平山夢明 「或るごくつぶしの死」
2012年2月29日 読書
『或るろくでなしの死』(角川書店、2011.12)所収、7篇中の3篇目。この1篇しか読んでいないけれど(“小説”としてはいまいちどうかとは思ったけれど)、内容的にすごく考えさせられました。読んでいるあいだも、読み終わったあとも。この語り手の浪人生(のち大学生)が持っているのと同じような“エゴ”は、私のなかにもあると思うし、自分にとって都合のいいことや楽しいことを、適当な理由をつけて、本来するべき大事なことに優先させてしまうことも多いし、そのことによって(無意識にではあれ)誰か(例えば何も文句を言ってこない人など)をひどく傷つけていたり、場合によっては“殺す”ことにも繋がっていたり…するかもしれないし。なんていうかいい歳して(年齢に比して)社会的に未熟である、という自覚もあるし。できるだけ責任をとらなくてもいいような行動をあらかじめ選択していることも多いし。帯の辻村深月(作家)の言葉の中に<謝りたくなる>とあるけれど、自分もそうかもしれない。ごめんなさい。
予備校帰りの駅前で「俺」(=漢字不明で「かとうともひこ」)は、同じ田舎(海があって「~けん」という方言)から出てきた元同級生の小海(こうみ)に声を掛けられる。「俺」によれば、小海は<もともと頭の巧(うま)い女ではなかった>(p.59)そうで、小説ではよく見かける(?)敬語・丁寧語でしゃべる女の子(最初は)。アタマの問題は「俺」の側に対しても、あるレベルで言えそうな感じだけれど(そういえば<ズーデニ>って初めて聞いたかもしれない)それはともかく。よくわからないけれど(書かれていないから)兄や田舎から逃げてきたらしい小海さんは、東京にいる「俺」(=ともくん)を頼って近づいて来たのかな?(声の掛け方も、自分に気づくかどうかちょっと「俺」を試している感じ?)。そのあと「俺」は、予備校の近くにアパートを借りた小海と、なんていうか寝る(だけ)の関係になって――。「俺」が小海のことを100パーセント性的な対象として見ているかといえば、そうでもない(そこまでではない)感じだし、(ネタバレしてしまうかもしれないけれど)子どもができてからも(「こうみ」が子を産むってだじゃれか?)、<物(ブツ)>と読んでいるわりには、気にしていて情をかけたりもしているし(“妊娠小説”にありがちな、「本当に俺の子か?」みたいなことは尋ねていないし…それは関係ないか)。主人公に対して、例えば「鬼畜!」のひと言で済ませられたら、同じ嫌な(不快な)読後感であっても、もっと楽なものになるかもしれない(そんなこともないか…)。<南無(ナム)>という名前や、死刑囚に似ているみたいな話は、ちょっと謎で、解釈が必要な箇所?
[追記]文庫は、角川ホラー文庫、2014.10。
予備校帰りの駅前で「俺」(=漢字不明で「かとうともひこ」)は、同じ田舎(海があって「~けん」という方言)から出てきた元同級生の小海(こうみ)に声を掛けられる。「俺」によれば、小海は<もともと頭の巧(うま)い女ではなかった>(p.59)そうで、小説ではよく見かける(?)敬語・丁寧語でしゃべる女の子(最初は)。アタマの問題は「俺」の側に対しても、あるレベルで言えそうな感じだけれど(そういえば<ズーデニ>って初めて聞いたかもしれない)それはともかく。よくわからないけれど(書かれていないから)兄や田舎から逃げてきたらしい小海さんは、東京にいる「俺」(=ともくん)を頼って近づいて来たのかな?(声の掛け方も、自分に気づくかどうかちょっと「俺」を試している感じ?)。そのあと「俺」は、予備校の近くにアパートを借りた小海と、なんていうか寝る(だけ)の関係になって――。「俺」が小海のことを100パーセント性的な対象として見ているかといえば、そうでもない(そこまでではない)感じだし、(ネタバレしてしまうかもしれないけれど)子どもができてからも(「こうみ」が子を産むってだじゃれか?)、<物(ブツ)>と読んでいるわりには、気にしていて情をかけたりもしているし(“妊娠小説”にありがちな、「本当に俺の子か?」みたいなことは尋ねていないし…それは関係ないか)。主人公に対して、例えば「鬼畜!」のひと言で済ませられたら、同じ嫌な(不快な)読後感であっても、もっと楽なものになるかもしれない(そんなこともないか…)。<南無(ナム)>という名前や、死刑囚に似ているみたいな話は、ちょっと謎で、解釈が必要な箇所?
[追記]文庫は、角川ホラー文庫、2014.10。
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