線の小説。読んでいるとき「教育」とか「エリート」とかについて、あれこれと考えさせられたりした(何を考えていたのか、もう覚えていないけれど(汗))。そう、ただ、気になったのは(人のことはぜんぜん言えないけれど)頭の中だけで相手を批判していても、意味がないよね。特に高校のときの恋人(現在文部科学省キャリアの門脇信也)に対してとか。激しく反論されようが、いちど自分の考えを相手にぶつけてみないと。ま、実際には(現実的には)難しいか…。あと、<代々木の素浪人>の正体には、個人的にはがっかり(浪人生じゃないのかよ!)。ほかには“大仏卓郎”をプロデュースしたいとカナに近づいて来て、実際にそうし始めるシナガワマモルは、以前、<受験勉強にうんざりして>(p.94)代々木の予備校に通うのをやめたそうだ(ネタバレしてしまうけれど、実はお父さんは元役人)。[追記]文庫は、実業之日本社文庫、2013.4。
柏原兵三「幼年時代」/「毛布譚」
いま手もとにあるのは“筑摩現代文学大系”の第94巻(1977)。この人の小説、なんていうか、安定感があって面白いな。悲惨さもあるけれど、わりと好きかもしれない。初出は…よくわからないな、それぞれ本文の最後に(昭和四十三年三月)、(昭和四十五年二月)とある。前者は作者を思わせる子ども(「私」=潔)が視点、後者では作者のお母さんを思わせる女性(雅子)が視点を担っている。作者から見て叔父さん(父の末弟)に当たる人が――引用させてもらえば、
<ところが耕平は、四年で落ち、五年で落ち、特に長兄に頼んでもう一年の猶予をもらって受験勉強したにも拘らずまた落ちてしまい、更に一年の猶予をもらって二年目の浪人をしたにも拘らず、とうとう四度目も落ちてしまったので、長兄との約束に従い、上級学校進学を諦め、長兄の口利きで満鉄の傍系会社に入社にしたのであった。>(p.113、「毛布譚」)
とのこと。この叔父さんは戦争中、満州で亡くなってしまう。でも、↑安岡章太郎&遠藤周作なみの落ち具合だよね(って知らないか)。
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